おんな城主直虎 第8回「赤ちゃんはまだか」

エンジンかかってきたなー。今週も面白かった!
 
先週は直親と政次がベースの話だったけど、今週は女性陣のドタバタ風の、でも実は結構エグい内容だったと思う。お世継ぎ問題、側室問題がこんなにも前面に出されて語られることが今までの大河であっただろうか!?いや、昔はあったかもしれないけど、最近はあまりやりたがらない話題のような気がするので、そこをこうやって押し出してきたっていう攻め方が好きだな~。森下さんらしい気がする。ごちそうさんでの悠太郎のしょーもない浮気話とか、和枝ちゃんの容赦ないいけずとか、正面からどーんと書きつつ笑うしかないって感じさせる脚本家の手腕が冴える冴える。
 
しのちゃんの立場で4年も子供ができないことのプレッシャーはいかばかりかって思うと、しのちゃんの暴走を全然酷いと思えないんだよなぁ。誰よりもしのちゃん本人にとって、世継ぎを産むことこそが最大の、そして唯一のミッションなわけで、おそらくその胸のうちを明かせる相手もいなくて、何もかも思うとおりに行かない時に脳内で恨む相手を探してしまうのって仕方のないことだし、その相手が次郎になっちゃうのだって当然だろうと思う。あの様子だと直親はずっと次郎に対して(自分に下心が無いことを免罪符に)それなりの親愛を見せつけてきたのだろうし、そういうのって下心が無いゆえに悪びれないから、しのちゃんの立場から見てるとあからさまに非難できない分ストレスばっかり貯まりそうだし。私としてはしのちゃんをただ可哀相な女性として描かず、でも可憐で健気な女性にもせず、そうとう面倒な面を過剰に描きつつも、嫌いにさせない絶妙なラインを保ってると思ったけど、それはちょっと好意的解釈過ぎるかなぁ。去年のはるちゃん的な立ち位置に上手く落とし込んだと思うけどどうか。
 
そして、それを受け止める役に(望んでもいないのに)なってしまった次郎の、「しのは好かん!でも直親が悪い!」という采配が素晴らしかった。必要以上に聖母となってしのに寄り添うんじゃなくて、しのに対する不満もきっちりと抱えながら、それでも真正面から直親に「なぜ一緒に悩んでやらないのか!なぜしのはこんなにも一人なのか!」と怒ってあげられる真っ直ぐさが良かった~。真田丸のきりちゃんと同じ真っ直ぐさだよな。そう思えたら途端に次郎が可愛く思えてきた不思議。
 
政次がただただ耐えるキャラじゃないのもいい。実際には彼はただただ耐えてるんだろうけど、今回みたいに「自分が使って直親の子を孕めば良いではないか」って言ってしまえる性格が最高。言って自分で傷を抉っているのかと思うと、そのMっぷりに乾いた笑いしか出てこない。多分、政次の次郎に対する気持ちは恋とか愛とかそういうものでは既になくなってるんだよね。父親への複雑な反発心、井伊家への忠誠心、けれどそれを理解されない孤独感、直親への同情と嫉妬、そういうのが全部積もり積もって、その全ての頂点に多分次郎がいる。政次は次郎の心を自分のものにできたらいいと思っているかもしれないけど、次郎の心が政次のものになった瞬間に、その次郎は政次の求める次郎ではなくなってしまうということを、多分政次はわかっているんじゃないかなぁ。そういう絶望感と幸福感の混ざり合った役どころ、本当に本当に高橋一生に似合いすぎるし、わかってるとしか言いようのないキャラ設定に唸らされるのであった。
 
政次の弟の玄蕃がめでたく子を授かった時に、次郎に「何が違うのかのぉ」と問われて笑顔満面で「愛です」って答えたの笑った。壮絶に若殿夫婦ディスってるんだけどいいのか?w しかしこの弟の存在って政次にとっては(重盛にとっての基盛のような)心の支えの一つなんだろうなぁと思える細々とした描写がツラい…この先を思うとツラい…
 
そして相変わらずの癒しパートである今川サイドの元康(家康)&瀬名姫。瀬名ちゃんの不満たらったらの手紙の文面のわりに夫婦仲睦まじそうなのが微笑ましくも有り、将来のことを考えるとかなりエグいフラグでもあり…いやーそれにしても阿部サダヲの家康最高では?去年も内野聖陽の家康最高って思ったけど、今年の家康もいいなぁ…特にこの若い(?)頃の内面の見えなさ、得体の知れなさが、阿部サダヲのつかみ所のなさと壮絶にマッチしてる。あー面白い!

おんな城主直虎 第7回「検地がやってきた」

一気に話が動き始めて、俄然面白くなってきた~!
 
先週ビンビンに感じていた直親への違和感が一気に爆発して「うっわ、やっぱり爽やかイケメンの皮を被ったクズだった~!」と判明した今回。ただ、クズなんだけどある意味ダークな魅力も漏れ出ているクズなのが森下さんらしさでもあり、直親の株は下がり続けるけれどそれが(視聴がイヤになるほどの)不快さには繋がらないのが脚本家への絶対の信頼感でもあるのかな。まぁ「イケメンだから許されると思ったら…いや、でもやっぱりイケメンだから許されるかも…」みたいな面はないわけじゃないよね。イケメンがクズであることを絶対的安心な視聴者という立場から見守るっていう楽しさってあると思うんだよね。ゲスいけど面白いもんは面白いんじゃ!
 
結局、先週までの直親が笑顔でガリガリSUN値を削ってくる感じは脚本家と役者の手のひらの上だったわけで、これは嬉しい踊らされ方だなぁ。今回で「えげつないわ~」と思ったのは、直親と次郎は二人とも当たり前のように「政次を信じられない」という思いを持っていて、そこから来る行動に全く悪びれていないところ。特に次郎が政次のところに来て「今回は直親の味方でいて欲しい」って懇願するシーンとか「これは濁るわ~ソウルジェム濁りまくるわ~」って思ったもんな。次郎はあの行動が「自分は政次を信じていない」と本人に告げる行為だと思いもしない。子供の頃に「こんなことなら鶴と結婚するんだった」と吐き捨てたのと全く同じ傷つけ方を、むしろより高い次元で繰り返してる。直親はさらに酷くて、信用できない政次を自分の言葉で上手くコントロールできると思っていて、その態度すら隠そうとしない。「信じているフリをするな」と怒った政次に対して、謝罪もせずにいけしゃあしゃあと「ならば愛する女のために我慢して働いてくれないか」と言いだす男…!どうしてくれようか…井戸に投げ入れるくらいじゃ済まされんぞ…
 
これまで押さえてた政次の演技も、今回キレッキレだった。前回思うところありそうだった直親への気持ちは、最初「信じてるから」という態度で隠れ里の隠蔽をゴリ押ししてきた時の「あいつ俺に選ばせやがった…!」って怒りに集約されてるよなぁと。そしてそれを、あの罪の無さそうな弟(玄蕃)に「竹馬の友っていいですね…!」とかキラッキラした目で言われて「…そう、なのか?」って訝しみつつも飲むことに決めたら、その直後に「直親の役に立ちたいから、今回は味方をしてくれるようにこっそり念押ししに来た」って次郎に言われるのどうよ?絶望しかない。そして、隠れ里で直親にもみ消しの言い訳丸投げされた時の政次の表情がまた見事でさぁ。驚愕の後の何かを飲み込んだような表情、そしてか細く堪えるように発せられる「南朝の御子」の逸話。視聴者として「うっわ、この男丸投げしやがった!クズだクズ!爽やかイケメンクズ!!」という気持ちがはち切れそうになった時に、次郎の歌うような清らかでもの悲しい読経がそれらの感情を流していくこの構成…!神だ…神回だ…
 
見てる方としては全力で「いいよいいよ、政次あんたの怒りは間違ってないよ!井伊家なんて見限っていいよ!」って言いたくなる。隠れ里の言い訳丸投げされた政次が、正しく「南朝の御子」の逸話で「心得」てもらえたというエピソードは、多分政次は直親がやろうとして結局できなかった検地役人の素性を調べるというミッションをこなしているわけで、それはつまり政次の有能さの表れでもあって、政次にとっては父和泉守と同じくいつ鞍替えを決心してもいいわけで、それを今はおそらく「情」で井伊家に付いてるだけなんだよな。いつまでこの状態が続くのか、それが壊れるのはどういうきっかけなのか。いやぁ、高まってくるなぁ。楽しみ楽しみ。
 
ここまで言っといてなんだけど、私別に直親のこと嫌いじゃないんだよな。見ててイライラもしない。いや、確かに政次にしたことを考えると「お前…お前…!」って思うけど、直親には直親の理論と背景があるんだろうなって思えるし、政次に対してのめり込むように贔屓してないので、むしろ面白くしてくれそうな期待感しかない。三浦春馬が私の中で爽やかイケメンクズとしてモリモリと俳優としての地位を上げているw それもどうなんだ。
 
今川は癒し。まさか二年連続で徳川家康に癒されることになろうとは…。菜々緖の瀬名姫がバツグンにハマってるし、こっちはこっちで先に悲劇しかないことがわかってもいるので、そこをどうやって描くのかもすっごい楽しみ。今回ちょっと遅くなったものの、瀬名姫はほぼパーフェクトに近い密偵ぶりを見せてくれてるわけで、向上心と知性と機転をきちんと合わせ持ってる人なんだよね。どうやって家康とあーなってこーなるのか、面白くなる予感しかない。
 
これまでの6回、面白くなりそうな予感もあるしイヤな部分も無いし見続けると思うけど、なーんか「コレだ!」っていう引っかかりがないよなぁと思っていたのだけど、今回心から「一年間楽しみだ~」って思えたので、森下さんには心を強く持って一年間自由に走り続けていただきたい。もう既に視聴率悪いって話出てきてて不安だよぉ~;;頼むから見もしない外野は黙っていてくれぇ~!

おんな城主直虎 第6回「初恋の別れ道」

甘酸っぱいサブタイの割に、内容は結構エグいというか、不穏というか。次郎のあれは「恋」だったんだろうかと疑問に思いつつ、まぁそれ以外に言いようがないのも確か…なのかなぁ。相変わらず直親が聞き分け良すぎて不気味。
 
直親が「自分と添い遂げるために(名目上)死んでくれ」って言うのは、ある意味究極のロマンチック話なわけだけど、あまり好意的に見られないのは史実を知っているから?あるいは直親のキャラ付けのせい?政次と玄蕃が「聖人君子でしたね」と言い合う場面を入れながら、最後に政次に対してだけ「おとわはお前のものにならない」発言をさせるあたり、直親についてはかなり含みのある書き方がされている(ように見える)のが面白い。そしてそれに直面する政次の胸の内が明らかにならないあたりもジタバタする~!
 
そして「自分のために死んで欲しい」と無茶振りをしつつ、次郎が熟考の末「井伊のためにそれはできない」と断ると、潔くさっと身を引く直親の如才なさよ!そういう男上げエピソードをここまで配置させられながら、なんとなく胡散臭く見えるのは何なのだ…私の見方が穿ち過ぎなのか…それとも脚本と役者の演技にしてやられているのか…直親の今後が不気味なんだけどものすごく楽しみ。
 
そして、次郎の直親への気持ちはやっぱり恋愛感情ではないよなぁと思ったり。おとわの時代から一貫して亀(=直親)に対して深い親愛の情があるのは確かだけど、そしてそれが再会の約束と会えない時間効果で初恋だと認識しているのは確かだろうけど、でも正確に言えばやはりそれは恋愛ではなくて親愛なんだろうって気がする。そして、この時の次郎にとっては、直親よりも井伊家(の治める国)の方が、さらに優先すべき存在ということなんだろうなぁ。そこにあるのは自己犠牲的な精神ではなく、そちらをより強く自分自身が望んでいるのだと吹っ切れるのが次郎の強さだっていう風に感じられた。お家のために自己を殺してだと、あまりに重すぎて見てられないっつーのもあるし、森下脚本らしくないし。やっぱりね、自分で選んだ末の道であって欲しいよね。
 
政次に対してはなかなか容赦ない設定をガンガン詰め込んでくるね…なんかさー、中の人が高橋一生なので、不憫枠っていうか報われない役どころがあまりにもハマりすぎてしまい、それ自体は史実も合わせて仕方ないんだけども、見ていて胃がキリキリするというか。これって最後まで政次が報われないままだったら私キレるよ?森下さんならそうしないとは思うけど、ほんと頼むよ?別にいい思いさせたいとかハッピーにして欲しいとかは全然思わないけど、ちゃんと最後に納得して去って行けるような展開を希望。じゃないと可哀相すぎるので。
 
竹千代&瀬名の方も面白くなってきた~!雀は鷹にならない!と発破をかけられて、最終的に雀を懐かせてしまう竹千代と、それを見て「うっそぉ!?」と言う瀬名wこのふたりにどういう経緯を踏ませるのかもめっちゃ楽しみ。少なくとも、今の段階で瀬名姫の生きていく道の方が次郎の三角関係よりも断然面白そうなのは間違いない。
 

おんな城主直虎 第5回「亀之丞帰る」

小野和泉守が不憫すぎるって感想しかない。井伊家が9年間亀をかくまい続けてることを、和泉守は知りつつも今川に密告してはいないんだよね。もちろん今川側だって、かくまってるかもしれないこととかは全部わかってて、それをどういうときにカードとして使うかって話だから、みんなわかった上での猿芝居ではあるものの、少なくとも和泉守は井伊にとっての敵対行動を積極的に取ろうとはして来なかったんだなぁって思うといろいろと胸に迫るものがある。第4回での直盛の「敵討ちに見せかけて殺す策を理性で退けつつ、心から信頼しているわけではないという手の内も見せる」という対応に、いろいろ思うところもあったのかもしれない。
 
直盛は全く「理想の上司」ではなかっただろうけど、ある程度までは和泉守の重要性を理解しており、それを一定までは受け入れざるを得ないという分別もあるということはわかっただろうし、でも「本心では信用してないんだからな!」って言っちゃうバカ正直さを愚かしいと思いつつも憎めない部分もあったりしたのかなぁって。新野さんから直盛が「鶴から父親を奪いたくなかった」って言ってた話をこっそり聞いて「甘っちょろい男だ」って思いながらも苦笑したりしたのかなぁって。
 
あるいは次郎に語って聞かせた佐和の話っぷりからは、もしかして和泉守は佐和のことが好きだったのかなぁって。鶴がおとわのことを密かに想っている姿を見て、自分と佐和の関係を重ねていたりしたのかなぁって。だからこそ、井伊家に対して複雑な気持ちを抱きつつ無情になれないのかもしれないと思うと滾るものがあるな…!そう思わせる吹越満のおさえた演技が冴え渡った回だった。

おんな城主直虎 第4回「女子にこそあれ次郎法師」

子役回ラスト。これまで4回見てきて、今の子役ってすっごい演技達者だな~と思ったのも確かだけど、子役メインだとやっぱりダレるな~というのも正直なところ。4回かけて子供時代のおとわ(とそのまわり)というキャラを明確にしてきた構成は良かったんだけど、全体的にもう少し大人(特に井伊家の家臣とかまわりの国との力関係とか)の世界メインでその中に子役が光るみたいな展開ならもっと良かったのに。ずっと気になってるんだけど井伊家の家臣に筧利夫がいるのに全然エピソード無いのが気になって気になって…今回初めてちょっとアップで写ってしゃべってたけど、せっかくなんだからなんかもっとこう…ねぇ?
 
おとわが亀に対して持っている感情はこの時点では「恋」ではなくて「保護欲」に見えるな~。出家したらもう妻になれないと嘆くものの、鶴に「妻ではなく僧として支えてやればいい」と言われて俄然その気になるあたりが愚かしくも愛らしい。そして無邪気にも当の鶴相手に「こんなことなら鶴と夫婦になるという案を受け入れるんだった」とぼやいてしまうおとわの残酷さよ…他人の恋愛を含む感情にまるっきり鈍感というのは、ごちそうさん見てると森下脚本の定番という気がするけど、直虎ではどんなオチが待っているのやら。史実で考えたら直虎は生涯独身なわけだけど、その合間合間にどんな感情の動きを盛り込むかは作者の腕のふるい所なわけで、楽しみ楽しみ。
 
おとわ父が、自分が不甲斐ないことを受け入れた上で、ある意味グレーな結末を選ぶのが面白かった。これまで4回かけて、井伊家がどんなに人材として貧相か(男がどれだけ頼りないか)描いてきたんだと思うけど、その中でこういう決断をして、それで何とかやっていくしかないみたいないっぱいいっぱいな感じがにじみ出てた。それは最善の策じゃないと思うし、だからこそ井伊家はずっとピンチなんだろうけど、それでもやっぱりあのおとわ父の決断は心地よいよね。優しいけれど、優しさだけじゃない。けれど非情にはなれないし、だからこそ甘んじて受け入れるしかない苦みもたくさんあって、それを受け入れていく覚悟なんだろうなぁ。「鶴の親を奪いたくなかった」の言葉は心底直盛の当主としては愚かしいほどの人の良さが表れていたと思うし、直盛だから仕方ないって思われるってことは慕われてる当主ってことでもあるんだろうな。まぁ、甘いと思うけどw

おんな城主直虎 第3回「おとわ危機一髪」

おとわが可愛くなさ過ぎて笑うしかないw でも「ごちそうさん」を見る限り、このおとわの空回りっぷりは制作側の手のひらの上っぽい気がするんだよなぁ。め以子の可愛くなさとシンクロするので、森下さん的な落しどころがあるんじゃないかと思ってる。め以子にはこれっぽっちも共感できないけど、それでもめ以子のことは好きだし、ごちそうさんは見ていて面白いので、多分子役(おとわ)時代のいろいろが成人後の直虎に降りかかってくる構造になってて、あとでいろいろ唸らされるのではないかという期待。
 
龍王丸に勝てばなんでも褒美がもらえるというのを聞いて、おとわがまわりの空気を読まずに自分と自分とって突進していくのも痛いし、何度負けてももう一度って挑んでたまたま勝った時に「勝ったから褒美褒美」って強請るの厚かましすぎるし、それが通っちゃうのが朝ドラっぽいんだけど、実は今川側ではおとわの存在そのものははなからどうでも良くて、井伊家を効率良く捨て駒として扱おうとしてることがちょっとだけ明かされる。だからこそおとわの行動をそのまま主人公補正で持ち上げる脚本じゃないんだろうなって好意的に見られるの、まさしく「脚本家で見る」ってことなのかもしれないなぁ。勝手に理想を押しつけられる脚本家側はたまったもんじゃないだろうけどもw でも、そう思えるのが脚本家の信用ってやつなんじゃなかろうか。
 
おとわは真っ直ぐで素直で頭のいい娘なんだけど、聡明ではないっていうのが本当にまんまめ以子で、このタイプが森下さんの好みのヒロインなんだろうか。まさかこのタイプのヒロインしか書けないとか…いやいや、天皇の料理番の俊子は私の理想すぎるヒロインだったから、あっち方向も森下さんはちゃんと描ける人のはず。ということは、やっぱりおとわがこういうキャラであることに必然性があるんだろうなぁ。まぁ確かにまわりの空気を読みすぎる主人公というのは難しいよね。去年の信繁なんてほとんど最後まで空気読みすぎて自分が空気だったもんなぁ。真田丸はいろいろと規格外の作品だけども。
 
自分の軽薄な行動で井伊家がピンチになったという自覚があり、何とかしなければと奮起するおとわの姿には感心するけど、それで取る手段が「勝つまで挑む蹴鞠勝負」だもんなぁ。あれはおとわの無鉄砲さのエピソードでもあるけど、軽々しく「何でも褒美を取らす」って言っちゃった龍王丸の浅はかさという側面もあるのかもしれない。寿桂尼の言葉はそんなニュアンスだったよな。今川家の公家風な武家スタイルがめっちゃ平家っぽくてゾクゾクする~!義元はしゃべらない路線を引っ張るのかと思ったら、最後にあっさりしゃべってて拍子抜け。でもおとわたちがいる公の場で声出さないのは、格の違いを見せつけるっぽくて良いなぁ。
 
佐名様についての説明で「お手つき」がおとわとたけで解釈違いすぎても話が進んでいくの面白かった。たけの説明がずいぶん大げさだったけど、妻としての人質であの仕打ちなら酷い話だけど、妙齢の娘が人質で当主のお手つきって、良くある話とかじゃなかったんだろうか。当時の慣例がわからないから判断しづらい。お手つき後、今川家臣に下げ渡されたらしいけど、井伊家の格から言ったらとんでもなく格上に嫁いだことになるような気もするし、今川家内にあてがわれた?佐名様の部屋もあったし、そこまで酷い扱いされていない気がしたんだけどどうなんだろう?内情でいびられてるとかなら実家を恨むのもわかるけど、寿桂尼にお手紙して配慮してもらったりしてるし、佐名様の今川家での立場がそんなに悪くなさそうなので、佐名様が井伊家に対する確執があるという設定がどういう描かれ方をするのか、俄然楽しみになってきた。
 
瀬名姫というのは、今回の大河が始まってから調べたけど結構すごい運命が待ってるのね…「龍王丸さまに蹴鞠で勝って妻にしてもらうの!」ってところまでは微笑ましいのに、その後「そして今川を手に入れる!」って宣言にピキッと笑顔が固まるよね。このわずかなセリフで瀬名姫というキャラを表現し尽くしちゃうのスゲェ。直虎と友情?らしきものもある設定らしいし、家康とのあれやこれやは興味深いし、めっちゃ楽しみ。
 
・瀬名姫役の子が菜々緖になるのわかりすぎてびっくりした。美少女っているんだねぇ…
寿桂尼の圧倒的カリスマオーラ…!
・佐名様の圧倒的薄幸オーラ…!
・おとわ爺に拉致られた鶴が妙に大人びて「弟も攫わないと」とか言うのほんとしんどい…
・おとわ爺の後先考えない感じが井伊家の家風だとしたら今後不穏すぎる。
・おとわ父の胃の具合が心配。気苦労耐えなそう。
南渓和尚の策士っぽく見えて全然ダメダメな感じが美味しすぎる。
・小野和泉守が思った以上に鶴が攫われたことに動揺してるように見えたので、今後楽しみ。
・おとわの子役が本当に井上真央に見えて困る。

おんな城主直虎 第2話「崖っぷちの姫」

タイトル書くたびに(まだ2回目だけど)この「おんな城主」ってタイトルはもうちょっと何とかならなかったのかと思う今年の大河。タイトルで損してると思うんだけどどうなんだろね…?
 
ごちそうさん」の再放送(森下佳子脚本)を見ているからこそ感じるのかもしれないけど、おとわがめ以子に見えて困る。いや、あの食欲魔神なところではなく、なんていうか空気読まずに我が道を行く傍若無人さとかすごく似てる。考えてみたら「天皇の料理番」の秋山篤蔵もある意味そうだったよな。森下さんの好きな主人公タイプなのかもしれない。これで理不尽に主人公が持ち上げられると視聴者として腹が立ってくるんだけど、森下さんは傍若無人な主人公にそれゆえの因果と試練をガッツリと与え、その中でどうもがいて再び立ち上がるかを描く人だと思ってるのであまり不安は持ってないけども。今回もそういう路線なのかなぁ、そうなんだろうなぁ。だったら今は耐える時期なのかなぁ。そういえば「ごちそうさん」も初週ツラかったよなぁ。とかつらつら思いながら見たり。
 
おとわが亀に対して持ってる感情が「恋」なのかよくわかんないんだけど、これって恋なんだろか?あまりそう見えないから、おとわが心底まわりの空気を読めない姫にしか見えなくて困る。一心に亀を待とうとするっていうのは一途で健気な少女の行動のはずなのに、そう思うに至ったおとわの心情がさっぱり理解出来ないので、なんかちぐはぐなんだよなぁ。一話ではあまり気にならなかったけど、今になってみると、それまで自分が当主になるつもりだったのに、親に決められた許嫁にいきなり心底入れ込み始める少女っていうのが違和感あるのかなぁ。そうなるに至るきっかけとがかガッツリ描かれればまた違った印象になった気がするんだけど。まぁまだ描かれていない別の解釈があるのかもしれないし、ちょっと保留かな。
 
ムロツヨシの「となり村に死者を出した時に代償として差し出されるための存在」という当時の壮絶な村システムと、それをきっちり描く姿勢に二度びっくり。かなり刺激的な設定だと思うんだけど、こういうのちゃんと描くとドラマがピリッと引き締まるというのもあるのかも。いずれムロツヨシは出世して豪商になって帰ってくるらしいからそういうギャップも楽しいのかな。
 
おとわの母の千賀(財前直見)がちゃんと戦国時代のインテリ女性っぽくて好き。今川筋の出身でありながら、井伊家の正室としてお家存続のために毅然としてるところいいよね。おとわの暴言に「阿呆ぅ?」とプチッと怒るところとかほんと好き。去年の稲姫もそうだったけど、当時の婚姻は政略的なものだけれど、嫁いだ先でその家の家風に馴染んでその家を守るために戦う女性が好き。どこかで見たんだけど、当時の女性にとっての政略結婚はむしろ今で言う就職のようなものっていう解釈はなるほどなぁと思った。
 
今のところ作中では井伊家の家臣には小野和泉守(吹越満)は悪者っぽく扱われてるけど、見てる方としては実際に直満(宇梶剛士)が謀反を企てたのも、それに対して申し開きを何も出来なかったことも事実なので、特に小野は悪くないんだよね。そのあたりをどうやって描いてくるのかなぁ。息子にたいしてボソリと「可愛げがない」って吐き捨てるシーンあったから、この親子関係が今後かなり見所になる気がする。言葉が足りなくてお互い親と子の気持ちを理解し合えなくて不幸になっていくやつなのでは…それなんて清盛重盛親子…(涙)