麒麟がくる 第5回「伊平次を探せ」

鉄砲の抑止力の話。この時代に「新しい兵器による抑止力」という考え方は新しかったのかもな~と一時感心させつつ、その後すぐに伊平次に「その抑止力を得るために、全ての勢力が躍起になって兵器を求めて軒並み戦力が上がる」というしょーもないオチを語らせちゃうのが面白かった。抑止力としての武器なんて(ある面では効力があるのかもしれないけど)所詮机上の空論なのかもしれんなぁ。あるいは兵器を多く手に入れたい人の詭弁か。

遊女屋の描写がめちゃめちゃ拘ってた。そしてあれがきっと「あしずもうだ!!」て興奮してしまった。先週?先々週?だかに足相撲って誰かが言ってて、なんとなく意味は分かるけどいまいちピンと来なかったのだけど、今回あの映像みて「これだっっっ!!」て思ったので多分狙って映像入れてるんだろうな。個人的に、当時の風習とか文化とか、そういうのの学習映像としての価値が非常に高そうな大河ドラマという印象ある。第二回の戦闘シーンとかも、不自然なくらい「見て覚える教育ビデオ」的な説明的映像多かったもんな~。そういう部分が面白いんだけども。もっとこだわりの映像見たい。

道山と光秀。道山は鉄砲に興味津々ではあるのだけど、光秀が戦には向かない理由を上げるとすぐに納得するあたり、根っからの戦バカではないんだろうな。むしろ戦に向かない鉄砲を作らせる将軍側の真意をすぐに訝しむあたり、百戦錬磨感がめちゃめちゃ滲み出てる。そして光秀はそういう道山の何気ない疑問に反応して、誰が何のためにやろうとしているのか?という視点を学習していっているように見えるのが面白かった。道山はかなり光秀のこういう聡明な部分を評価して伸ばそうとしているように見えるんだけど、肝心の光秀はそういう道三の思惑は全く理解せずに、むしろ「あの人は好きになれん!」と明言するくらい人望が無いの笑ってしまう。そういえば今週、再び京に出向くときに光秀が「全額負担してください」って事前に言ってて、ここにも学習効果が!って頼もしかった。事前に予算面での損得をキッチリ決めておくとか、道三の下についていなければなかなか身につかないぞ。

光秀が鉄砲の精巧な模型図を描いて構造を調べようとしている姿を見ると「尚之助…」という気持ちになる。私がハセヒロさんを認識したのは「八重の桜」だったので感慨深い。その後伝吾に鉄砲を撃つ仕草をして見せるとひっくり返って怖がるのが面白かった。第一回で光秀が盗賊の頭に鉄砲を向けられても全く動じなかったのを考えると、このわずかな時間でものすごい兵器としての情報量が入っているんだろう。人はそれでなくとも学習する生き物だし。つまり、鉄砲の抑止力を行使するには相手が鉄砲の恐ろしさを知っていなければならないわけで、そのためには鉄砲による大量殺戮が行われた実績が必要なわけで、結局抑止力のためには事前に大量の犠牲が必要ってことになり、やっぱり机上の空論だし詭弁なんだろうな。

駒ちゃん。今週になっていきなり光秀好き好きモードに入っててビビった。そんなに突然前のめりになるほどの理由ありましたっけ…?やっぱりこの前菊丸に「歩き方もいいですねぇ」って誉められたのが刺さったのか? 駒ちゃんが光秀を好きになる理由はよくわからないけど、この設定が今後の展開に繋がっていく可能性もあるので保留…。牧さんは明らかに駒ちゃんの気持ちに気づいていて、気の毒そうな表情なのが地味に胸に詰まる。牧さんは駒ちゃんに好意的だろうし、例えば光秀が駒ちゃんと結婚したいと思ったら認めそうだけど、少なくとも今の光秀が駒ちゃんに対して興味を持っていないことは丸わかりなんだろうなぁ。あとは駒ちゃんの気持ちが一過性の儚いものだと思っている…のかもしれない。何にせよ保留。帰り道の菊丸の「ええっ?近江に?それはないでしょう~」って言い方がめちゃめちゃわざとらしくて笑った。これはわざとらしいいいぶりという演技なのか、本当にただ演技がダメだったのか、ちょっと読み取れなかった。菊丸が首を寝違えているってエピソードすら裏があるのか何なのかわからなかった。菊丸の謎さはマジでわからないのでここはキャスティングが大正解な気がする。

満淵藤英&細川藤孝兄弟との邂逅。光秀と藤孝の殺陣シーンは多分演出家のコダワリの詰まった気合の入ったものだったと思うんだけど、ちょっと長かったしそのコダワリ部分がわかりにくかった気もする。藤孝が型を何度か構えなおすのとか、多分見る人が見ればこのシーンにも物語があるんだろうなぁって思いながらダレたもんな…でもまぁそういうシーンがフックになる人もいるのだろうから、それはそれでよし。そしてあっさりと足利義輝将軍に目通りしちゃう主人公補正!この時代の将軍はまだまだ雲上人ではなかったのかも。それにしても向井理さんの義輝めちゃめちゃ美しくて眼福…なんていうか、室町末期の貴族風武家のトップとして、そこはかとなく漏れ出る頼りなさがこれ以上ない配役って感じ。最高。

松永久秀との再会。ここからラストまでほんっと吉田鋼太郎さん劇場って感じで面白かった!勢いとその場のノリだけで生きているように見せかけて、その実きっちりと計算して先を見ている男なんだよなぁ。「戦は変わるぞ」ってセリフにはゾクゾクした。しかし、結果的には睨みあいじゃなくて大量に人が死ぬ方向に変わっていくんだよね…しんどい。遊女屋で一人一人に「後でな」って声かけてて律義だったw そしてあれアドリブだったらしいという記事を読んでさらに笑う。全然信用出来ないし味方だとも思えないんだけど、好感度高くてついつい話を聞いてしまう的な人物としてがっちり光秀の心に食い込んできている感をヒシヒシと感じる。

伊平次と光秀の間に「瓜泥棒で井戸から助けてもらった」エピソードがいきなり出てきて笑った。都合よすぎるけど大河ドラマとしてはあるある。尺とテンポという難題を解決するには多少の強引さは必要なのだ…(わかった風に)