西郷どん 第39回「父、西郷隆盛」

明治編突入。突然歴史学者の磯田さんが出てきてびっくりした。磯田さん歴史考証してるからその繋がりのネタ出演(?)なんだろうけど、この作品で歴史考証で名前上がっちゃうの、歴史学者として大丈夫なのかな?っていつもちょっと心配になる。いやまぁ、よっぽど間違ってない限り解釈や創作については極力口を出さずに行く方針なんだろうなというのはわかるんだけども。

西田敏行さんが菊次郎(老年)として父である西郷隆盛を回想する、という構成がすごく大河っぽかった。というか、最初からこの構成にすれば良かったのでは?これまでのナレーションが(西郷の年代が若かったのもあるだろうけど)年長者が若者を叱咤するような雰囲気だったのに、今回からいきなり「我が父が」みたいに語られてめっちゃ違和感あった。開始時からこういう構成にするつもりだったのならもう少しやりようがなかったのか。途中から入った演出だとしたら、脚本家さん乙としか言いようがないけど、そんなことってある!?

あいかわらずの鈴木亮平さんの「見た目から完璧に入ってみせモス!」な役作りに平伏する。なんていうんだろう、リアリティ?実在感?本当にきっとこういう人いたわ、いたはずだわっていう納得感がすごい。舞台みたいな衣装のせいもあるとは思うけど、明治政府のお歴々が皆どこかコスプレっぽく見える中で、西郷隆盛一人だけ「めっちゃリアル」な存在感があって笑ってしまう。すごいな~ホント。

菊次郎が西郷家に来る回。子役の役者さんは印象的な良い目をしてて(二階堂ふみにどことなく似ててこれぞ愛加那の子供って感じでさすがの配役)印象的。隆盛と菊次郎の再会シーンとか、これまで離れていたことに対する複雑な心情が感じられてすごくいいシーンなんだけど、西郷家の中で菊次郎がどういう立ち位置なのか、どうしてこの時期に大島から呼び寄せることになったのか、それは誰の意向が強くでているのか、さっぱりわからなくて困惑。愛加那は「自分の子じゃなくて西郷吉之助の子供として育てた」って言ってたので、そういう心積もりだったのにどうして9才まで母親のところで育てることになったのか(それが当時の慣例だったならそういう背景を)説明して欲しかった。

西郷が政治の舞台からおりた理由については前回「戦でもう疲れたから」ってことで描かれたと思うんだけど、今回復帰を決めた流れがなんか妙に流されるままに見えたのが引っかかった。先週ブチ切れてた大久保が、今の西郷の生き方をどう思っているかが全く描かれなかった(ように見える)のも微妙だったかなー。来週のお楽しみなのかもしれないけど、あらかじめチラ見せされた方が視聴者は脳内で勝手に伏線と解釈するのでお互いにとってお得だと思うんだけどな。

あと糸どんが「島から来たばかりの菊次郎の側にいてやって欲しいから」って理由で東京行きを止めるという展開が、妙に現代風の「仕事より家庭を優先することが尊い」っぽい雰囲気に流されてるように見えてしまい、猛烈に違和感あった。もう少し側にって場合の「もう少し」ってどれくらいを想定してるんだろう。いずれ国政に戻ることについては了承してるって意味なんだろうか。国政に戻りたいと西郷が思っていることは理解してるってことなんだろうか。エスパーか。

西郷が現在の政府のやり方をどう思っているか、微妙にぼかされているのも物足りなかった。武士の世が終わってしまうと不満をこぼす若い薩摩武士に対して、自分はそれでもいいと思っていると言ってたけれど、むしろ斉彬が武士の世は終わるって言ってたし、西郷はむしろそれをわかった上で推進した側なんじゃないの?それを「それでもいい」と言う言い方はちょっとズルいような。

正直下級武士がどうして西郷を慕うのか良くわからないんだよな。あの感じだと倒幕を掲げてた時は表だって「武士の世を終わらせる」って言ったわけじゃないと思うし、だとしたら大なり小なり武士たちを言いくるめて(あるいは正直な目的を明かさずに)戦に駆り立てたんだろうし、そういう部分も含めて戦に疲れたのかもしれないけど、やっぱりであればそのあたりをどう考えているのか、この辺でチラッと触れてくれたら良かったのに。そのあたりも上手く書けば面白いと思うんだけど、そういうところには触れない方針なんだろうなぁ…残念。