いだてん 第21回「櫻の園」

OPまたスヤさんの場所が変わってた。もはやこの程度の変更は通常運行

個人的に、今回四三が「女子スポーツの振興に携わりたい、熊本には帰りたくない、スヤさんは東京に残って欲しい」という要望を言い出した時は「勝手なこと言いおって~!幾江さん一人でかわいそうじゃん!」とかなりマイナス評価だったんだけど、結局のところこの四三を無理矢理熊本に戻らせて教員にしたとしても、鬱屈としてかなりめんどくさい事態になりそうな予感はプンプンするので、「好きにしろ」としか言いようがないよな~とは思った。そして、四三をそういうめんどくさい男として設定したことをすごいな~と思う。あらかじめ四三の人生の大筋は(史実だから)決まっていて、そこに説得力のあるストーリーを与えるためにキャラ付けは重要だと思うのだけど、養子に入りながら金栗姓を使い続け、地元に戻らずマラソン三昧という客観的な史実のためのキャラ付けとしてすごく納得できてしまうの、上手いよなぁ~って。

で、小ネタの多い女学校編。薄汚い体操服で帰宅途中の女子生徒に声をかける姿が完全に不審者で笑うしかない。永井先生のテニス指導からの香水振りかけあたりで「きっつ~」って耐えられなくなりそうなところに、どう見ても駆け足ねじ込み気味の女子やり投げによる生徒懐柔がトントン拍子に進む展開、あまりに嘘くさくて逆にネタとして笑って受け入れやすかった。四三はヤバい人一直線だったけど、全員が「シャン」だって言うところとかは持ち前の天然人たらしっぷりを発揮してたな~。あのあたり完全に嘉納先生に影響を受けている気がする…ヤバいヤツに師事してしまったなぁ。

女子生徒がスポーツに目覚める展開そのものはテンプレをネタとして使って時間短縮したってイメージだった。四三の人生だけの大河だったらもっとゆっくりできたのだろうけど、今回主役が途中で交代する大河なので尺足りなかったのかも。これだけ尺がなくて端折ってるのに、テニスボーイ姿の永井先生のカットはしっかり入れるあたりに、ネタは意地でも入れるという制作側の熱が感じられて苦笑せざるを得ない。

シマちゃんの結婚。あまり本筋に関わらないので全然いいんだけど、シマちゃんの家庭環境はついに全くこれっぽっちも明かされることがなかったのちょっと残念だったな~。三島家の女中から「女学校への入学を目指して」カフェで働きながら学び、その後女学校教師というかなり生粋の職業婦人となった経歴を見ると、すごい先進的な家庭かすごいフリーダムな家庭なんじゃないかと思うんだけど…。でもまぁシマちゃんの家庭環境がわかったらさらにキャラ掘り下げになるかというと、別に必ずしもそうではないだろうし、取捨選択の結果なら仕方ない。

増野さんの言動があまりに理想的過ぎて、逆に裏があるのかと訝しんでしまった。ただ単に現代になってもこれが理想論だと感じてしまうことへの皮肉ってだけかなぁと今は思っている。それにしても、こんなに先進的な考え方をする人であれば、トクヨさんも実際に会ったら野口君を諦めて結婚を考えたかもしれないので、運命は(というか脚本は)残酷だなぁ…。シマちゃんの「走りたい」という夢はそのままでは多分叶わないのだろうけど、この感じだと子供がオリンピックのマラソン選手になるとかそういう流れだろうか。五りんの父親が箱根駅伝走ったって言ってたけど、そっちに繋がったりするのかな。楽しみ~

小梅と清さん。清さんがいい男なのは確かにその通りなのだが、あの小梅が清さんとくっつくまでの展開がむしろ興味深いのでそこをもっと見せて欲しかった。でも多分こうやって隙間ありまくりの妄想ふくらましまくりの方が楽しいのかもしれない。若い頃の小梅は絶対清さんと一緒になるとか考えもしなかったと思うので、ここは二人が積み重ねてきた年月が感じられて良かったなぁ。そして美川君を追い返すシーンは、口でキツイことを言いながらも小声で気づかう小梅に、「やっぱり美川君のダメっぷりは情が移るよねぇ」って苦笑いした。