西郷どん 第30回「怪人 岩倉具視」

ずばり、The・鶴瓶劇場という感じで、もう最初から最後まで「オレの鶴瓶師匠を見ろ~~~!」という演出だったと思う。これで鶴瓶師匠が岩倉具視役でさえなければ、文句なく面白かったと思う。岩倉具視でさえなければ…。

最初配役を知った時、岩倉具視って基本幕末ドラマだと悪役…というか癖が強くて好感度が低い役なことが多いイメージなので、それが鶴瓶師匠というのは結構解釈として面白いし上手い配役だと思ったんだけど、実際に見たらコッテコテの大阪弁を公家役にぶち込むってこういうことか…!と戦慄した。最初「マロは」って喋られても最初何のことかわからなくて、あとで一人称の「麿」と気づいて、その後は鶴瓶師匠がマロって言うたびに「マロwww」とツッコミを入れたくなった。あとあの大阪弁孝明天皇の側近やっていたと言われても「嘘つけwww」とツッコミに全力になってしまってストーリーに集中できなかった。個人的にインパクトありきの配役はここぞという時に使うのは有りだと思ってるし、鶴瓶師匠独特の演技しようとはハナから思ってなさそうな演技も結構好きだけど、公家の中に大阪弁岩倉具視を放り込むという荒業はさすがに…どうなんだろう…これはこれで面白いと言い切れるほど、これまでのこのドラマに対する信頼感が高くなくて…しばらく留保にさせて欲しい…

鶴瓶師匠はとりあえず置いておくと、物語は相変わらずの「さすがの西郷様」ゴリ押しなだけで、特に面白みはなかったかなぁ。一蔵が見放している岩倉具視の能力を先見の明で素早く察知して熱心に口説くのもさすがだし、現状に絶望して諦めかける岩倉具視を「自分も島流しにあったけど諦めたらダメだ」ってありがたい説教してくれるのもさすがだし、たまたま蟄居が解けた岩倉息子を引っ張ってきてまるで西郷の尽力で謹慎が解けたかのようにみせかけるのもさすがだった。いや、ほんと。ここまで徹底されるともう文句言っても仕方ないなって諦めるよ。言うけども。

ひとつ、岩倉邸に薩摩の下級武士がぞろぞろ「教えてください!」って言いに来るシーン。もう既視感がすごくて、これあれだよ!花燃ゆで松陰門弟が「松陰先生!さすが松陰先生だ!」ってわらわら寄ってくるのと完全に一致すぎて草生える。多くの人から慕われているということを伝えるために、実際に大勢の人間に寄ってこさせて「さすが!さすが!」と言わせてしまうこのセンス。すごいわ~真似できないわ~。

あと最後に気になったのが、岩倉息子が孝明天皇の言葉をそのまま「朕が云々~」って復唱してたんだけど、この時代の帝の言葉ってそのまま真似する文化あったんだろうか。帝しか使わない「朕」という言葉を恐れ多くも臣下の分際で真似して「朕が~」って言うか?あのセリフがどうしても使いたければカットインで実際に帝が喋ってる映像を入れたら良かったのでは?というどうでもいい部分で引っかかった。

来週からは公家世界の中で岩倉の大阪弁ブイブイ火を噴くかと思うとめっちゃ楽しみ。そういえば岩倉邸で吉之助と一蔵が一緒に網にかかってて、こういうの多分腐的盛り上がりを見越して入れてるんだろうなって感じてしまって寒かった…そういう制作者側の狙いが透けて見えるのは正直ちょっと手抜きに感じる。別に視聴者に媚びなくていいよ…