正解するカド 12.5話

全12話を2時間にまとめた総集編がYouTubeで期間限定公開されてたので見てみた。映画的に再構成という売り文句だったけど、実際に12話見てる側からはただのつぎはぎの総集編にしか見えなかった…ただそれまぁ12話を見た後だからだとは思う。思うけども。

テレビ版の正解するカドはいまだに許していないけど、それでも12.5話を見ようと思ったのは、制作者が本当に作りたかった結末を盛り込んでくるかもしれないと思ったのと、制作者がテレビ版の何を「不正解」だと思ったのか興味があったから。嫌いな作品だけどインパクトだけは抜群だったし、制作側には制作側なりのポリシーがあって、それが自分に合わなかっただけだと思っているので、それなりに「お手並み拝見」て思いながらもある意味での期待を込めて見たのだけど。

結果的には叩かれまくった突然の恋愛要素をなかったことにしてつなぎ合わせただけの、つまんない作品に成り下がったなという感想だけが残った。想像以上にガッカリした。恋愛要素を削ったことで最凶のオチでもあったユキカの存在が幻となり、意味ありげな表現ではあるけど実は中身が空っぽな、のっぺりした結末になってしまった印象。確かに恋愛要素はクソミソに叩かれてたけどさ…だからってこれでもかってぐらい削って、それ以外を繋ぎ合わせればそれでいいのかよ…本当に何がしたかったんだ、制作陣…あの超展開がやりたくて作った作品じゃなかったのかよ…

テレビ版の正解するカドは許さないけど、許さないなりに制作者側はあのラストをどうしても見せたいから作ったのだと思っていた。私は嫌いだけどそれを好きな人に訴えかけたくて作った作品かと思ってたんだよ。それが、ちょっと(ではなかったけど)叩かれたからってサクッと消してしまえる程度のこだわりだったのかよ。制作側がドヤ顔で突きつけて来た結末だからこそ胸を張って「嫌い」って言えてたのに、なんかもう私にとっては「嫌い」と言う価値もない作品になってしまった感…ほんとにどうしてこうなった。

そうは言っても、改めて見るとやっぱり前半は神なんだよなぁ。具体的に言えばテレビ版の7話までの展開は本当に神。ワムやサンサという超テクノロジーをいきなり突きつけられた人類がどう反応し、どう決断すべきか?という思考実験ぽくてワクワクした。日本政府がワムを提供されて、国連が取り上げて独占しようとする流れから、ワムの作成方法を全世界に配信するまでの流れは本当にゾクゾクするくらい面白かった。そこにはSFだけに留まらない無限の可能性があったと思う。クッソつまんないサイヤ人展開で全破壊して終了というのは無限の可能性のうちの(私にとっては最悪の)一つだったけど、それでも一応終わらせようという意思は感じ取ることが出来た。でも今回は終わらせることを放棄したんだなって印象。わからないところはテレビ版見てねってことなのかもしれないけど、これ見てテレビ版見る気になるかは…どうなんだろう…?

  • ザシュニナは最初から「考え続けることが正解だ」って言ってたんだね。今回見て初めて気付いた。
  • ザシュニナに感情が生まれる過程、尺が短い分よりダイレクトに伝わってくる構成になってるのは良かった。
  • カド移転作戦の映像が何度見ても面白い。立方体が転がってるだけでなんであんなに面白いんだろう。
  • 花森君が不憫枠から存在感無い枠に所属替えになってた。どっちが良かったんだろう。
  • サラカも存在感無かった。異方存在であることが全くサプライズにならなかったもんな。
  • そういえば交渉というテーマ性はほぼ皆無と言って良かったな!?そこもいらなかったの!?
  • 首相が人間として誠実なのは改めて素晴らしいと思った。人間的に尊敬できる首相描写って珍しいと思う。