いだてん 第27話「替り目」

金栗さん退場の回。もう四三は出なくなるのかなぁ。50年後にストックホルムでゴールテープ切るのは映像映えしそうなエピソードなのでやりそうな気はするけど、それ以外は前半のまーちゃん程度のワンカット出場になるのかもしれない。

実次兄の死。いくら父親代わりと言ってもそんな年じゃないよね!?と思ったら急性肺炎…普段元気な人ほどぽっくり逝くのよな…。これまでの回想シーンが涙無くしては見られない。そして改めて見ると最初の頃の若々しい雰囲気にびっくりする。衣装やメイクの力も大きいと思うけど、やっぱり自然と年を重ねる演技あってこそだよなぁ。そして幾江さんの言葉もさぁ…。「最期までお前のために頭を下げて回ってた兄上のそばについていてやれ」って…号泣。私こういうのに本当に弱くて、特に「もう会えない相手が、なんの見返りも求めずどれほど自分のことを想ってくれていたかを自覚する」というシチュエーションにめっぽう弱くて、今回はそれを第三者から指摘されるという役満揃ってて泣くしかない。その幾江さんも足腰が弱るほどに年老いているのがわかるシーンになっていて、四三が引退(熊本への帰省)を決意することへの説得力がハンパなかった。

今週の孝蔵。ここまで来るとどれだけ魅力的なクズを描けるかという挑戦と見るべきだと覚悟を決めた。実際には感謝している、言葉にはしないけどすまないと思っている、なんていうシチュエーションに1ミクロンほども心を動かされない自分にとってはどこまでいっても孝蔵はアウトなんだけど、おりんさんにとっては惚れた相手なわけで、そうなったら腹を括るしかない…んだろうなぁ。でもさすがにエピソードが酷すぎるからか、今回「いないと思って本音を零したら本人に聞かれた」というお約束エピソードで中和してて苦笑しつつやっぱり面白かった。このシーンで「高座に上がって欲しいですよ」とぽつりと呟くおりんさん美しかったなぁ…。大根監督はこういうライティング演出好きよね。これで孝蔵が心を入れ替えたり…しなそう。むしろここまで来たらクズを極めて突き抜けて欲しい。

とにかくまーちゃんの騒がしさに圧倒される。あの早口&ハイテンションの演技をひたすら続ける阿部サダヲさんに脱帽。あらゆる相手に傍若無人に好き勝手言いまくるんだけど、早口過ぎて言ってる内容が無礼だと気付いた時には話題が変わっていて怒るに怒れない、みたいな相手の反応が面白すぎる。まーちゃんが戦略としてこういうやり方してるなら強かだけど、多分これはただの素なんだろうなぁ。そしてオリンピック参加費を国に出させるために「これからはスポーツを政治に利用すればいい」って言い切っちゃうの、すげー。絶対何も考えていない(というかお金を出させることが最優先で後は全部口からでまかせ)なんだと思うけど、これが後々響いてくるのかそうでないのか。スポーツと政治についてはどこまでツッコんで描くのかとても気になる…。

最後に四三のことを「金栗さんは特別だ」って言ってたとこ、あそこは私的にはまーちゃんらしくない言葉というか取って付けたような違和感あるなと思ったけど、多分最後の四三の「さよなら」に続けるための前振りと、きかれていないと思って本音を言ったら聞かれていたという孝蔵のパターンの繰り返しの意味があったんだろうなぁと推測する。あるいはここまできて初めて見せたまーちゃんの「可愛げ」ってやつなんだろうか。そう言えば今回シレッと上司に「結婚したいから相手紹介して」って言ってたけど、また見ていて微妙な気持ちになる夫婦が出来るのだろうか…。おりんさんといいまだ見ぬまーちゃんの妻といい、規格外の結婚相手は大変だよなぁ…。