西郷どん 第22回「偉大な兄 地ごろな弟」

吉之助と久光の対立が本格的に始まる展開。これまでも久光ってわずかな登場場面だけでも兄に対する敬愛とコンプレックスを拗らせてるキャラとしてバッチリ個性出ていたけど、今回からはメインで吉之助の対立相手として出張るみたいでとても嬉しい。初登場時から青木崇高さんの久光はめっちゃ魅力的だったけど、ここ最近の「大久保に持ち上げられて調子に乗ってる感」が本当に人間くさくてかわいくて、愛さずにいられない。キンキラキンの衣装で心持ち鼻高々な青木崇高さん、チャーミングだったなぁ。

佐野史郎さんの井伊直弼もそうだったけど、主人公である吉之助と対立する相手の方が魅力的なせいで、彼らを頭ごなしに否定する吉之助の言動を正当なものとして好意的に受け止めるのが難しい。せめてもっと相手の悪役っぷりを引き立てるようなやり取りにすれば、もっと吉之助自身の魅力も増すと思うんだけどなぁ。もう既に脚本に対して不信感しかないので、脚本が登場人物を通して「吉之助さぁはすごい」「やっぱり西郷がいないと」「薩摩と言えば西郷」とか言うたびに「なんでだよ」「どこがだよ」っていちいち気持ち的に反発してしまい、必要以上に吉之助を低く見ちゃってるのかもしれない…でも、仕方ないよなぁ…そう感じちゃうんだもん…

なんだか「西郷はすごい人で、みんなに愛されてるんです!そういう設定のお話なんです!」って押し切られている気がしてしまう。でも、本来その愛される部分をじっくり視聴者が納得して共感するためにドラマがあるのでは…?そのための物語と訳者の演技なのでは…?その設定を押しつけた上で、このドラマは何を描きたいんだ…?ただ西郷隆盛の人生をなぞるだけの大河ドラマなら、そんなの全然見ててつまんない…いやいや、そういう大河ドラマを望んでいる人だってきっといるんだ。そういう人に向けての大河ドラマなんだ。と己を戒める。ここ最近そんなことばかりしてる。

時代劇にそぐわぬロックなBGM(この演出かなり好き)に乗せて、西郷家の地ごろな弟、信吾登場。これまで西郷家の年頃の弟って渡部豪太さんの吉二郎しか認識してなかったので、いきなり出てきた三男坊に困惑する。あなた誰?せめて名前だけでももう少し前から出しておいてくれたら「あの三男ね!」って思えたかもしれないのに。それとも出ていたのか。錦戸亮さんが渡部豪太さんの弟というのはしっくりくるのだけど、今回吉二郎出てこなかった…グレ気味な信吾を優先しなければならない事情はもちろん良くわかるんだけど、一方で健気に傘張り(?)して家を支えてた吉二郎のことをもっと労ってあげて欲しい…それは来週のエピソードなのかもしれないけども!

有馬さぁの暴発を命がけで止める吉之助の姿を直接見て信吾が心を開くという展開そのものは熱いのだけど、肝心の有馬さぁに対する吉之助の言葉がいまいち上っ面な気がして胸に響かなかったので、なんだか誤魔化されたような気持ちになる。そして今回は納得してくれたけど、結局来週寺田屋で有馬さぁはやっぱり暴発するんだよね?今週の吉之助の説得の意味とは一体…その場しのぎの時間稼ぎという意味があったのか…

あと大久保一蔵が不憫すぎて泣いた。一蔵が「月照さんを斬って許してもらえ」って言ったあたりから、二人の意識のズレが焦点なのかなぁとは思ったのだけど、いくらなんでもここまで一途に吉之助のために行動してきた一蔵に対して、散々気を使ってやっと帰還を許してもらった上司(=久光)に真っ正面からダメ出しするの酷すぎるだろ…面目丸つぶれだろ…さらに吉之助がそれを全然悪いと思ってないのも残酷…自分は担ぎ出された側だから何をしてもいいと思ってるのかよ…酷い…酷すぎる…

「誰からも愛される吉之助」がテーマ(?)らしいけど、愛されてるところが既定路線で始まられると、「お、おう…」という気になる。出来れば愛されている理由を、ドラマを通じてしりたかったな…。