おんな城主直虎 第19回「罪と罰」

副題はそのままだなー。次回の副題も「第三の女」だったし、ここ二つそのまま引っ張ってくるのが続くらしい。
 
目付役の近藤康用(やすもち)に井伊の民が木材泥棒をしたと因縁を付けられて直虎が逆ギレして一触即発になり、山狩りをして捕まえてみると旅の男(柳楽優弥)だった。死罪にする気満々の家臣ズに対して「恩がある」と言って殺さずに済まそうとする直虎。今川が武田の脅威に戦々恐々としている中、井伊はショボい(とかいったらいけないんだろうけど)材木盗賊の件でちまちましている印象なんだけど、それがまた妙にコメディ回にうっすら不気味感をプラスして面白いんだよな。不思議。
 
直虎のウザさ大爆発の回。「恩を感じているから」罪人を殺したくない直虎っていうのが、もう本当に普段はぼんくらなダメ領主そのもので可笑しかった。政次が言うことが本当に全て正論で「知らない罪人なら死罪にするところを知り合いだから助命する」っていうのは公平性で言ったら言語道断なんだけど、でも実際の人間社会はそういう関係性の有る無しでいくらでも流動的に動いているわけで、直虎の感情論は別に完全に排斥されるべきものではないとも思うんだよな。直虎の場合はやり方が稚拙過ぎたりバカ正直すぎてアラしか見えないのが問題なわけで…。全部が全部、為政者の感情論で結論出されたらたまったもんじゃないけど、いざという時、ここぞという時の決断で間違えない限り、ある程度の融通は許されていいとは思う。まぁだからこそ、そういう感情論からの直虎の結論に対してきちんと対外的に納得いく体裁を整えられるかどうかがキモになると思うんだけど、直虎にはここを補佐してくれる人がいないんだよねぇ。今のまま穏やかで平和な時間が続けば政次がその役割を担うようになったんだろうけど、時代がそれを許してくれないわけで…ツラい。
 
それにしても直虎の「おなごだから血など見飽きておる」ってすごいパワーワードだなw「女だから戦はイヤだ」とか「女だから血など見たくない」をここまで真っ当にバッサリ切るセリフがあっただろうかw ものすごい皮肉がきいてる。あと直之に対しても政次に対しても、感情的にギャーギャー喚いてしまうのが直虎の直虎たるところで、とてもウザ可愛くて苦笑するしかなかった。去年のきりちゃんを思い出した。直虎の言ってることはただのワガママで、直情的にワガママをごねて終わりなので直虎の言動には本当にイライラする。イライラするんだけどそのイライラはドラマの中の直虎以外の人物も感じているもので、そこに彼らへの親近感が生まれる。そして直虎が最もらしく孫子などを持ちだして自分の正当性をガーガーがなり立てていい加減ウンザリしてきたところで政次に「言いたいことは言うたか」とバッサリと切らせて、その後正論で重ねて切りつけ、視聴者をスッとした気持ちにさせる。つまりヒロインがなんとなくいいこと言って周りが「さすがさすが」ともて囃すというテンプレ展開の全否定なんだよなー。この通常のテンプレートの全否定を何度も何度もやるのが面白い。何が面白いかって、本当に感動するシーンではこの脚本はきっちりとお約束やテンプレートを守ることを知っているからなんだよな。外す時はあえて外す、その緩急がすごく「面白い」。
 
この直虎と政次の対決の決着を最終的にジャッジしないのも上手かったと思う。最終的に直虎に「これでは我が阿呆ではないか」と言わせて小気味よく落として視聴者のイライラに対するケアを怠らない一方で、直虎の直虎らしい言動をここで殺してしまわないためのエピソードになっててすごい。確かにあそこで政次が直虎に絆されたら「えぇ~ご都合主義~」って思うだろうし、かといって政次の正論に直虎が負けてしまったら、それは直虎というキャラがぶれることにもなるわけで、そのあたりの落としどころが絶妙だな~って思った。
 
旅の男(柳楽優弥)に対して直虎が持ってる感情がただの「恩を感じている」だけではなさそうなのが気になった。基本的に余計な描写はしない脚本だと思うので、回想を入れてまで直虎が「夜中」に「布団」で旅の男(柳楽優弥)のことを考えている描写は、多分意味があるんだろう。私はそれがいずれ恋愛感情に成長する伏線なんじゃないかと思ったんだけど、違うのかなぁ?あるいは、そう見せかけるためのダミーフラグの可能性も。どちらにせよ、型破りな女主人公にオリキャラで相手を持ってくるとか炎上案件なんだけど大丈夫なのか!?(笑)恋愛展開だとしても多分成就はさせずにもどかしいまま終わるような気もするけど、その配役に柳楽優弥を持ってきた意図と合わせてじっくり見守りたい。
 
昨年の直虎番宣か何かで「直虎と四人の男達」みたいなアオリ文句見た記憶があるんだけど、それって多分「直親、政次、龍雲丸、直政」だよな?当時は「なんだそのイケメン大河みたいな頭悪そうなキャッチコピー…」って思って不安になったけど、今なら胸を張って言える。「イケメン大河で何が悪い!?」と。あと一昨年はなもゆ見ながら「乙女ゲー大河を目指すならきちっと目指せばそれはそれで面白そう」って皮肉も込めて書いた覚えがあるけど、今なら言える。「乙女ゲー大河めっちゃ面白いぞ!!」と。四人に加えて昊天傑山の坊主勢とか、直之六左の忠犬コンビとか、南渓和尚や方久に至る多彩な顔ぶれの脇役も取りそろえてのお祭り騒ぎっぷりが楽しい。乙女ゲーの大団円ハーレムルートを目指すのか個別エンドを目指すのかわからないけど、どちらにしても絶対面白い確信があるので心穏やかに先行きを見守りたい。
 
今週の直之。最初に近藤殿が押しかけてきて直虎がキレた時の「やれやれ、やっぱりこの展開か」的な苦笑がツボだった。山狩り(というか見張り)でゴザ被って慌ててる顔が可愛かった。あと弟に稽古付けてる時にダメ出しして即座に「いちいち気落ちするな、戯れ言だッ!」って逆ギレするのがいかにも直之っぽくて良かった。これだけで直之が人の表情を読むことができる人物だってわかるし、弟に対しても言いすぎたって思った時にそれをフォローする必要性を即座に判断出来る人物だということもわかる。まぁ性格が邪魔をして言い方がツンデレになっちゃうんだけどw 直之と政次の関係って、最初最悪から直虎が領主になるって言い出した時に「女が主人になるくらいなら後見を小野に」って言うくらい一度近寄って、その後直虎にすっ転んでからは種子島取り上げられて切りつけそうになるくらい険悪になって、今回再びタッグを組むってどんだけ上下の振り幅大きいんだよって感じで笑ってしまう。お互いにいけ好かないと思っていながら同じ上司の元での苦労は共有出来るっていうのは、オーベルシュタインとミッターマイヤーみたいな感じか。そう考えるとこの二人の関係性も萌えるな。
 
そして最後に直親の隠し子騒動w 今さら隠し子とかウケるw 隠し子がいたことそのものは別に(当時の事情的には)悪いとかそういうことではないと思うんだけど、帰ってきてから一切その話をしなかったことに対する不満はそりゃー出るよな。直虎に対しては「自分は純情一筋におとわを想っていた」オーラ全開だったからな。その裏で実は娘がいましたテヘペロってされたらそりゃー直虎はキレてよし。来週も楽しみ~
 
その他
近藤康用が去年の本多忠勝っぽくて可愛かった。もみあげ=可愛いになる不思議。
・六左の胃が心配…
・政次が六左の尋問するシーンの顔芸面白かった!
傑山さんの謎の筋肉祭り。
・しっかり者に見えた亥之助の考える刑罰が可愛すぎて草生えたwww「習字」w
 
どうでもいいんだけど、直虎が呼ぶ時坊主勢だけ「昊天さん」と「傑山さん」なのが気になる。寺は領地では無い=家臣ではないということでさん付けになるんだろうか?それとも兄弟子としての親しみを込めた呼称?直虎の立場だと「昊天」あるいは「昊天殿」とかの方がしっくりくるのに、あえてさん付けなのには裏設定とかありそう。直虎が「昊天さん、傑山さん」て呼ぶのなんかちょっと可愛くて好き。