西郷どん 第11回「斉彬暗殺」

こんなペースでやってて、ちゃんと西南戦争まで行くんだろうか?青臭い西郷どんも別に悪くないんだけど、清濁全て飲み込んで西南戦争に向かう西郷隆盛(脳内ビジュアルでは吉川晃司)へと成長する過程が見たい…大丈夫かなぁ…?

ほとんどぼーっとしながら見ていたので、あまり細かいツッコミどころを覚えていないんだけど、藩医すら信じられないと言いながら橋本左内は無条件に信じるんだ!?とか、斉彬が暗殺されそうとかいう国家機密を他藩の人間(それも立ち聞き付き)にベラベラしゃべっちゃうんだ!?とか、焼き魚じゃなくて味噌汁に毒が盛られてたらどーすんだよ!?とか、般若面で日中堂々とピンポイント立ち聞きってどういうプレイ!?とか、品川宿のシーンは笑いが詰まってた印象。そのまま遠山の金さんとか大岡越前とかのシーンに繋がりそうな明るく楽しい時代劇チックというか。面白いんだけど、私が見たい大河とは違うんだよなぁ。あと、左内がその場で調べられるくらいヒ素が一般的な毒であったなら、藩医だってさすがにわかるのでは!?みたいなね…この時代ヒ素を毒として使うのがまだ一般的でなく、ここは左内の優秀さを描きたいシーンなのであれば、もう少しそういう補足が欲しかった。ナレーションでも良いからさぁ。

吉之助が怒りにまかせて斉興の館に乗り込むエピソードは史実?創作?これ何かの伏線になってるんだろか?今回、始めの方で井伊直弼が斉彬に「御身大切に」みたいなこと言ってたので、暗殺の黒幕は井伊直弼だろうなって思っていたので、息子の死とかでにわかに薩摩藩士が「すわ、お由羅騒動再び!?」みたいに暴発しそうになったり、吉之助が怒り心頭で斉興の御前で暗殺の糾弾したりしてる姿がめっちゃ愚かしく滑稽に見えてしまって、この演出って誰得なんだ…?と心配になった。主人公が補正で偉大に描かれないという点は評価したいと思うものの、主人公の失敗はあくまでも成長のための土台になって欲しいのであって、渡辺謙にスーパー足蹴りをさせるためのエピソードで済ませて欲しくなかった…いや、今後このエピソードが何かに繋がるんだって信じてるけど…。

己の命なんてどうでもいい、今は日本国を変えることが最優先だ!と吠える斉彬と、それを抱きかかえて感動する吉之助。なんかこう、感動的なシーンとして作られているんだろうなっていうのは伝わって来たけど、全然心を打たなかったな~。日本を変えるための画策がうまく行っていないからこそ、それを推し進めるためには自分の舵取りが重要なわけで、それは自分の命を大事にすることが日本の未来を大事にすることに繋がらん?過度に警戒しろとは言わないけど、この時の斉彬の言動はやけっぱちになってるようにしか見えないし、息子の死もあったから絶望してヤケになってる説もあながち間違いじゃないかもだけど、そしたら今度は「日本の未来を!」って言葉が薄っぺらくなるし、人物としての一貫性が全然感じられないんだよな~。原作者か脚本家かわからないけど、多分斉彬のことあまり好きじゃないんだろうなって…。それをオーラだけで何とかしなくちゃいけない渡辺謙ホント大変だな~。

そして一方久光は(原作者か脚本家に)愛されてるよねぇ…。この後吉之助とバッチリ対立するはずの久光をこれだけ魅力的にしちゃうのって大丈夫なんだろうか?久光が愛されキャラであればあるほど、それに反発する吉之助が割を食いそうでちょっと心配。

今回、ナレーションの「きばれ、チェスト」で締めにならず、その後井伊直弼の暗躍(?)な後日談が描かれてたの、ちょっと目新しい演出で胸が高鳴った。佐野史郎さんの井伊直弼、やっぱりこういう考えが読めない人物の演技をさせると光るよなぁ~。井伊直弼が悪役っぽく描かれているの、ミスリードなのか直球でそのままなのか良くわからないけど、このわからなさってほぼ佐野史郎さんの演技で支えられているわけで、やっぱり役者ってすごいなぁ。脚本だけがドラマじゃないなぁ。って思わされる。そういう風に見るのもどうかと思うけれども。