麒麟がくる 第4回「尾張潜入指令」

先週は見事ひょうたん打ち抜いてたけど、今週は10回連続で的外してるらしい。光秀が「おっかしいなぁ?」みたいに首傾げてるの可愛い。伝吾が笑うのに「いーっ」て顔してるのも可愛い。ハセヒロさん可愛い。伝吾は徳重聡さんで、私の中では八重の桜のやたら声に色気のある大久保利通の印象が強い。今年は最初から最後まで光秀に付き従うんだろうか? 第一回から槍?の立ち回りカッコよかったので楽しみ。

東庵VS道三。腹の探り合い、狸と狐の化かし合い。東庵の頭ぺしっ!道三の肩ぺしっ!わっはっは~!が怖かったw 東庵が「医者は守秘義務あるから患者のこと喋らないよ」って言った時、一旦(形だけでも)道三は「そこを曲げて頼みたい」って頭下げるんだよな。こういうとこが道三が成り上がれた理由なのかなぁと思うなど。先週の頼芸に対する態度もそうだけど、頭を下げてみせること自体は全然気にしてない感じ。まぁ、頭下げるのはタダだからな…。

道三が「首を跳ねよ!」って激昂してみせるのも、東庵が渋々「引き受けましょう」と受諾するのも、形式美的というか、道三と東庵は脚本なき小芝居を即興でやってるだけって感じなのが面白かった。相手がどこまで譲歩するか、どこから本気で危ういか、探り合い&化かし合いを楽しんでやってる感がある。東庵が引き受ける条件として借金の肩代わりを要望した時、道三の口がピクピクって動くんだけど、それが怒りじゃなくて面白がってるってわかって感動してしまった。損得勘定で情報を売ろうとする東庵に対して、この時道三なりの信頼が芽生えたのかも。一話で道三が光秀に価値を見出したように、道三の人を見る目は独特のタイミングで発揮されるっぽい。ただ、せっかく芽生えた信頼を相手に上手く伝えて相互理解が出来れば、もっといい主君になるんだろうけどなぁ。

道三は光秀に交渉させる時も「従わなくば娘を殺すと言え」ってアドバイスしてて、殺せとは言ってない。もちろん実際に裏切ったら許す気はないかもしれないけど、人質は殺したら価値がなくなってしまうことはわかっているし、実際に情報だけもたらしたら東庵も駒も光秀に「好きにしていい」と言っているし、ちゃんと理にかなった扱いをしているのが見ていて気持ち良い。

鉄砲について気にしている道三。先週高政が「興味が無いから自分と光秀に任せた」と言っていたけど、道三の口調はめっちゃ期待をかけているっぽい感じ。これはもしかしなくても、道三は高政のことも内心ちゃんと認めているのでは…? 言葉が足りない、態度がわかりにくいがために親子がすれ違っているヤツでは…? そうだとしたらエグい描き方するな…とこの先に思いを馳せる。

東庵VS信秀。道三が信秀の体調を探っていることをすぐに明かして堂々と情報収集するあたりが、東庵が百戦錬磨で世慣れてると感じるところ。隠れてコソコソ秘密を探ってるんじゃなくて、堂々と情報収集に来てるんですよって建前を全面に押し出して無理矢理押し通るスタイルはおそらくこの時代最強。まぁ相手次第ではあるけど、東庵にとっては道三も信秀もその建前に乗ってくる人物だと判断したってことだろう。やり過ぎるとすぐ命の危険に直結しそうな綱渡りだけど、そこはそれ、東庵先生は生粋のギャンブラーだからね…。

信秀は傍目には元気に見えるけど、東庵の見立てでは矢の傷が元でかなり末期的な状況らしい。蹴鞠のあとにやたら汗をかいていた描写がそれだと思うのだけど、この時点で東庵の見立てが合っていると確信出来る描写はなかったように思うので、どう受け止めるべきなのか迷った。メモ書きの単語と縁側でのわずかな会話であれだけの内容を正しく読み解く光秀の才覚も表現している…のかな。

光秀、絶体絶命のピンチからの脱出。織田の者に捕らえられそうになった時に助けてくれた農民(では明らかになかった。忍びの者?)は何者なんだろう。タイミング的に菊丸の仲間としか思えなかったけど、今のところ曖昧にごまかしてたしなぁ。菊丸と再び合流して逃げる時、さり気なく菊丸のカゴを押してあげる光秀の仕草にキュンとした。そしてあれだけ全力で刃向かったら、織田家にいる東庵先生は大丈夫なんだろうか。「えぇっ!? あの薬草売り、怪しいヤツだったの!? 全然気づかなかった!」ってあのウソっぽい大げさな演技ですっとぼける東庵先生がめちゃめちゃリアルに思い浮かぶ。

チビ竹千代! か~わいい~! 「ちちうえはきらいじゃ!」とかか~わ~い~い~! 「噛まずに口に含んでいると気が紛れますよ」って言われてるのに、速攻でお口モグモグしちゃうのもかわいい。口に入ってるとセリフ言いにくいもんね。和んだ。あとハセヒロさんの光秀が薬草売りに見えなすぎて笑う。「物売りのフリをしている(でも隠せてない)演技」ってかなり難易度高そうなので、やっぱり役者さんはスゴい。

そしてまさかこんなところで光秀と家康が出会ってる設定入れてくるとは。太平の世に麒麟がくるとすれば、麒麟を連れてくるのは徳川幕府を開くこの家康なわけで、でも光秀が信長を本能寺で討った後に死ぬとしたら、当然徳川の世を見てはいないわけで、そうなると光秀は麒麟がくるのを見ることは出来なかったという結果になるわけで。そういう無常観で終わらせるのは(美しいと思う一方で)虚しくもあって、少しでもハッピーに終わらせるために光秀=天海説来る?来ちゃう!?と第一回を見た時にうっすら思ったことを思い出した。あまりにロマンチシズムの極みなのでまずないだろうと思ってたけど、これはワンチャン…いや、やっぱないだろうなぁ。でも、最後まで視聴者がその可能性を考えずにいられない展開にしてくるのかも。ラストが今から楽しみだ~。

駒ちゃんと光秀のシーン。京に帰してあげられるのが嬉しい(というより安堵した)光秀と、京に返されると感じて寂しい駒ちゃん。ここもなぁ。駒ちゃんが「わかります? そういうの」とぷりぷり怒ってたけど(可愛かった)、駒ちゃん自身が「そういうの」が何なのかをわかっているのかという疑問が。恋…というか憧れ成分が強いのかなぁと思うんだけど、駒ちゃん自身自分の気持ちにあまり自覚的でないように見えるからこのセリフの意味も曖昧だし、この恋心?がストーリーにどう作用するのかが想像つかなすぎて落ち着かない。うーん、わからん!

そして唐突に放り込まれたパワーワード「本能寺」。この時代、本能寺で鉄砲の製造が行われていたっていうのは最新の研究成果を踏まえたエピソードなんだろうか。そう言えば直虎でも井伊谷で鉄砲作るとかなんとか言ってたっけ。こうやって僧侶がわざわざ道三に情報を売りに来るのを見ていると、この時代の医者や僧侶はそういう「情報をまわす」ことが役割の一つなんだろうなぁって思う。

光秀の「鉄砲を誰が作っているのか」という疑問に対し、思うところのありそうな道三の表情。まだ理想だけが高くてどうにもやることが地に着いていない感じのする青臭い光秀が、世の中の事象について「誰のせいで」「何の思惑で」そうなっているのかを考え始めたという描写でもあり、それを興味深く見定めている道三という描写でもあるのかな。光秀の成長とも見えて、なんとも面白い~。