おんな城主直虎 第16回「綿毛の案」

副題がパロディになってることは知ってたけど、綿毛の案…赤毛のアン…これって内容も微妙にリンクしてるんだろうか。赤毛のアンってちゃんと読んだことないからなぁ。本編はというと、またものごっつぅ地味~な内容をどえらい面白い話にしてきたなーという印象。開墾したら三年年貢免除の施策をいざ領主が行っても、なかなか働き手そのものがいないという現実。それもこれも先の今川の戦で人が取られたからという納得の理由。なんていうか、今まで社会科の教科書上だけの言葉というだけだったものが、自分の中に知識として取り込まれる過程を実感するようで面白い。いや、実際にはもちろんもっといろんな背景があるということはわかった上で、言葉の意味を自分の中で咀嚼するといろいろ理解も進むよな、知識ってこういうものだよな、という面白さ。
 
直之(之の字)のデレ。京一だ…京一がいる…表面上気にくわなくて反発してただけのキャラは、一度心を許すととんでもなく無条件に尽くしてくれるというテンプレの鑑みたいな直之像が、私の中の京一像とリンクしすぎててツラい。いやツラくない。可愛くて可愛くて見てるだけでニヤニヤしてしまう~!直虎の案を「珍妙な案」と切って捨てて、でもそれは前例が無いから杓子定規で反対してたわけじゃないんだよな。ちゃんと領主側のうまみについて理解してる。直虎が政次の意見を反発心から受け入れられない時に、直虎の過去の言葉で反論してみせたのがすごくグッときた。女だから領主はつとまらないとあんなに頭の固かった直之が、女だからこそ自分が守ってやらねばって前回でその前提を軽々と乗り越えてみせて、その後はその女である直虎自身のの言葉で直虎を諭そうとする。でも頭がいいって描き方じゃないのもすごくイイ!直之は本能で大事なことを選び取ることができる直情バカなところがいいんだよ!直虎と直之のやり取り全てがツボ過ぎた。森下さん最高だ!!
 
政次。六左衛門の言い訳聞いてる時の首が45度くらい傾いてる図が怖い!怖すぎる!!でもそこが可笑しい!笑っちゃう!!今回の六左衛門イジメのシーンが面白すぎて草生えるwww 私の中で政次がどんどんオーベルシュタイン的なネタ枠になっていくの面白いなー。そして不憫枠として見るより断然その方が楽しい。政次の言動は「おとわに本当は理解されたい」って思っての行動だと思うと心底不憫だけど、最近はむしろ政次は本心から対決姿勢を取っていて、実はおとわが政次への対抗心からドンドン成長してるのが嬉しくて仕方ないって風に見られなくもなくて、そうだと報われないのもむしろ政次としては本望なんじゃなかろうか。今回で言えば茶屋で「噂を流しては」って策だけ提案した後に即興の宣伝寸劇が始まって、その時の苦笑が嬉しそう~!不憫枠じゃなくても政次がマゾいことだけは確定的に明らか。
 
直虎。政次に対して極端なほどの反抗心は劣等感の現れでもあったんだなぁ。政次の策を見事だったと悔しそうに賞賛する姿が印象的だった。でもさー、政次的には「領主は大事なものを盗んでいきました。農民の心です」をやっちゃえる直虎の力の方が得がたいと思ってるんだよね。実際に直虎の方が上に立つものとしては優秀なんだろうなー。政次を利用しようっていう成長も垣間見えるし、このまま行けば王道のアルスラーン戦記的ヒロイックファンタジーになるのに、うまく行きそうなこういう時は今後ダメになるフラグだってわかるのも王道大河の宿命だから仕方ない。直虎が直虎らしい個性を失わずに、少しずつ領主として成長しているのがいいなと思う。今回面白かったのが、綿を作る人手が足りないという問題に対して「人が足りないなら買えばいい」という解法が提示され、主人公がそれに対して「それじゃ!」と力強く嬉しそうに断言したところ。ちょ、おまっ!この時代に人が売り買いされてたのは事実だろうから、そういう筋書きが出てくるのはまだわかる。でも、まさか主人公に肯定させるとは思わなかったよね。方久の金の匂いに関しても、自分まで嬉しそうにくんかくんかしてる姿もちょっと他の女大河では見られなそう。相変わらず攻めてるなぁ。
 
その他。
・しのちゃんと政次のやり取りと、そこからしのちゃんが学ぼうとしてる姿がいい。こういう描写があるからこそ、一見ウザく見えるキャラについつい目が行ってしまうんだよなぁ。上手い。
・なつさんの「私にはわかってます」的な態度に、いつ政次がなびくのかワクワクしてる。個人的にはなつさんは政次と結婚するのがいいと思うんだけどそうはならないんだろうなぁ。
・ふんどし姿が話題になってたけど、設楽優弥の出番もこれから楽しみ。最近ちゃんと普通(?)の俳優として目にするようになって嬉しい。