西郷どん 第9話「江戸のヒー様」

なんというか…今回が松田翔太のお披露目会だったというのは良くわかる。良くわかるし、確かに松田翔太慶喜は華があって見応えあったと思う。思うんだけど、その肝心のヒー様(そもそもヒー様って何?)についてほとんど興味が湧かなかったのは演出のせいなのか、それとも私がこの作品の流れそのものに興味を失っているからか…?慶喜松田翔太さんの演技を見る限り、普段遊郭で遊んでいるボンクラだと思わせておいて実は切れ者的な人物像なのかな?って今のところ受け取ってるけど、もしそうだとしたらもうちょっと最初から二面性を際立たせるようなキャラ立てを見せてくれてもいいのになぁとは思った。

吉之助が斉彬のお庭番?を仰せつかった訳だけど、これっていわゆる幕府で言う隠密…じゃないよなぁ、どう見ても。吉之助は一番隠密からはほど遠いキャラだし、そのギャップを狙っているのか、お庭番が本当に庭の手入れ係なのか、謎。そして今回一番びっくりしたのが斉彬がこの瞬間まで吉之助があの時の子どもだと気付いていなかったこと!え!?知らずに取り立ててきたの!?!?いやー、びっくりだわ…。本来そう言う設定の時は「特別なエピソードが無くとも何度でも引かれ合う」的な演出入れてくるのが王道かと思ってたけど、ずいぶんあっさり演出だったし、いまいち狙いが良くわからないな~。あとそろそろ渡辺謙のオーラパワーで押し切るのが厳しくなってきた…人はオーラにはすぐ慣れてしまうものなんだ…いくら渡辺謙とはいえ、あまりに毎回そればっかりだとさすがに…(苦)吉之助は初回の最初から斉彬ラブ一直線なのはわかっているので、今回改めて忠誠誓う場面を入れる必要って特になかった気がする。制作者の好みで主従の感動シーンをやりたかった…んだろうなぁ。

薩摩藩邸の規律が厳しかったという話、吉之助を番号で呼んだりして、男同士の嫉妬によるイジメくるー!?ってビクビクしてたんだけど、遊郭で遊んで門限破って見つかった後に庭掃除をさせられている吉之助を見て、そういうドロドロしたのやらなそうだなって安心した。でも安心する反面、そんな中学生みたいな罰与えるの…?みたいな複雑な気持ちに。そもそも林真理子原作と思えないほどの爽やか大河なのだけど、これは林真理子が多彩な作風をもっているからなのか、中園脚本で大幅に色を変えているのか、ちょっと気になる。

佐野史郎さんの井伊直弼!去年の大河の雪斎役に続いて連続出場!ホントこういう本心を見せない役似合うよねぇ…。斉昭は井伊直弼について権力欲だけみたいなこと言ってたけど、直弼側の正義も描かれる…と思ってるけど、大丈夫だよな…?今時安直に直弼が悪者的な二元論の幕末やらないよね…?と思うものの、斉興VS斉彬で安直な老害認定してたように見えたからな…ちょっと心配。

家定は今回又吉さんだっけ?昨日お初だった気がするけど、又吉さんっぽく見えなかったなぁ。空気のような(いてもいなくても一緒的な)存在感を狙って出しているとしたら末恐ろしい役者だなって思うけどどうなんだろう?今後の篤姫とのやり取りとか楽しみ。

相変わらず床に這いつくばるような低い視点からの独特なカメラワークが面白い。もうストーリーの重厚さとか深い人物描写とか別にいらないかなって思うようになった。演技の妙とカメラワークだけでもかなり楽しい。