西郷どん 第41回「新しき国へ」

久光~~~!!さすが、さすが久光贔屓丸わかりだった脚本なだけある!!最後にドカンと大きな花火打ち上げてきた。(作品内でも花火打ち上げてたなそういえば)それ以外でも今回はかなり面白かった。明治編になってからだいぶ視聴意欲が回復してる。

久光の、これまで徹底的に(という程でも無いか)気にくわない相手だった西郷に対しての「このやっせんぼが!」という決めゼリフに痺れた。「これが斉彬の目指した新しい国なのか?」と問い、その言葉に同担拒否同士の二人がこの一瞬だけガッシリとわかり合うという演出が際立ってた。久光は本当に西郷が嫌いだったんだと思うけど、そういう相手でも「今の国は理想には程遠い」という現実を苦く噛みしめている西郷を目の前にして、「最後までやり抜いてダメだったら薩摩に帰ってこい」って言えるという人物像が良かった。思えばこれまでも久光は常に西郷を忌々しいと思いつつも、徹底的に再起不能にするようなことはしてこなかったよな。久光をここまでチャーミングに作り上げてくれた脚本と役者に拍手を送りたい。久光というキャラを生み出したことが、今年の大河の(私的な)意義といっても過言じゃない。ありがとうありがとう!(まるで最終回のようなまとめ)

週間西郷どん(というWebサイト内コンテンツ)を見るに、あのセリフって本番の一度きりだったらしいけど、打ち合わせではあえてセリフを言わなかったってことなんだろうか。あんな決めゼリフが脚本に書かれていないアドリブだったとは思えないので、役作りのために鈴木亮平さんと青木崇高さんが相談してそうやって演技したってことでいい…んだよね?

新政府の腐敗っぷりに嫌気がさしつつ、大久保との友情&これまでやってきたことの責任感から足抜け出来ない感じ、西郷の内面的な閉塞感が良く出てたと思う。実際に仕事がきついのももちろんあっただろうけど、これは理想の形じゃないと思いながら政策を推し進めなければならないという精神的な苦痛はいかばかりだっただろう。町民が(西郷の住居のあんな近所で)新政府の悪口言ってるシーンは(演出的に)あちゃーって思ったけど、それを聞いてしまった西郷の反応(苦笑して聞き流すしかないみたいなあの感じ)がめちゃめちゃ「らしく」て、鈴木亮平さんのキャラ解釈に完全にねじ伏せられている感ある。本当に脚本的にはいろいろしっくりこない部分があって惜しいんだけど、鈴木亮平さんの演技を見ていると「でもまぁこの演技を見られたからいいか」と思える。すごい。

西郷と大久保のズレと、そのズレを内包したままの友情再確認。いずれ西南戦争へと至って袂を分かつ二人にどのような苦悩をさせるかというのも、この時代の創作の醍醐味だと思うけど、この作品だとそのシーンごとに二人がどう思っていたかはわかるものの、そういう風に考え方や感じ方が変化していく過程みたいなのはサッパリわからないので、どうしても受け身で見ざるを得ない。大久保が西郷に嫉妬しつつ、西郷を誰よりも強く必要としているという状況そのものはとてもエモくていいし、瑛太さんの大久保も最高にいい。いいんだけど、こういう二人の関係性にならざるを得なかった二人のこれまでの積み上げが印象に残ってないので、いまいち大久保の葛藤が胸を打つところまで行かなかった。つくづく残念。