西郷どん 第15回「殿の死」

最後の最後で慶喜の将軍就任がひっくり返されて家茂の就任が決まってしまい、それまでの入れ込みようの反動からかすっかりやる気を失ってしまう斉彬。個人的には慶喜の将軍の資質というのが全然描かれてこなかった(ように見える)&慶喜というと『八重の桜』での頭いいけど小心者で姑息(誉めてる)なイメージが強くてそういう人物に入れ込んでる斉彬が人を見る目が無いように見えるというコンボで、自業自得なのでは…?と思えてしまうのが痛い。英傑のはずだった斉彬がヤバい人にしか見えないので、そういう斉彬に傾倒しすぎているように見える吉之助もやっぱりヤバい。どう見ても視野狭窄に陥っていて、他の意見を受け入れられない頑迷さがヤバさに拍車をかける。

死んだサカナの目の斉彬が立ち直るのが吉之助の言葉から…っていうのはまぁ仕方ないのかなぁ。吉之助がいきなり「兵を率いて上京する」という過激策出してくるのもびっくりしたけど、それにホイホイ乗っちゃう(ように見える)斉彬もどうかと思うんだ。そもそもこれまで吉之助の戦略的な賢さみたいなのが一切描かれなかったので、突然覚醒してもそれが素晴らしい策なのかただの妄言なのか視聴者としていまいち正しい判断が出来ないって言う…。そして生気が一気に復活した斉彬から出た運命の一言が「西郷、おぬしはこれからオレになれ」。意味わかんねぇ!

いや、わかる。今後の吉之助が胸に刻みつけて生きていく言葉であることはわかる。でもそういう計算の上で作られたセリフであるという以上の意味が迫ってこない…そもそも吉之助は斉彬の理念を正しく理解出来ているのかちょっとアヤシいと思う…だってドラマを見ている私自身が斉彬の理念をちっとも理解出来ていないから…。ここ数回、やたら斉彬と吉之助のオーバーラップというか、二人のシンパシーみたいなものを全面にババンと描いてるけど、どうしてそうなったのかやっぱりサッパリわからないので、熱演が空回りに見えてしまう…。ツラい。

そしてラスト数分で斉彬死亡。本当に唐突な死だったらしいから、このぽっかりとした喪失感はすごくリアリティあるなって思った。