おんな城主直虎 第31回「虎松の首」

この時代、領主の家が取りつぶされたらその残党は逃げ出すものであったのか…いや、確かにそのまま居座られても扱いに困るし、農民に慕われる領主であればあるほど邪魔な存在でもあるだろうから、ある意味当たり前ではあるのだけど。そして隠れ家で早速今回のたねあかしをする直虎。「実は政次は味方だ」という言葉に、六左から虎松、母上と高瀬にまで「そうではないかと思っていた」って言われちゃうのさすがにどうよ?政次の演技力とは…?寿桂尼様に通用しないのも当然か。まぁね、井伊では(駿府から離れている地理上の理由もあり)政次も気がゆるんでたのかもしれないけどさ。

そしてその中で最後まで「それすらも罠では?」って言い続ける直之がさぁ~!くぅ~!之の字~!!これはおそらく「但馬憎し」から来る言葉じゃないんだよね。もちろん政次のことは嫌いなんだろうけど(?)、この場ではむしろ直之は「違う意見」を発言することを自分の役割だって感じてるように思えた。別に政次に学んだわけではないと思うけど、主が目指す理想の未来とは別に、そうならない未来をあらかじめ想定しておくことの重要性、みたいなものを直之は直感で体得したんじゃないかなー。だから激するでもなく、静かにアンチテーゼを示し続ける。それに対して、直虎も「そんなことはありえない」ではなく「そうだったらそうだとして、その上でどうするかまた考える」って答えるのもすごく良かった。理想の主従がここにいる…!

おとなしく隠居した直虎に対し、関口は穏便に済まそうとしていたところ、氏真からのまさかの「断絶せよ」命令。この時の関口の表情がまた上手かったな…「そこまでする!?」的な、でも何も言えない感じが良く出てた。氏真はとうとう限界に達しちゃったのかな~哀れ。

直虎が寺から虎松を連れ去るシーンで、亥之助君だけ取り残されるのがツラくてさぁ…あーこれ、あー鶴の親父と同じ、あー!!みたいな。ここにきてさらに増す小野和泉守の存在感~!!あの時も…鶴が自分の父親の所業に苦しんでいたあの時も!これと同じような事情があったのかもしれないと思わせるのが切ないよぉぉ。政次には理解者がたくさんいるけど、小野和泉守は一人で何を思っていたんだろうかって考えちゃって…ツラ…これほんとツラ…;; 今回、亥之助は最後に政次の思惑を理解して感謝の言葉を述べてたけど、これは鶴が父和泉守に言えなかった言葉を亥之助の代で吹っ切ることが出来たってことなのかなぁ。そうであったらいいなぁ。

虎松の首を所望する天守様に若干引き気味の関口から「出来る?」って言われて「お安いご用です」って顔色一つ変えずに請け負う政次。こうなることを想定して、いろいろ作戦立ててるんで大丈夫ですって感じの表情の硬さ。もちろん虎松を差し出すわけはなく、身代わりの子供の首をはねるわけだけど、ここで先週の次回予告で煽りに煽ってた「地獄へは俺が行く」発言。こういう展開で言わせるか~そうか~って納得した。しかし部下多くない?一人くらいいれば十分じゃない?秘密を知るものは少ない方が良くない?って思ったんだけど大丈夫なのか?部下は政次の真意(実は井伊家を守りたい)を知っているんだろうか?知らない気がするなぁ…とすると、部下は政次が今川を謀って井伊を簒奪しようとしていると思っているのか…この主人えげつねぇなぁって思ってるのかなぁ。部下に本心を告げられないとしたらそれも切ない。

虎松の首実検。さらし首を画面に映すことが出来ない(放送倫理的な理由?)ので、妙に不自然な構図の画面。前の鶴の父親の時もそうだったけど、こういう(放送の限界?に挑戦?するような)チャレンジングな映像作り自体はいいと思うんだけど、やっぱりすっごい構図が不自然で気が散る。今回は関口殿の頭の位置で隠してたけど、この不安定な画面が気になって気になって、役者の演技を堪能するどころじゃなかった。

政次の地獄行きの覚悟で何とか無事に終わった首実検。そこで龍雲丸から直虎(と視聴者)に対して「病気で死にそうな子供だった」っていう説明が入るんだけど、これは龍雲丸の思いやりからのウソ…なんだろうなぁ。ウソというか、でまかせ?少なくとも、視聴者に対して何らかの言い訳を入れる必要はあったんだろうなと思った。直虎の涙は、虎松の身代わりとして首を切られなければならなかった子供に対する罪の意識と、それを一人で決めてしまった政次への複雑な感情があったように思う。それしか無い修羅の道を、自分に問うこともなくまっすぐ突き進む政次に対して、直虎は何を思うんだろうなぁ。

龍雲丸は「あの人は悔いてはいない」と言ってた。あの人って政次だよな?それに対して直虎が「頭に何がわかる!」と憤った。つまり、政次は傷ついていると直虎は考えていて、酷いことをさせた自分に対しての怒りがあるってことかな?そしておそらく自分に何も明かさない政次に対する怒りもあるよな?龍雲丸の「あの人は守りたいから守ったんだ」っていうセリフは、その通りなんだろうし納得できるんだけど、ちょっと説明しすぎな気も。つまりは政次に対して負い目を持つのはやめろってことだと思うんだけど、このあたりの感じは龍雲丸がまんまアラン(それもアニばらの方のアラン)に見えてきてムズムズしてしまった。あんなにキュンとしてた龍雲丸の言葉も、直虎と政次の絆に対しては大きな意味を持たないんだな。直虎と政次の関係性に、どうやって幕を引くのか、怖いけど楽しみだ~。

全体的に政次の顔芸大会って感じで、常に「この政次の表情から何を読み取るか!?」みたいなミッションを延々とこなしてる感あった。高橋一生の面目躍如だよなぁ~本当にこの人の「見る人によっていろんな意味に見える」表情って味があると思うわ~。この役に高橋一生を起用したプロデューサー?スタッフ?は心底良い仕事した。退場までもうちょっとだろうけど、ますます盛り上がる今後の展開でどういう演技が見られるのか、本当に楽しみ!


・久々の昊天さんに癒された!もっと出て!
傑山さんの筋肉祭りw
・直之「弁慶ディスってんの?」
・直虎の尼姿やっぱり美しいな~!