西郷どん 第7回「背中の母」

40分間不満も特に無く、結果的に飽きずに見終わったけど、その後何か感想を残しておこうと思うような要素が一切無かった40分だった。比較的感情の起伏もなくハッとする演出も今回は特になく、淡々と一話が終わった印象。今回母親の死という結構デカい山だったし、松坂慶子さんの渾身の演技回だったと思うんだけど、本当にピクリとも気持ちが動かなかったので、よっぽど感性が合わないらしい。不快になる点がなかったので見やすかったけども。あ、橋本愛ちゃんは可愛かった!

父が突然死したのはびっくりした。母親のフラグかと思ったら父親のフラグだったとは。でも父の死が驚き要素の一発ネタになってしまい、それ以上でも以下でもなかったようにしか感じられないのはどうなんだろう…うーむ。吉之助にとって、父がどういう存在だったのか、全然印象に残らないのって寂しい気が…しかし赤山先生の死も全然引きずらない作風だからこれはこれでいいのかも。いいのか…そうか…。

吉之助の一番目の妻、須賀さぁ。橋本愛ちゃん、相変わらず美少女(少女?)だった。うまく笑えないけど根はまっすぐで素直。そして酒豪。あまり幸福な終わりを迎えない最初の結婚生活の相手に、これだけ瞬時に好感度高いキャラ立て出来るのすごい。これだけキャラ立て上手いんだったら、郷中の仲間のキャラ立てだってやる気さえあれば一発だろうになぁ。吉之助の仲間たち、正助以外は北村有紀哉さん以外判別がつかない(北村有紀哉さんも役者さんで判別しているだけで役名覚えていない)のがもったいない気がする。青春群像劇として個性豊かな若者下級武士がワチャワチャする大河ドラマ見てみたい。

須賀さんを嫁にもらう理由が、完全に「母が労咳で死にそうなので家の切り盛りをする人手が必要」と割り切っているのが清々しかった。いや、そういう時代だったのだろうし、満佐さんもそういう経緯で嫁に来たのだろうし、それでも今はこうやって幸福な人生を送っているので、そういう考え方もありだよ?というメッセージなのであればそれは全然その通りだと思うんだけど、母の愛を押し出す回でその母に労働力としての嫁を語らせるというバランスの悪い構成…来週須賀さん側のメッセージが来たりしてイーブンに持ち込むのだろうか。ちょっと判断は保留。

これまで特に言及するタイミングなかったんだけど、ここ数回の吉之助さぁの控えめな魅力は結構いいなぁと思ってる。いわゆる少年漫画のヒーロータイプではなく、あくまでもおっとりと優しく強くどっしりと、みたいな主人公って珍しいんじゃなかろうか。前回で言えばジョン万次郎を(正義感とかじゃなくあくまでもそれ以外に自分ができることがないという消極的理由で)牢から逃がして自分の家に連れてきちゃうところとか、糸さんの結婚相手に対して「いい男だ」って嬉しそうに言うところとか。今回も実家のために江戸詰の希望を出さなかったことに対して全く後悔を見せない(それもガマンしてるんじゃなくて本当にそれで良かったんだと思ってるように見える)ところとか。人間としての器がデカいというか、人類愛が強いというか…こうやってジワジワと主人公の人となりを理解していくのって新鮮で、かつそれが自分にとってプラスイメージというのが自分でも意外。糸どんが吉之助を好きになるのもわかるし、須賀さんも絶対「嫁ぎ先がこの人のところで良かった!」と思っただろうなぁという謎のほっこり感があった。