おんな城主直虎 第25回「材木を抱いて飛べ」

高村薫要素あったか…?材木を抱いて飛ぶ要素あったか…?ただ、龍雲丸が船で疾走するシーンは壮大で「抱いて飛ぶ」と言われたら納得するようなそうでもないような…わからん。

龍雲丸が尼小僧様を話題に出された時のこそばゆい据わりの悪い感じがなんともムズムズする。気になっているけど近づけない(と自分自身で決めている)相手。でもやっぱり気になる。そういう自分自身が嫌いじゃない。そういう複雑な甘酸っぱい感情を完璧に演じてたと思うんだけどいかがか。ムズキュン要素は(私は)大河には全くこれっぽっちも求めていないけど、あればあったでやっぱりムズキュン出来て楽しいので大変よろしゅうございました。

直虎の成長~!関口殿の嫌味ったらしい当てこすりに対する対応が、初期の初々しい反応と比べてものすごい落ち着いてて感動した。非常時になると途端に有能になる領主様頼りがいがありすぎるだろ~!

直虎と政次の一人囲碁最高!!一手ずつ交互に切り替わるカメラアングルの演出がめっちゃカッコよくてテンション爆上げした。南渓和尚の「一人に見えるのか?」って問いかけからの流れが本当に本当に滾った。ここ、ちょっと自分でも思い返してハッとしたんだけど、この時点での直虎の精神的な補助役はもう完全に政次なんだな。「一人じゃない」って言われて、魂の伴侶たる直親じゃなくて、今生きている政次をちゃんと思い浮かべられるという描き方がいいよなって。思えば、そのためのこれまでの直虎と政次の深夜の囲碁シーンの積み重ねだったんだなって。

そして「俺の手は冷たかろう」って言う政次に「冷たくて気持ちがいい」じゃなくて「昔から冷たい」としか言葉にしない直虎に、もう…もう…!だけど言葉にしなくても二人の間ではこれでちゃんと通じ合ってるっていうこの…この…!これだよ!この距離だよ!超萌える!!

氏真のお坊ちゃん感最高。ホント小者で憎めなくてお茶目で可愛い。無能じゃないけど傑物でもないっていう描き方と演じ方がピッタリ噛み合ってて素晴らしいなっていつも思う。今回駿府で「気賀を誰に任せるか」って頭悩ませてるシーンがなんかすごく等身大?っぽくて良かった。あと政次に「ついに時期が来たぞ」って悪い顔で笑ってたけど、その内容が「井伊の領主から直虎を引きずり下ろす」というめっちゃ小さい案件なのもすごく良かった。大きすぎる武田や織田の脅威に対して絶望感しかない中で、井伊程度なら御せるって思って張り切っちゃうコモノっぷりが愛しい。そして、直虎の堂々とした申し開きに完全に呑まれてる感も本当にコモノで愛しい。20年前の蹴鞠と同じく、直虎の粘り腰にまたしてやられることになったってことだよな。愛しい。

直虎の申し開きシーンは圧巻で見事だったし、カッコよかった。大河の女主人公が啖呵を切るならこうあって欲しいという理想像だった。ベルばらだよーオスカル様だよー素晴らしいよー。そういえば前回の申し開きシーンも男装でカッコよかったし、直虎にとっては対今川というのがやっぱり一番の戦闘シーンなのかな。ただ、ホントカッコいいシーンなんだけど、デジャヴを感じちゃったのも確かで、二番煎じ感は出ちゃうよなぁとも思う。15回の対寿桂尼様の時とほとんど同じ構図だったし展開も同じだけど、何か意味があるのかなぁ…見比べると違ったりするんだろうか。より直虎が成長して、自分の言葉で自信を持って喋っている感は確かにあったけど。そういう意味では演技や演出が緻密って言うことも言えるのかも。

 

・冒頭の虎松と政次の囲碁。虎松が負けず嫌いに成長してる!!17回からのこの成長!!

おんな城主直虎 第24回「さよならだけが人生か?」

いきなり副題で井伏鱒二にケンカ売っちゃうのすごい。いや、わかってる。題名パロディなんだからこうならざるを得ないのはもちろんわかってる。たけの里下がりとそのオチに引っかけた題名だよね。冒頭の龍雲丸が去って行くのも含まれてるのかも。龍雲丸もまた帰ってくるんだろうし。

瀬名と元康(もう家康?)久々に見た~。めっちゃ可愛いシーンなんだけど、この二人のいずれ来る悲劇を知ってるからツラい…ホント脚本がエグい…明らかに悲劇性を上げるための現在の夫婦描写なんだろうけど、思わずニヤッとするコメディ感を全面に押し出して悲劇性を上げていくの本当にマゾいでしょ…;; きちんと紅を指してめかし込んで殿の前に出向くのに、ツン気質全開で「まるで父親みたいですね」って気安さからの嫌味を言っちゃうのがまさしく瀬名ちゃんでありました。瀬名が浜松城に入れずにお寺に幽閉?されてる事情とかは良くわからなかったのだけど(曖昧にぼかされてた気がするけど、見逃しただけかも)石川数正とのアイコンタクトといい、セリフ劇がコメディ色なのに全体的に不穏な感じなのが怖い。石川数正は瀬名のこと気にかけてて、築山事件を期に家康との間に溝が出来ていくというのが私の中の基本路線となりつつある。

新野家の三女さくらの結婚話。おとわの人質の話はあれほどまでに井伊家の男どもがいきり立ってたけど、今回は(面白くはないものの)人質としての結婚を井伊家全体で受け入れているのが面白かった。井伊家そのものが成長しているとも言えるし、状況が違ってたてつく体力が無くなっているというのもあるのかも。それにしても嫁ぎ先、いい男だったなぁ…これだけじゃ無くて今後もいろいろありそうな予感。

直虎の成長が顕著に表われてる回だったな~。南渓和尚が眩しそうに寂しそうに、もう「おとわ」がいないことを惜しむ姿が印象的だった。ひたすらにがむしゃらに龍王丸に挑んで今川を根負けさせた「おとわ」はいなくなり、知恵を付けて婚姻という名の人質を受け入れるだけじゃなく、自分から仕掛けるしたたかさを身につけた「直虎」がいる。これが「おとわ」に対するサヨナラだという解釈もあるなら、副題から言うとたけや龍雲丸のように再び「おとわ」が戻ってくる瞬間があったりもするんだろうか。それが政次のためだったりしたら熱い。もちろんそうで無くても全然いいんだけども。楽しみ。

たけを追いかけての別れのシーンは今回のハイライトだと思うんだけど、やっぱり良かったなー。別れの寂しさを描くために「寂しい、つらい」って語らせる必要はないんだなーとしみじみ思う。直虎のセリフは「らしいなぁ」と思ってクスリと笑わされつつ、その言葉の裏にある相手を思う気持ちを感じて不思議と泣けるんだよね。からりと笑いながら爽やかに泣ける展開が良かった。そしてしんみりした後のたけの幽霊騒動からの、姪のうめの登場に笑った。おとわが小さかった頃に「お手つき」について噛み合ってなかった頃のたけが帰ってきたw 感動した直後に持ってくるこの外し方が大好きだ~。それにしたって遺伝子強すぎるだろwww

今週の直之。今回ちょっとしか出番なかったけど、塩いじって方久に「メッ」て態度だけで叱られるの可愛かった。はぁぁぁ~~!相変わらずゆきのじは可愛いなぁ~~!!

今週の政次も幸せ絶頂だったな。深夜の囲碁とか、執務室でのわかり合ったようなアイコンタクトからの自然と距離を取っての白々しいやり取りまで、もう二人はバッチリ息の合った主従になりつつあるんだなぁってほのぼのした。いやー、こんなに政次が報われる日が来るとは…!

海老蔵織田信長がすっごいイロモノっぽくていい!
・信長の、どこから声出してるのかわかんない感じの舞台っぽさがいい!
・そして蛇に睨まれた蛙状態の元康もいい!弟ネタ出した部下に振り返って睨み効かすのカワイかったw
ムロツヨシ…じゃなかった、方久の金儲け講座、私も受講したいw

おんな城主直虎 第23回「盗賊は二度仏を盗む」

第21回からの龍雲丸編が一段落という感じなのかな。副題は「郵便配達は二度ベルを鳴らす」からだと思うけど、艶っぽい展開というよりはミステリ的な小細工を楽しむ回かなぁ。なんていうか、大河っぽくないというか、木曜時代劇っぽいというか、キャラ重視な話だった気がする。

前回の酒乱直虎の反省会面白かった。六左の悪気&容赦のないツッコミと直虎の表情の掛け合いが可愛い。基本的に直虎の言動はいつも突拍子がないので、多少酒乱で言動が乱暴でも全然誰も気にしていないっぽいのも笑える。青ざめる直虎&気にしない家臣というのがシュールで良かった。そして近藤の前で「あの者たちはもう盗みなどしない!」発言。酔っていないのにうっかり発言で自ら窮地に立たされる直虎…そうだよ、君はそういうやつだよ…。

そして今回は南渓和尚が策士っぽいことしててちょっと面白かった。小芝居が本当に小芝居でニヤニヤしちゃう。それにしても近藤さん結構なりふり構わず井伊に対してプレッシャーかけてくるんだなぁってちょっと意外だった。もみあげキャラは悪い人じゃないという忠勝効果に騙されてた。でも「本尊が盗まれた」って結構ショボい難癖なのでは…そうでもないのか…?そして結局全部南渓和尚の手のひらの上…あ、そういえば南渓和尚に経を読んでもらえるなんて光栄って言ってたけど、南渓和尚って位の高い僧侶なんだな!ってわかる描写になってて感動した。ただの酒飲みの昼行灯じゃないんだなぁ。

ついに政次がデレる。というか、龍雲丸に対してこうも明確に配慮してくれちゃうとかフラグ立ちまくりで怖い。龍雲丸たちを逃がそうとする直虎よりもさらに前に、政次は逃がすための手を打ってる。それは直虎のためでしかないんだけど、そういう無茶無理難題な状況に対応するのを、政次はもうこの時点では楽しんでるよね。面倒をかけられるほど嬉しいってどんだけマゾいのか…そしてその伝令になつさんを使ったっていうのがさぁ!もうさぁ!あんたたちさぁ!!ってジリジリする~!直虎と政次の関係性にめっちゃ萌えるけど、政次となつの関係性にも萌えるんだ~!そして恋愛として応援したいのはなつさんなんだ!お前ら結婚しちゃえよ~!!

井伊家の家臣となる申し出に対して、みんな結構乗り気。でも龍雲丸は考えてしまう。自分が尼小僧に惹かれているのを内心知っているからこそ、心に素直に従えない…んじゃないかなぁ。お家の再興が出来るかもしれない、武士に再びなれるかもしれない。そういう昔からの(心の奥底に封印していた)悲願だけしかなかったら、龍雲丸はもっと直虎の申し出を損得で判断出来たんだろうなって思う。でも、仕官できるならしてみたいという気持ちの中に、直虎という女性に対する何かを感じて、迷ってるんじゃないかなー。そうだといいなー。

そして最終的な「空に雲があるからでさぁ!」と言った時の晴れ晴れした顔!あれはねー、いいよねー。柳楽優弥のこの言い方が本当に見事で。心の奥底にある仕官への夢をキレイに昇華して、自由に生きることを自ら選んだってことなのかなぁ。そして直虎への感情もここで一度、キレイに供養している気がする。少なくとも、供養しようとしている気がする。自由に生きる龍雲丸として、直虎に新たに向き合う決意を固めたのかなぁって。そういう晴れやかさがあの表情にはあったと思う…んだけど、思い入れありすぎか。

最後に政次すら笑ってたのが印象的。政次もすっかり井伊家臣団に馴染んできたよなぁと。前は小野の名前は本当に忌避される的な感じだったのに、今は小姑みたいな厄介なあいつ的な扱いになってるの、本当にこの形のまま進めたら良かったのに的な胃にキリキリくる感じなのホントしんどい。

・政次の咳はこれアカンやつでは…いわゆるフラグでは…
・走る直之が可愛い.もう本当に可愛い。

おんな城主直虎 第22回「虎と龍」

この副題は何から来てるんだろうなぁ…良くありがちなやつなので、コレといった元ネタというよりは、このタイプという感じのざっくりした感じなのかもしれん。

今回は乙女ゲー回に見せかけて、結構内容が社会派だった。いや、いつもそうか。これまでのムラ社会に突如入り込んできた異物としての元盗賊団。案の定ムラとの軋轢が生じて、異物は所詮異物と排除する流れはどんどん加速して、一見政次の意見は正しく見えるし実際にそうやってやって来たのが日本という国のシステムなんだけど、それに対して「異物に見えるのは距離があるからで、きちんと近くで向き合えば相互理解できるよ」っていう当たり前だけど難しい真理を提示された…気がする。直虎の掲げる理想は清々しいけど、眩しすぎて直視するのがちょっと辛い。そして現実はそうはならないという絶望感が大きくなるんだよな。現実がままならないからこそ、こうやってせめて虚構の物語の中では理想を追い求める姿勢を大事にしたいなーとは思う。ホント、スイーツの皮被って重いものを突きつけてくるドラマだよ…。

正直、リスクとか面倒とか考え始めると、政次路線を一直線に進むしか道がないんだよね。一旦受け入れてしまったからには最低限礼を尽くしてその間に必要な技術を自分側に取り込んで放り出すのが一番得策だし、それは相手もある程度わかっているわけで、それを「これからも協力し合う関係でいたい」という直虎の言葉は(本人の無意識な下心wもあって)空回りしているようにしか見えない。政次の「そう願っているのは殿だけなのでは?」という言葉は本当にその通り…と思いつつ、でもそうやって理屈で淡々とこなしていても先細りしかない世界を知っている自分が、直虎のパッションだけの理想論とムチャ振りに憎々しさと憧れという相反する感情を持ってしまうのもまた真実…これって絶対政次とシンクロしてるんだろうな。

そして、社会派の重いテーマを臭わせつつも、ものすごい乙女ゲー回だったのも確かなわけで。いやー、全力で作る乙女ゲー大河、思った通りめっちゃ面白いな!?乙女ゲー大河っていうより、乙女ゲーを楽しむ女性層に向けた乙女ゲーパロ大河?そのまま乙女ゲーやられたら「けっ」と思う程度には乙女ゲーがファンタジー過ぎることを知っていて、それでもなお乙女ゲー要素の楽しみ方を知っている層に向けたパロ感がたまらん。何度も言うけど乙女ゲー大河で何が悪い!?って開き直りたい。

直虎を後ろからギュッとして「入りましたか?」とか、エロゲーかよって感じだけどそれでもゲラゲラ笑えるのは、制作側の「こういうの好きでしょ?」って態度が押しつけでなくて捻りも加えた新たな提案であると感じるからかなぁと思ったり。後ろからギュってするの、いいよね。で、その後にキュンとするんじゃなくて直虎がパニクって変な声出して「煩悩が…」とか反省会入っちゃったりしたらもっとよくない?みたいな、パロの自己回収感がものすごく見ていて安心感ある。制作側も楽しんでパロしてるのがわかるというか、視聴者に求められたからやってるんじゃない、自分たちがこういう面白さを提案したいからやってるんだ感というか。個人的に後ろからギュってするのはそこまで萌えないんだけど、その後の直虎の反省会はめっちゃツボったし可愛かった。いやー、上手いなー。

南渓和尚の「目がいいよね、見た目もいいしね」っていう下世話な野次馬根性が的確すぎて笑うしかない。直虎が龍雲丸を気に入っているというのは誰の目からも明らかだけど、そこに男女の感情を察知しているのは南渓和尚と政次だけなのかもなぁ。あ、方久とかは地味に気付いている気もする。直之とかは考えてもいなそうなのが面白い。

今週の直之。ちっさいなぁ!盗賊団にすごまれた時に見上げながら全然動揺を見せずに「無垢な村人と怪しい輩がいたら、怪しい方から疑うに決まっている」って吠えられるのすごい。直之にとってはあの体格はこれまでもずっとハンデだったはずで、ずっとキャンキャン吠え続けてそれが自分の自信になってるんだろうなぁと思えるから、人物を作るってこういうことだよなーって思う。盗賊を井伊に囲い込むという直虎の案に心底呆れつつ、「屈強な家来が出来るかもしれんぞ」って言われてまんざらでもない直之が可愛い。戦力が喉から手が出るほど欲しいんだろうなぁ…そしてそうやって懐柔することを覚えている直虎にも笑いつつも感心したり。いやー、ほんと可愛い主従だよ。六左衛門が直虎に「ひー!」ってしがみつくのも可愛かった。ヒロインかよ。

今週の政次。嫉妬w嫉妬www「くだらんぞ、但馬」って…www 自戒しちゃうほどに心乱されている政次が不憫過ぎていいぞもっとやれ状態。直虎がいないところではとことん翻弄されて振り回されまくってるんだけど、直虎の前ではずっと取り繕ってるのが本当に可笑しいし可愛い。最初の方で井戸のところで直虎の話聞いてる顔が面白すぎて声出して笑った。あの言葉じゃなくて表情で語るの最高。脚本は高橋一生の演技を思い浮かべながら書いてるんだろうし、役者はそれを忠実に再現しつつさらに一歩踏み込んで演じてるんじゃないかなー。脚本と演技が噛み合うとすごい爆発が起こるっていうのを2年連続で見続けられるとか、どれだけ奇跡なんだよ…幸せすぎる。そして政次は不憫だけどかなり幸せだよなーとも思う。恋愛感情の相手として見られるよりも、今の「同士としての鶴」と思われている状態の方が、政次にとっては居心地いいんじゃないかな。私がそういう関係が好きなだけとも言う。

酔っ払って(酒癖の悪い大河主人公w)龍雲丸に「我のものになれ!」って言っちゃって、龍雲丸がドキッとしたりせずに「うっわめんどくせー」って顔なのも良かったなー。内心ドキッとしててもそういう態度には出さないと読んでもいいし、この時点では本心からバカバカしいと思っていてもいい。あのあたり「はいからさんが通る」的な印象だったな。

・室井さん@ごちそうさんの村人がハマりすぎてて怖い。
マキタスポーツさん裏ありそうで気になる。
・「わし?わし??」って濡れ衣着せられそうな南渓和尚可愛すぎ問題。
・タケさんに「とうがたっている」とバッサリ言われる直虎カワイソス。
・次回の副題のネタは郵便配達は二度ベルを鳴らす、かな?てことは色っぽいシーンあるのか!?

 

おんな城主直虎 第21回「ぬしの名は」

これまた攻めてる副題来たなー。最後に句点がないのはさすがにやり過ぎだと思ったのか、昔のラジオドラマの方からのパロディってことなのか。

「スリに財布を盗まれる→盗賊もびっくりするほどしぶとく追いかけて最終的に捕まる→身代金の要求のネタにされる」って正真正銘ダメ領主じゃないですかー!!自分という存在の意味を軽く見過ぎてる。でもまぁ直虎らしいっちゃーらしい行動ではある。そして後で高瀬ちゃんにすら説教されてシュンとしてるあたりも、直虎らしさでもあるんだろうな。

それにしても拐かされたのが紳士的な盗賊団(?)でよかったよねぇ。そのあたりのフィクション性は、キワドイ大きさのイモを口に突っ込まれたりしてる部分でセルフツッコミしてる感もあったかなー。あのあたり絶対わかっててやってる間違いない。誰かがこっそり助けに来るでもなく、身代金の交換場所でマヌケな顔で眠らされてるあたり、とことん直虎を美しくは撮らない演出なんだなって苦笑する。でも、だからこそ、男装して今川邸に乗り込んできた時のあの輝きや、夕焼けの画面で高瀬ちゃんとひっそりと語り合うシーンの美しさが映えるんだろうな。

設楽優弥のビジュアルの魅力ってこれまでピンと来なかったのだけど(魅力的な俳優なんだろうなとは思っていたけど、その魅力を実感できてなかった)、このドラマでの盗賊の頭は本当にピタリとハマったような色気と愛らしさに溢れていて、一気に魅力が(私の中で)開花した感じ。全体的に荒々しくて粗野な感じの中に、消せない品があるあの感じ。赤メッシュの入ったあの髪型といい、何風というのかわからない衣装といい、かなり気合い入れまくってデザインされてるよなーって思うし、設楽優弥という俳優のために作られている感すらある。

結構テンプレ題材でもある「支配者はなぜ支配を続けていけるのか?何の権利があって支配者として振る舞うのか?」という問題。武士というのは所詮盗人ではないか、という盗賊の頭(この時点ではまだ名前がわかってない)に対して、すぐに現在の自分の立場の危うさを理解するんじゃなく、心底「お前何言ってんだ?」って顔の直虎可愛かった。でも心の底から意外な指摘に対しても、きちんとすぐに考えて咀嚼して自分の中で判断しようとする直虎の実直さがなんとも上に立つものの資質って感じ。

・フランシスコザビエルみたいな襟飾り付けて嬉しそうな直虎かわいすぎかよ…
本田博太郎さんの中村屋が胡散臭すぎて笑うしかない。
傑山さんの筋肉美に磨きがかかってる。

おんな城主直虎 第20回「第三の女」

副題の元ネタはクリスティの「第三の女」だと思うけど、インスパイアされる内容ではなかったような…?私が第三の女の内容を良く覚えていないせいもあるけど。もしかして副題はなんとなくそれっぽければいいのか。今回で言えば、高瀬が第三の女であり、その母親であるゆきのことを言っているとも言える。直親をめぐる「第三の女」キター!

この時代、平均寿命も短いだろうし成人率だって低いだろうし、ある程度の身分のある人なら血筋を残すためにチャンスがあれば子供を作るというのは当たり前なんじゃないかなーとは思う。それはもちろん、なるべく家を存続させるためという政治的な思惑もあるだろうし、そういう雰囲気で許されるという大義名分を振りかざしていい思いする男性も多かったんじゃないかなーとか。でも、だからといって浮気を許せるかどうかというのはまた違う問題なわけで…それは戦国時代よりはるか前、平安時代の作である源氏物語でも浮気だーなんだーとすったもんだしてるんだから、もうこれは恋愛関係と切っても切れないお題なんでしょうなぁ。

直親に関して言えば、別に子供がいることを表向きは咎める必要はないわけで。ただ、今回の話でもうまく焦点をキレイにフォーカスしてたけど、直親はあの口調で散々直虎に「お前だけを思っていた(きらーん)」「お前がいなければオレの美しい思い出が…(きらーん)」て言ってきてたくせに、実はちゃっかり他にも心を通わせた女子がいて、子までなしていたという事実が判明したわけで、そりゃー「すけこましー!」って叫ばれるのも致し方なし。直虎の動揺は察するに余りある…でも笑っちゃう…ぷぷぷwww

そして隠し子騒動で直虎としのがこうやってお互いを認め合うっていう展開が、なんていうか「森下脚本だな~」って感じがした。これまでのわだかまりが、全く違う方向からの横やりでどうでも良くなってしまい、むしろこれまでの確執を共有出来る相手として親しくすら感じて仲良くなるっていうこの感じ、すごいわかりやすいし納得しやすい。和解の糸口が「相手の良いところに気付く」とかじゃなくて「共通の敵を見つけて共感し合う」っていうのが直虎としのらしくてすごく良かった。思いっきり笑った。

政次。何か今週の政次はすっごい幸せそうだった!人前では直虎と対立しているような硬めの対応を崩さないものの、その言葉が明らかに優しいし視線とかが柔らかいんだよねー。これまで「自分が井伊を守るためには直虎に嫌われるしかない」って思い詰めていたのが、第18回で直虎に本心を見抜かれてからは肩肘張った感じが取れて、根っこの部分で直虎と同じものを共有してるものの余裕みたいなのが感じられる。でももともとの性格が邪魔をしてついつい口調が皮肉っぽくなるし、優しい言葉はかけられないんだけどな!この!関係性が!めっちゃツボなんですけど!!

いやぁ、私的には政次は報われすぎていると言いたい。これは…これは幸せ絶頂だよ…絶頂でしょ…そもそも政次が直虎に抱いている想いは恋愛と言うよりは崇拝と献身みたいなもののような気がするので、その相手が自分を頼りにしてくれていて、なおかつ二人で同じ秘密(実は協力し合っている)を抱えているとか、もう完全に勝ち組だよ!ということは退場も間近なんだろうなぁ…夏くらいまで引き延ばしてくれると嬉しいな。

高瀬ちゃんが直親の笛の曲を鼻歌で歌ってホンモノ認定するっていうギミックはトリッキーで好きなのだけど、笛の音を鼻歌で歌うのってちょっと無理矢理感あるような…いや、インパクトあったし、そう来るか!って思ったし、いいんだけども。そしてあのシーンの見事さは、鼻歌を聴いた時の直虎と政次の表情の変化が全てを表していた…一瞬でおとわと鶴に戻るあの感じすごい。演技ってすごい。

そして最後に徳川の使者(僧)を見て、何やら不穏な表情になる高瀬ちゃん…ホンモノであることはおそらく間違いないと思うけど、何やら裏の面もありそうでなさそうな…どういう方向の驚きが待っているのか、楽しみ!

おんな城主直虎 第19回「罪と罰」

副題はそのままだなー。次回の副題も「第三の女」だったし、ここ二つそのまま引っ張ってくるのが続くらしい。
 
目付役の近藤康用(やすもち)に井伊の民が木材泥棒をしたと因縁を付けられて直虎が逆ギレして一触即発になり、山狩りをして捕まえてみると旅の男(柳楽優弥)だった。死罪にする気満々の家臣ズに対して「恩がある」と言って殺さずに済まそうとする直虎。今川が武田の脅威に戦々恐々としている中、井伊はショボい(とかいったらいけないんだろうけど)材木盗賊の件でちまちましている印象なんだけど、それがまた妙にコメディ回にうっすら不気味感をプラスして面白いんだよな。不思議。
 
直虎のウザさ大爆発の回。「恩を感じているから」罪人を殺したくない直虎っていうのが、もう本当に普段はぼんくらなダメ領主そのもので可笑しかった。政次が言うことが本当に全て正論で「知らない罪人なら死罪にするところを知り合いだから助命する」っていうのは公平性で言ったら言語道断なんだけど、でも実際の人間社会はそういう関係性の有る無しでいくらでも流動的に動いているわけで、直虎の感情論は別に完全に排斥されるべきものではないとも思うんだよな。直虎の場合はやり方が稚拙過ぎたりバカ正直すぎてアラしか見えないのが問題なわけで…。全部が全部、為政者の感情論で結論出されたらたまったもんじゃないけど、いざという時、ここぞという時の決断で間違えない限り、ある程度の融通は許されていいとは思う。まぁだからこそ、そういう感情論からの直虎の結論に対してきちんと対外的に納得いく体裁を整えられるかどうかがキモになると思うんだけど、直虎にはここを補佐してくれる人がいないんだよねぇ。今のまま穏やかで平和な時間が続けば政次がその役割を担うようになったんだろうけど、時代がそれを許してくれないわけで…ツラい。
 
それにしても直虎の「おなごだから血など見飽きておる」ってすごいパワーワードだなw「女だから戦はイヤだ」とか「女だから血など見たくない」をここまで真っ当にバッサリ切るセリフがあっただろうかw ものすごい皮肉がきいてる。あと直之に対しても政次に対しても、感情的にギャーギャー喚いてしまうのが直虎の直虎たるところで、とてもウザ可愛くて苦笑するしかなかった。去年のきりちゃんを思い出した。直虎の言ってることはただのワガママで、直情的にワガママをごねて終わりなので直虎の言動には本当にイライラする。イライラするんだけどそのイライラはドラマの中の直虎以外の人物も感じているもので、そこに彼らへの親近感が生まれる。そして直虎が最もらしく孫子などを持ちだして自分の正当性をガーガーがなり立てていい加減ウンザリしてきたところで政次に「言いたいことは言うたか」とバッサリと切らせて、その後正論で重ねて切りつけ、視聴者をスッとした気持ちにさせる。つまりヒロインがなんとなくいいこと言って周りが「さすがさすが」ともて囃すというテンプレ展開の全否定なんだよなー。この通常のテンプレートの全否定を何度も何度もやるのが面白い。何が面白いかって、本当に感動するシーンではこの脚本はきっちりとお約束やテンプレートを守ることを知っているからなんだよな。外す時はあえて外す、その緩急がすごく「面白い」。
 
この直虎と政次の対決の決着を最終的にジャッジしないのも上手かったと思う。最終的に直虎に「これでは我が阿呆ではないか」と言わせて小気味よく落として視聴者のイライラに対するケアを怠らない一方で、直虎の直虎らしい言動をここで殺してしまわないためのエピソードになっててすごい。確かにあそこで政次が直虎に絆されたら「えぇ~ご都合主義~」って思うだろうし、かといって政次の正論に直虎が負けてしまったら、それは直虎というキャラがぶれることにもなるわけで、そのあたりの落としどころが絶妙だな~って思った。
 
旅の男(柳楽優弥)に対して直虎が持ってる感情がただの「恩を感じている」だけではなさそうなのが気になった。基本的に余計な描写はしない脚本だと思うので、回想を入れてまで直虎が「夜中」に「布団」で旅の男(柳楽優弥)のことを考えている描写は、多分意味があるんだろう。私はそれがいずれ恋愛感情に成長する伏線なんじゃないかと思ったんだけど、違うのかなぁ?あるいは、そう見せかけるためのダミーフラグの可能性も。どちらにせよ、型破りな女主人公にオリキャラで相手を持ってくるとか炎上案件なんだけど大丈夫なのか!?(笑)恋愛展開だとしても多分成就はさせずにもどかしいまま終わるような気もするけど、その配役に柳楽優弥を持ってきた意図と合わせてじっくり見守りたい。
 
昨年の直虎番宣か何かで「直虎と四人の男達」みたいなアオリ文句見た記憶があるんだけど、それって多分「直親、政次、龍雲丸、直政」だよな?当時は「なんだそのイケメン大河みたいな頭悪そうなキャッチコピー…」って思って不安になったけど、今なら胸を張って言える。「イケメン大河で何が悪い!?」と。あと一昨年はなもゆ見ながら「乙女ゲー大河を目指すならきちっと目指せばそれはそれで面白そう」って皮肉も込めて書いた覚えがあるけど、今なら言える。「乙女ゲー大河めっちゃ面白いぞ!!」と。四人に加えて昊天傑山の坊主勢とか、直之六左の忠犬コンビとか、南渓和尚や方久に至る多彩な顔ぶれの脇役も取りそろえてのお祭り騒ぎっぷりが楽しい。乙女ゲーの大団円ハーレムルートを目指すのか個別エンドを目指すのかわからないけど、どちらにしても絶対面白い確信があるので心穏やかに先行きを見守りたい。
 
今週の直之。最初に近藤殿が押しかけてきて直虎がキレた時の「やれやれ、やっぱりこの展開か」的な苦笑がツボだった。山狩り(というか見張り)でゴザ被って慌ててる顔が可愛かった。あと弟に稽古付けてる時にダメ出しして即座に「いちいち気落ちするな、戯れ言だッ!」って逆ギレするのがいかにも直之っぽくて良かった。これだけで直之が人の表情を読むことができる人物だってわかるし、弟に対しても言いすぎたって思った時にそれをフォローする必要性を即座に判断出来る人物だということもわかる。まぁ性格が邪魔をして言い方がツンデレになっちゃうんだけどw 直之と政次の関係って、最初最悪から直虎が領主になるって言い出した時に「女が主人になるくらいなら後見を小野に」って言うくらい一度近寄って、その後直虎にすっ転んでからは種子島取り上げられて切りつけそうになるくらい険悪になって、今回再びタッグを組むってどんだけ上下の振り幅大きいんだよって感じで笑ってしまう。お互いにいけ好かないと思っていながら同じ上司の元での苦労は共有出来るっていうのは、オーベルシュタインとミッターマイヤーみたいな感じか。そう考えるとこの二人の関係性も萌えるな。
 
そして最後に直親の隠し子騒動w 今さら隠し子とかウケるw 隠し子がいたことそのものは別に(当時の事情的には)悪いとかそういうことではないと思うんだけど、帰ってきてから一切その話をしなかったことに対する不満はそりゃー出るよな。直虎に対しては「自分は純情一筋におとわを想っていた」オーラ全開だったからな。その裏で実は娘がいましたテヘペロってされたらそりゃー直虎はキレてよし。来週も楽しみ~
 
その他
近藤康用が去年の本多忠勝っぽくて可愛かった。もみあげ=可愛いになる不思議。
・六左の胃が心配…
・政次が六左の尋問するシーンの顔芸面白かった!
傑山さんの謎の筋肉祭り。
・しっかり者に見えた亥之助の考える刑罰が可愛すぎて草生えたwww「習字」w
 
どうでもいいんだけど、直虎が呼ぶ時坊主勢だけ「昊天さん」と「傑山さん」なのが気になる。寺は領地では無い=家臣ではないということでさん付けになるんだろうか?それとも兄弟子としての親しみを込めた呼称?直虎の立場だと「昊天」あるいは「昊天殿」とかの方がしっくりくるのに、あえてさん付けなのには裏設定とかありそう。直虎が「昊天さん、傑山さん」て呼ぶのなんかちょっと可愛くて好き。