麒麟がくる 第3回「美濃の国」

全体的に小粒で隙間回だった印象。その中でも斎藤道三インパクトの強さは健在。しばらくは道三が物語を引っ張る感じなのかもな~。

先週ラストで「面白や~」と歌を歌いながら娘婿に毒を盛るという鬼畜外道な行為をしてのけた道三は、今週毒殺した娘婿の実家に挨拶に行って「お前が殺したんだって?」と聞かれた時明らかにすっとぼけた顔で「わたくしが?」と聞き返すという、外道としてパーフェクトな対応をしていた。この場合の「外道」はこの時代の褒め言葉だと思って使っている。外道でなければ商人から守護代まで上り詰めるなんて無理だろうし。頼芸がまた気楽に鷹の絵とか描いてるように見せかけて、その実道三に対して腹にすえかねる想いがあるということを表現する演出が素晴らしかった。尾美としのりさんの演技がすっごい絶妙なんだよな。鷹の絵の話を導入に、土岐家が守護として実権をほぼ持っていない現状を諦めて受け入れている雰囲気をやんわりと見せつつ、何気なく口にする「殺したな?」って言葉が持つ凄みとか、めちゃめちゃゾクゾクした。鷹の絵というのは多分守護という身分そのものの隠喩かな。こういう、読み取れる情報や推測出来る設定が多々ある、でもなんとなくふんわりと雰囲気だけ見ていても良いシーンというのは、本当に大河の面白さの一つだと思う。

頼芸に対して態度は一貫して家臣の立場を崩さないのに、目力と口調でゴリゴリと自分の優位性を示してくる道三がさすが。ある意味家臣としての態度そのものが煽り芸にすら見えてくるからすごい。そうでなければ成り上がることは難しいのだろうし、一方でそういう父親の態度を受け入れがたい息子の高政との対比も興味深かった。道三の態度にドン引きしている高政、ホント素直なお坊ちゃんだよな~。

高政はこれまでもわずかな描写の中で、父親に対する屈折した想いがあるという描かれ方をしてたけど、一人息子の跡継ぎなのに妾の子であるから自分を認めていないのだという思いが昔からあったんだろう。これまでは頼りない息子っぽい描かれ方だった気がするけど、今回は光秀に対して父親の守護代として至らぬ点についてかなり冷静に指摘してて、「おっ!やるやん!」と今後が楽しみになった。ただ、頼芸の「息子と思うて頼りにしている」の言葉にまんまと乗せられているあたり、基本が真面目で人が良く理想主義なんだろうなとも思ったし、深芳野と道三の息子にしては素直過ぎる育ち方をしたなぁという気も。いや、道三じゃなくて頼芸の息子なの…か? 今の時点では(頼芸の息子であると思わせる演出になってたと思うけど)どちらとも解釈できるし、多分今後の道三と高政の対立への伏線にもなってるんだろうな。それにしても道三はどう見ても母子の(父親が誰かという)会話を聞いていて、ちょっと面白がっているようにしか見えない。こういう、相手の困惑に気付いていながらそれを一人で面白がって、相互理解の努力を全くしないところが今後に響いてきそう。

帰蝶。出てくるたびに「撮り直したんだよな…」と思ってしまうのをやめたい。あと川口春奈さんすごい演技が固くて緊張してるように見えるんだけど、帰蝶の今の(話の中の)状況と上手く重なって、演技の緊張がキャラとしての張り詰めた心境に見えて、すごくいい感じに働いている気がする。直前の代役、めちゃめちゃプレッシャー大きいと思うんだけど頑張って欲しい。応援してる。

今回帰蝶が子供の頃一年ほど明智荘で過ごしたことが判明。その間に光秀は51回双六勝負して全敗したエピソード。運が悪いことの伏線? このうっすらと帰蝶が光秀を気にしているっぽい描写は何か今後に活かされるのか。帰蝶も光秀も今後の伴侶が既に判明しているので、こういう描写がなぜ挟まれるのかということを考えてしまう。ぶっちゃけ、造形がハセヒロさんてだけでぽーっとなる気持ちはわからんでもない。ただ、ここまで描かれた限りでは光秀というキャラが帰蝶にとってそこまで魅力的に映るか?と考えると、ちょっと弱いかなぁという気もする。

今回、駒ちゃんからも光秀に対して憧れ的な視線が描写されていたので、この(ほのかとはいえ)ハーレム的要素って必要だから描かれてるのか、脚本家の嗜好なのか、ちょっとまだわからないので様子見。そう言えば、菊丸が光秀の歩み去る姿を見て「歩き方もいいですねぇ」って言ってて、あまりにおおざっぱな持ち上げ方で思わず笑ってしまった。歩き方ってどんだけ雑な褒め方なんだwww 駒ちゃんを助けた「大きな手のお侍さん」は光秀の父親とかそういうフラグなのかなぁ。これもどこに収束していくのか、今後の行く末を見守りたい。

尾張の話。前回の大敗からはみんなすっかり立ち直っている様子。平手政秀が遠目に西村まさ彦さんに見えて、ここにも叔父上似の武将が!?すわ伏線回収!?!?と思ったらただの目の錯覚だった。だからぁ~前回の謎演出のせいで変な先入観持っちゃったじゃないか~。ここの織田信秀と平手政秀の会話で、織田家が守護でも守護代でもないこと、そして織田家はどちらも恐れぬ実力があることが説明されてて上手いなぁって思った。あと織田家が根っからの戦国武将で戦好きなのもわかって面白い。

最後の最後で顔見せだけだったけど、今川義元片岡愛之助。なんつーか、真田丸の印象が強すぎて大谷刑部!!と思ってしまう不具合ありつつ、今年の今川義元桶狭間で勝つかも…?と思わせるオーラがすごい。今後の出番が純粋に楽しみ。

全然どうでもいい話だけど、自分の家では4K環境で録画して見てるんだけど、紀行の入りの部分、ナレーションの音が切れてるような気がするのが気になる。BSとか総合の放送では切れていないので、4Kだけ調整が間に合ってない?設定がおかしい?みたいでちょっと気になっている…。