いだてん 第7回「おかしな二人」

サブタイ見た瞬間、岡嶋二人!!って思ったんだけどもしかして違う?直虎の時、サブタイの元ネタ記事結構見た気がするけど、今年もあるのかな。ネットでの関連記事は、NHK側が発信してる情報が入ってる、ちゃんと番組の宣伝兼ねてるタイプの記事しか見ないようにしてるので、あまり情報が入って来ない。

四三と弥彦の二人を巡る物語の回。弥彦についてはこれまでもジワジワとその背景が描かれてきてたけど、今回答え合わせのようにばしばしピースがはまっていく感じに高揚感があった。弥彦が負けず嫌いなのは予選会の時に示唆されてたけど、嘉納がそれを把握した上で巧みに選手登録にもっていく手腕が見事だった。そしてタバコに火を付けようとして迷ってへし折るシーンで出場の決意を表す場面、初心者にわかりやすい演出でドラマの見方を教えてもらってるようで嬉しくなってしまった。あれってタバコが体に悪いからだよね?こういう演出を含めて見れば、喫煙シーンにも一定の意味はあると思うけどなぁ。

弥彦については、兄に対して劣等感があり、三島という家名に対して誇りもあり、自分の行いがそこから認められていないことを自覚してもいて、内心は母と兄に認められたいとも思いつつ、ヤケになって迷惑をかけるほどの反発心はない、という複雑な性格が良くわかる。基本的に本質は善良なお坊ちゃんなのが伝わってくる。

写真を現像してる場面で、四三の様子を聞きながら「羨ましい」って言ってたの印象的だった。そして現像した写真には、和歌子様のお姿が…!泣ける。そして感傷的なシーンで弥彦の部屋の裸のポートレートがめっちゃ映ってて、これぞクドカン!という感じ。一方三島家からの帰り道、四三は豪邸を見上げて口にすることも出来ない「羨ましい」気持ちに震えるんだよな。「金はあるが出場できない三島、出場は出来るが金がない金栗」という言葉が、その意味以上の重さでのしかかる瞬間。人は持たざるものを羨まずにはいられないのかもしれないなぁ。(わかったような顔で)

嘉納治五郎のヤバさに先週以上に磨きがかかってる。数回前から感じてたんだけど、いだてんでの嘉納先生ってまんま真田丸での昌幸ポジションだよな~。ただ、真田昌幸は完全に本人が自分の山師としての性格を熟知した上で楽しんでたけど、嘉納治五郎はやってることは山師的でも本質的には誠実でありたい人でギャップに苦悩してるイメージ。そのギャップと苦悩がそのまま嘉納治五郎の魅力になってるの、本当にキャラの積み上げとして神がかってる。

今回の勝海舟フロックコートのエピソードとか小憎らしいほどに上手かった。事前に嘉納先生のキレ芸があって「やっぱりヤバいし面倒な人だなぁ」って気持ちが傾きかけたところであのエピソードが入ると「でもいい人なんだよなぁ」って一気に反対側に気持ちが振れるし、でも両面を見ているせいで嘉納のいい人エピソードが美談になりすぎないのがいい。こういう「いい話ほど感動演出を控える」みたいなのは、多分クドカンさんの照れというかこだわりみたいなのが影響してそう。と言う妄想。こういう一歩引いた感じ、三谷幸喜さんと似てる気がする。そしてこの一歩引いてる感こそが脚本家への信頼感になってる気がする。

それにしてもフロックコートのエピソード、良かったなぁ。四三が「渡航費がない」って口にできないままなのに、お金に困っていることを察してからの一連の流れが小気味よいのと、結局「渡航費がない」という問題は煙に巻いたまま人情論で押し切った嘉納のキャラのブレなさに、さすがと言うしかない。

四三のために嫁ぎ先に借金の仲立ちをするスヤちゃん。あれ?スヤちゃんて四三と結婚するんじゃないの!?のちのち戦争で未亡人になるんだろか。あるいは結婚ではなくこれから先ずっと金銭的・精神的な援助する立場なんだろうか。今回あまりNHKのサイトとかも見てないので、これからどうなるのか楽しみが増えた。それにしても綾瀬はるかさん美しいなぁ~。今回結婚が決まったからか、女学生時代より少し艶めかしい髪型と所作になってて素晴らしかった。この時代好意を持っていることと結婚できることは全くイコールではなくて、それが当たり前に描かれていて切なかった。

美川君、兄に対して悪い方向の印象操作してるように見えるけど、美川君にとっては正しいイメージなのかもしれない。四三に対して「騙されてるよ」って諭すシーンも含めて、全面的に心から応援できるほど心が広くもなく、でも応援したい気持ちがあるのも真実で、複雑な心のうちが滲み出てる。いいなぁ、好きだなぁ美川君。

兄上、1800円現金で持ってきたの怖すぎ!そしてそんな大声で言っちゃダメでしょ!!(兄上の豪快さの表現だよね、わかります)