おんな城主直虎 第11回「さらば愛しき人よ」

バンのイケメンが石川数正って名乗って「えぇっ!?」となる真田丸ファン。イケメン!イケメンな石川数正真田丸では石川数正の離反の理由がすごく曖昧で物足りない描写だったけど、今回瀬名姫を救出することを熱心に元康に働きかけたのが石川数正っていう説明が入って、そこまで心を砕いた瀬名姫が未来にあーいう結末を迎えてしまう(そして多分それは家康の意思でもある)からこそ、数正は離反したのかなぁって思えたからすごい。脚本家を越えて響き合う大河ドラマ。すごい。
 
元康から次郎への礼状と、直親との面会。どう見ても阿部サダヲじゃない(w)元康は妙にテンション高くて、影武者なのは視聴者はわかるんだけどこれって元康の?それとも…ってここで引っかかるというのが面白い。そして最終的に今川のダミーだったことがわかった時の「あぁ!やっぱり!」って思うのと、寿桂尼様が政次に「どちらを選ばれるか」って言った時に「あぁ~~!和泉守の!直親ぱっぱ(直満)の謀反の時も同じことが行われたんだ!!」って思う二度の落としに感嘆した。一旦「そこ気になってたんだよね~」って優越感抱かせたあとで「うわっ!そっちも伏線回収なのか!」っていう伏兵に完全にしてやられた。和泉守~;;やっぱりアンタいいヤツだったんじゃん…;;そして既に政次にかけられている「お前は俺と同じ事をする」という呪いが発動しまくる…蒼白な政次の表情と、絞り出すような声。そして全く正反対の意味で繰り返される「選ぶ余地などない」のフレーズ。いやぁ、今回もかなり素晴らしかった。真田丸とは全然面白さのベクトルが違うけど、直虎は直虎ですんごい面白いって力強く言えるこの感覚が嬉しい。この感動、清盛の後に八重見てた時に感じたのと同じなんだけど、八重は後半の失速が本当に残念だったので森下さんには心を強く持って一年間書き切っていただきたい。ただ、展開早いからやっぱり後半が不安…;;
 
直親と政次の仲良し描写は今週も続く。なんだこの拷問!鬼畜脚本!視聴者のメンタルをゴリゴリ削ってくるよぉぉ;;そして駿河で今川を選んだ政次と、その政次が「井伊を守ろうとしたのだと信じたい」と言った直親の絆がまた泣ける。直親は政次が心底直親に心酔して命運を共にする家臣だとは信じていない。時に裏切り、直親に不利な選択をすることを多分知ってる。でもそれは政次なりに「井伊のため」であることは信じたいと思っている。これは検地の時の裏切りから直親が学んだことによる成長だと思うんだよな。イケメン爽やかクズだった直親が、ここまで成長したのだと思うとまた感慨深い…;;
 
ニセ元康に嵌められたことに気付いた次郎が助けを求めるのがホンモノの元康で、けんもほろろに断られて瀬名姫に「人質になってくれ」と直訴。まぁ次郎が直親を救おうと必死なのはもちろんわかる。なりふり構わなくなるのももちろんわかる。でも、瀬名姫に断られて閉められた門をドンドン叩きながら「瀬名!お前助けてやったのに!」って叫ぶのはどうだろ…そもそも次郎の嘆願は時間稼ぎにはなったかもしれないけど、結果的に瀬名を助けたのは元康自身(というか数正の働き)だよね…?ってツッコミ入れられるためのシーンだったと思うんだけど、いやぁ相変わらず女主人公にエグい脚本ですね!可愛さとか共感とかそういうの徹底的に排除してくるよね~。ごちそうさんを最終週まで見た今なら、これが森下さんの味であり狙いなんだろうなぁとすんなり納得出来る。め以子に最後まで共感出来なかったけど、それでもめ以子の事は大好きになったから、直虎もそういう主人公になるんだろうなぁ。楽しみ。
 
直親は、生きて帰れないと悟って、当主として弁明に出向く事を決めて直平に後を託し、夫としてしのに嫡男を産んでくれたことを感謝し、虎松に父としての言葉を残し、そしてただの亀として次郎…おとわに「戻ったら一緒になってくれ」と言うんだなぁと思ったら、なんか泣けてきたよ。政次に「次郎が還俗したらお前と一緒になるのが良い」と言ったのは、やせ我慢だったんだなぁ。もちろん、自分が井伊の当主として生きていく限りは十分に覆い隠せるやせ我慢だったんだろうけど。生きては戻れないと悟ったあとには、やはり一番亀の根っこにあるおとわへの思いが勝つんだろうなぁ。
 
直親が「たった一つの美しい思い出」って言った時には「おいおい、妻の立場は」って思ったけど、そうか、あの時きちんと夫として妻に誠実に向き合ってお別れしたから、ここにはもう当主だったり夫だったりする直親はいなくて、ただの亀なんだなって思えた。そう思えるのがとても自然な流れだった。根っこにあったおとわへの気持ちの上に、様々なものを羽織って背負って亀は直親に成長し、そして最後の時にそれを一つずつ下ろしたり脱いだりして、亀に戻ったんだろうなぁって。そして、井戸で見送る次郎の「どんな卑怯な手を使っても戻ってこい」っていう叫びが、子役時代のおとわそのものでびっくりした。このシーンも本当に素晴らしかったよぉ;;萌えはないけど燃えるよぉ~;;
 
その他
・佐名様は最後までお美しかった…でも瀬名姫に「今川を手に入れろ」ってそれは呪いですやん…;;
・そして瀬名姫は「今川絶対潰すマン」になり、それが元康との亀裂となる…んだろうなぁ;;
・直平じいちゃんの「もう見送るのはまっぴらじゃ!」って叫びが胸を打つ。あれだけめんどくさい爺さんの言葉だからこそ響く。