いだてん 第18回「愛の夢」

OPのスヤさんの入り方が先週と違う…!一体何パターンのOPがあるんだろう…オリンピックの映像も初期と全然違うし(アベベどこ行った)もしかして細かい変更は毎回のようになされてるのか!?もしや真田丸パターン!?

小説家はやめて今度は画家になるらしい美川君。微妙な画風の美人画(?)のモデルはもしかして小梅ちゃんなのだろうか…? 美川君が相変わらずダメ男まっしぐらな上に言動がキモくて(ロミオ~って言ってるシーン、素で殴りたくなったw)でもなぜか愛しい…なんだこの感情w 小梅ちゃん、最初のころどう見ても「こいつやべぇ」って目で見てたのに、今はヤクザ者の愛人をしながら美川君を養っちゃってるんだなぁ。本当に惚れているというより、情が移っちゃったんだろうなぁ。なんとなく小梅ちゃんの気持ちがわかってしまうのが嫌だw お互いに相手を利用しているようで、お互いに相手に利用されていることも含めて現状を受け入れているかのような関係性、刹那的に見えて地味に強そうなのが興味深い。

女子スポーツに関するあれこれ。トクヨさんが永井先生信奉者からの脱却。やっぱり留学は世界を広げるんだなー。永井先生のやり方や考え方を「時代遅れ」ときっぱり切り捨てる一方、それでも、そんな聡明なトクヨさんでも、この時代の女性のスポーツは「子を産み、母となるための健康な体を作る」ためのものとしか主張できないの、結構しんどいなー。四三からスヤさんへの手紙でも「お国のために健やかな子を」ってシレッと出て来たり、もちろんこの時代はそういう時代なのだし、実際に手紙に書いてあることをうまく取り入れているのかもしれないけど、なんかこうフィクションで楽しんでるところに現実を目の前に突き付けられた気になってドキッとした。クドカンさんの脚本はこういうとこある…ホントある…。あと全然関係ないけど、トクヨさんの「ハッハッハ」って笑い声がめっちゃ複式で素晴らしい発声だった。

トクヨさんの言葉に冷水を浴びせかけられつつ、シマちゃんが早朝に町を走るシーンは良かったなぁ。最初のワンコと一緒に走る構図最高だった。シマちゃんがどんどん笑顔になるんだよね~。あ~本当に走るのが好きなんだなぁって。そして息苦しくなって倒れこみ、帯を振りほどいて再び走り出すところも最高に良かった。そこで脱ぎ捨てるのは古い価値観か。でもシマちゃんに「女子スポーツ代表」みたいな夢を託したくはない。シマちゃんは「シマちゃん自身」として望む未来へ向かって走って欲しい。

播磨屋さんが絶好調。今回はずっと「足袋のアイデンティティ」に悩んでて可愛かった。どこまで足袋でどこから靴なのか。紐付きコハゼなしはギリギリ足袋だけど、ゴム底は越えちゃいけない壁www もはや何に拘っているのかよくわからないけど、でも「足袋」を死守したいその心意気が微笑ましい。でもチュニックは作ってくれるとこ、とても優しい。そう言えば朝太の着物も播磨屋製だったし、四三の日の丸ユニフォームもそうだった。播磨屋さん頼もしすぎる。最終的にあんなにこだわってた足袋を曲げてゴム底付けてくれたし、四三が反省してる横で「お前は負けたが俺は勝った!」って全力で喜んじゃうの、自分の作品に対する誇りを持つ姿って見ててやっぱり気持ちいい。

三宅弘城さんの播磨屋さんは本当にピエール瀧さんの印象をうまく咀嚼して引き継いだなぁってしみじみ思った。三宅さんの演技を見ていてピエール瀧さんの残像がチラつくことがあり、でもそれがピエール瀧さんを思い出すというよりはより三宅さんの播磨屋さん「らしさ」が際立って馴染んでいくというか…。こうやって役を取り込んでしまうんだから、役者さんてすごいな~。

スヤさん。今週は何はともあれ「美川に言ってもしょうがなかばってん」三連発。完全に実次兄のところに乗り込む幾江さんが入ってて大笑いした。こんな風に口調やしぐさがどんどん似ていくの、幾江さんとスヤさんがどんどん家族として馴染んでるってことだよなぁ~って幸福感に包まれる。赤ちゃんが生まれた時も「孫が嬉しい」よりもまず「スヤ…!」って言ってて感動した。ホント幾江さんのスヤさん推しが尊い。幾江さんの何がいいかって、スヤさんが四三のことが好きだから、四三をちゃんと受け入れてるとこだよな~。前回のスヤさんと同じで、スヤさんが笑顔になるためには手段としての「四三の金メダル」が必要なわけで、そのための援助は惜しまないという合理性と理論性。四三自身を好きか嫌いかを横に置いておける理性が本当にありがたい。精神的に見ていて安心感がある。

今回もシーンの繋がりの見せ方が凝っていたのと、これまでの話に出てきた小道具設定の答え合わせのオンパレードで、オタク総釣りって感じだった。そういうとこホント好き…!って思ったけど、ライトな視聴者を振り落としてるのも多分そういうとこだぞ!って思った…。好きなんだけど対象を狭めているこの感じ、ジレンマ。ホント好きなんだけど…。

路線電車に追いついて乗り込んでくる四三に対して、以前新聞で「早いものベスト10」の中に四三の名前があったってスヤさんが嬉しそうにしてたのを思い出したし、裸足の足は先日の嘉納先生の言葉を思い起こさせるし、安産のお守り→出産シーン→スッスッハッハッがお姉さんのお産を見て編み出した呼吸法というところに帰っていくのは「おぉ~!」って思ったもんな。多分明確に思い起こさせるための演出だったと思うし、こういうのは熱心に見ている視聴者へのサービスだろうし、本当に良く出来た構成だなぁって感心するしかない。

孝蔵と清さんの友情がエモかった。最後清さんが孝蔵を逃がすシーン、先に気付いた清さんが普通に喋ってるフリして孝蔵を逃がすタイミングを計ってる時、動きが不穏で孝蔵にキスするのかと思ったもんな。(顔を隠してやり過ごす的意味で。)多分あれは(キスするかと思わせるのを)狙った演出だったと思うのだけど、実際にはもっと萌える「身を挺して孝蔵を庇う」だったのが猛烈にアツかった。そして庇われたまま一人で逃げちゃう孝蔵のへっぽこダメっぷりもやっぱり「ですよね~~!」て思えて楽しかった。とことまでダメでいて欲しい。本当に本作の孝蔵と美川君はダメっぷりが愛しいな!

そして今回一番インパクトあったのは可児先生かな~。「カニ歩き」からの「骨盤がバーン! 臀部がデーン!」、そして「私は女だ! それがどうした! かかってこいよ!」という一連の流れ、パワーがありすぎる! だいたい「かかってこいよ」って何だよw ただねぇ。最高に面白くてめっちゃ笑ったんだけど、一方で笑いながらどこかシンと冷えた感情もあったんだよな。こうやって「笑いに昇華」させてはいるけど、いや、させているからこそ? 可児先生が「それがどうした!」と女生徒に復唱させるという図が、なんかこう…シュール過ぎてグロテスクというか…私が神経質すぎるのかもしれないけど。可児先生は大好きなのだけど、だからこそ痛い。先週の嘉納先生の女子スポーツへの偏見の時も思ったけど、こういうところ抉ってくるのがクドカン作品なんだよなぁ~って思ったり。

すごい細かいけど、四三の夢でずっと肋木にぶら下がってる永井先生良かった。こういう細かい部分のキャラ付けが本当にため息出るほど上手いと思う。

嘉納先生のスタジアム構想。オリンピックをやりたいがために他の人を焚き付ける能力が相変わらず冴えわたってた。でも隠せない山師感もバッチリ出てて、役所広司さんの役者力にただただ脱帽。

スヤさんのところにお詫びに来た実次兄が誰かに似てる~って思いながら見てる時は思い出せなかったけど、さっきわかった。寅さんだ! この胡散臭い洋装がめちゃ似合ってて笑う。

相変わらず面白い。でも今年はダブル主演でそろそろ主役が阿部サダヲさんに交代だとしたら、四三の愉快な仲間たちはもう出てこなくなってしまうんだろうか…弥彦ぼっちゃんは…? また出てきて欲しいけど、どうなんだろうなぁ。