西郷どん 第40回「波乱の新政府」

鈴木亮平さんのビジュアル作り込みの完成度の高さにひれ伏す。なんだこの西郷像すごい。

いきなり大久保がヒール役になってて驚いた。確かに前からそうなりそうな感じはあったけど、これまでほぼ無害な人のイメージだった大久保がいきなり闇落ちしたかのような変わりっぷりに笑ってしまう。まぁ西郷も突然慶喜絶対許さないマンになってたもんな。演出上いきなり人が変わることがあってもいいけど、変わった理由やその真意をもう少し視聴者にわかりやすく描写してもらえると、もっと登場人物について読み込む楽しさがあると思うんだけどな。

今回は同じ回の中で新政府のダメっぷり(特に岩倉具視がめっちゃゲスで下品w)を見せることで、大久保が「変わらざるを得なかった」って匂わせているんだと思うけど、贅沢三昧したり藩ごとの派閥争いをしたりしてる新政府官僚に失望するのはわかるとして、それをああいう刺々しいキャラに変わることでどうやりやすくなるのかがサッパリわからないので、ヤケになってやさぐれたようにしか見えなかったのが悲しい。案の定皆から反発くらった上に「西郷がいないなら話にならない」とまで言われてしまう始末…キャラ変更が何の役にも立っていない…。それにしても、これまで東京で頑張ってたのは大久保なのに…西郷なんて薩摩で稲刈りとかしてただけなのになんでこんなに人望あるんだ…という大久保の心の声が聞こえてきそう。哀れ。

ただ、この回だけ見れば西郷と大久保のキャラの立て方とその対立への持っていき方は納得できた。大久保が理詰めで頭でっかちで真面目でリアリストで、西郷は情に訴えるのが上手くて優しくてでも自分に求められている役割を理解していて。この二人が方法論で噛み合わずにだんだん不協和音が大きくなって、でもお互い相手も本気で私利私欲無く未来を考えていることはわかっていて、その結果いずれ西郷は「不平不満を抱く最後の武士たちを自分が抱えて消えていく」って決意で離反するんだろうなぁってすんなり納得できた。最初からこのキャラをベースにして、青年期の二人の関係性の積み上げが欲しかったよね。

正直、これまでの大久保って、若い頃は糸さぁにデレた上に「ラブじゃ」とか言い出したり、須賀どんの悪口言って西郷に「うちの嫁を悪く言うな」とか言われたり、斉彬の死に傷ついて月照と慰め合ってる時に「月照を殺して生き延びろ」って助言して入水自殺図らせたり、世捨て人として島で生きる決意をした西郷を最愛の妻から引っぺがしたり、見当外れな方向に西郷に執着している面ばかりを見せられてる気がしてて、それなのに西郷のこと良くわかってない(割に親友面するw)キャラにも解釈できる描き方で、なんかこう…不憫としか言いようがない。