おんな城主直虎 第45回「魔王のいけにえ」

の、信康ぅ~~~~~~!!

これまでちょっとずつ描いてきた家康信康親子のお互いへの愛情を知っているからこそツラいこの展開。一方、悪役として割を食ってるのは全ての元凶にされてる信長なんだけど、このどう見てもゲームから出てきたとしか思えない現実離れっぷりに「さもありなん…この人は人外ですから…」って諦めすら抱かせて、信長自身の評判を落としていない(人外だから)というのが面白いなぁと。俗説では徳姫のチクりで信長が怒ったことになってるらしいけど、この話の中では徳姫は側室の件には納得している展開だったという解釈も好感度大。「徳姫は夫思いだのぅ」っていう信長のセリフ(どこから出してるんだこの声!?)と、銃声と鳥の羽で見せる演出素晴らしいな。鳴いてても(鳴いてたよね?)殺したよこの信長…怖っ!!

そして明らかにババを引いた酒井忠次。ただ、あの状況で岡崎独自の企みってことにせざるを得なかったのには同情を禁じ得ないけど、その脳裏に生まれたばかりの長丸(後の秀忠)の存在と岡崎(というか信康)軽視の感情が無かったわけではないんだろうな~、そうじゃなかったらもっと必死に抵抗したんだろうな~っていうのは正直ちょっと思った。だからこその家康の「まさかとは思うが」発言なんだろうし。それにしてもそういう(=いざとなったら首を差し出す)考え方や落とし前の付け方が当然になってる戦国という時代の恐ろしさよ。酒井忠次が責任感から言い出しにくい場面で「信康様を諦めるべし」って言った時に本多忠勝も反対してないしなぁ…みんなが内心ではそうするのが一番いいって思っているってこだよな、切ないなぁ。

於大の方が家康に「信康を切れ」って言ったシーン。事前に於大の方の兄が家康に切られているという説明を受けてもなお、この言葉はあまり心に響かなかったなぁ。以前に瀬名に対して思うところある姿を見てたし、瀬名に対して好意的でなかったのは史実だから仕方ないとしても、信康に対してもう少し可愛がっているシーンが入れば、もう少し説得力あったと思うんだけど。それでも、だからこそ、家康と信康のお互いへの愛情が悲しいし切ない。

岡崎に家康自ら乗り込んできて信康に幽閉と自害を言い渡すシーン。阿部サダヲの表情が生気を失って固まってるの、スゴかった。あの感情を何も映し出さない目。そして信康が家臣に言い含める姿を見ているとどんどん表情が戻ってくる演技がまたスゴかった。お家のための犠牲と一旦覚悟を決めたものの、やり取りの中で息子の跡継ぎとしての素質を目の当たりにして、決意が翻る様が手に取るようにわかった。演技ってすごい…役者ってすごい。

あと、印象的だったのは、家康が信康に沙汰を言いつけた時に、即座に瀬名が「罪ならば私が」って追いすがるところ。この時代、真実謀反を企んでいたかどうかはあまり関係なく、この場合は織田にそう言われたことでもう逃れようがないことは明白で、その場合は誰かが責任を取らなければならないというのが、共通認識として共有されているというのが痛いくらいに伝わってきてヒリヒリした。同じように信康の傅役も「自分の首で」って言ってて、こんな覚悟を当たり前のように共有し合う時代ってどういうことだよって絶望する。

岡崎城に直虎と万千代を偶然にも同席させて、そこで信康事件の一部始終を目撃させながら、二人には一切口を開かせなかったのが英断だったなぁ。不自然なほどの主人公不在感になってしまうにもかかわらず、あそこで傍観者のままでいさせたことが直虎の成長であり生き方の変化であり、万千代にとっては今後の成長の原因となるんだろうなって思わせてくれたのがありがたかった。


・初っ端で長丸の傅役について万千代が「オレのこと?」って顔芸してるのめっちゃ笑った
・一方、自意識過剰な万千代に「何言ってんだお前」って顔する康政もまた最高に笑った
・でも終わってみれば傅役の覚悟と重責について万千代に思い知らせるための呼び水だったのが本当にエグかった
・康政先輩がカッコよすぎる。まさか尾美としのりに萌える(?)日が来るとは思わなかった
・そして氏真!? ここにきて氏真!!! ついに氏真の蹴鞠が火を噴くか!?!?