おんな城主直虎 第18回「あるいは裏切りという名の鶴」

すげー厨二っぽい副題。ハードボイルドっぽいなーと思ったら案の定フランス映画でノワールものらしい…ノワール…苦手なやつだ…。
 
今回は何と言っても政次と直虎の対峙のシーンが秀逸だったし、そこに行きつくまでの流れもめちゃくちゃ良かった。それまで型を知らなかった直虎に南渓があえて孫子を勉強してみろと導き、そこから「敵を欺くにはまず味方から」という言葉に気付いて政次の思惑に初めて気がつくという流れもいいし、そこで直虎が己の正義感で暴走して政次のところに突撃せずにまず南渓に教えを請おうとするのもいいし、その後直虎と政次が明確に馴れ合わないのもいい。私が考えうる限りでの最上の「政次が報われる物語」過ぎて感動した。
 
直虎が政次に「話をしよう」って言った時にまず「今さら嫁にもらってくれと言われても願い下げだ」って言うあたりが「政次…オマエってやつは…オマエってやつはよう…;;」と涙なくしては見られなかった。その自分で傷に塩をすり込んでいくスタイルはもう癖か、癖なのか。心のどこかで望みつつもありえないと思うからこそ変に期待してしまわないように先に自分でへし折っておく、みたいな言動に心がザワザワする…痛い。痛いよ。そして完膚なきまでに「お前が我を守ろうとする気遣いは無用だ」って突きつけられてぐっさりしつつも嬉しいみたいな複雑な感情の揺らめきの演技がすごかった。「俺の苦労も知らずに…」っていう呆れと「それでこそ俺のおとわ…」みたいな歓喜が混ざったあの表情!そしてそれをギリギリ斜め後ろから撮るあの演出!!
 
お互いを理解し合っていることを決して表に出さない同士(それすらお互い確認しないでもわかってる)っていうのに萌えた。直虎の「お前は敵同士だと思わせたいのだろう、わかっておる」って副音声が聞こえそうなセリフと言い方が最高だし、それに対してもったい付けたしゃべり方で小芝居しながら受け答えする政次も小気味よかった。ふたり以外誰もいない場であっても、ふたりは本心を口にし合わない。それがふたりの当たり前だからというよりは、二人して試行錯誤してお互いの真意を探りながら、みたいなところが本当に素晴らしかった~めっちゃ萌える~。探り合いの共犯関係萌える。ヤバい。ツボ過ぎる。
 
個人的に政次が「大事なのはそこではございませぬ」って呆れ気味に直虎に説教するところに笑った。感動のシーンにこうやってちょっとした笑いを入れてくるのが小憎らしいほどに上手い。甘くしすぎないことでかすかな甘みを際立たせることに成功してると思うし、何より私がこういう緩急の付け方が多分好きなんだろうな。政次と直虎が久々に正面から素直に向き合ってる感じもあって、ささやかな幸せを感じた。そしてここまで政次が報われて輝いた回が来たから、そろそろ退場なんだろうなぁ…切ない。
 
直之がツボ(わんこ系)すぎて心臓に悪い。理想の京一がそこに居る…まさかどハマりして20年経ってようやく風化しそうな時期になってこんなどエラいど直球のキャラに転生して目の前に現われると思わないじゃないですかやだー!ゲンナリしながら孫子読んでる直虎に「気になる言葉だけ拾い読みすればいい」ってちょっと上から目線で助言するとことか転がりまくった。あの「仕方ないなぁ殿は」って副音声聞こえそうな言い方ね!ダメな主君ほど可愛いみたいなあの表情ね!お前自身がそう思われてることを棚に上げてあの態度ね!可愛い!!あと直之はちゃんと孫子読んでるんだなってわかるあたりが脚本の妙だなぁって思った。頭がいいっていう描き方じゃないけど、バカじゃないっていうあの絶妙なラインに案の定萌え殺されるわかりやすい視聴者…ちょろい。
 
ムロツヨシの顔面力の強さに平伏。
寿桂尼様不死身か。
・なつは政次と添わないのかなぁ…惜しい。
・久しぶりに瀬名ちゃんの名前聞いた。懐かしい。こっちもそろそろ悲劇か?