おんな城主直虎 第8回「赤ちゃんはまだか」

エンジンかかってきたなー。今週も面白かった!
 
先週は直親と政次がベースの話だったけど、今週は女性陣のドタバタ風の、でも実は結構エグい内容だったと思う。お世継ぎ問題、側室問題がこんなにも前面に出されて語られることが今までの大河であっただろうか!?いや、昔はあったかもしれないけど、最近はあまりやりたがらない話題のような気がするので、そこをこうやって押し出してきたっていう攻め方が好きだな~。森下さんらしい気がする。ごちそうさんでの悠太郎のしょーもない浮気話とか、和枝ちゃんの容赦ないいけずとか、正面からどーんと書きつつ笑うしかないって感じさせる脚本家の手腕が冴える冴える。
 
しのちゃんの立場で4年も子供ができないことのプレッシャーはいかばかりかって思うと、しのちゃんの暴走を全然酷いと思えないんだよなぁ。誰よりもしのちゃん本人にとって、世継ぎを産むことこそが最大の、そして唯一のミッションなわけで、おそらくその胸のうちを明かせる相手もいなくて、何もかも思うとおりに行かない時に脳内で恨む相手を探してしまうのって仕方のないことだし、その相手が次郎になっちゃうのだって当然だろうと思う。あの様子だと直親はずっと次郎に対して(自分に下心が無いことを免罪符に)それなりの親愛を見せつけてきたのだろうし、そういうのって下心が無いゆえに悪びれないから、しのちゃんの立場から見てるとあからさまに非難できない分ストレスばっかり貯まりそうだし。私としてはしのちゃんをただ可哀相な女性として描かず、でも可憐で健気な女性にもせず、そうとう面倒な面を過剰に描きつつも、嫌いにさせない絶妙なラインを保ってると思ったけど、それはちょっと好意的解釈過ぎるかなぁ。去年のはるちゃん的な立ち位置に上手く落とし込んだと思うけどどうか。
 
そして、それを受け止める役に(望んでもいないのに)なってしまった次郎の、「しのは好かん!でも直親が悪い!」という采配が素晴らしかった。必要以上に聖母となってしのに寄り添うんじゃなくて、しのに対する不満もきっちりと抱えながら、それでも真正面から直親に「なぜ一緒に悩んでやらないのか!なぜしのはこんなにも一人なのか!」と怒ってあげられる真っ直ぐさが良かった~。真田丸のきりちゃんと同じ真っ直ぐさだよな。そう思えたら途端に次郎が可愛く思えてきた不思議。
 
政次がただただ耐えるキャラじゃないのもいい。実際には彼はただただ耐えてるんだろうけど、今回みたいに「自分が使って直親の子を孕めば良いではないか」って言ってしまえる性格が最高。言って自分で傷を抉っているのかと思うと、そのMっぷりに乾いた笑いしか出てこない。多分、政次の次郎に対する気持ちは恋とか愛とかそういうものでは既になくなってるんだよね。父親への複雑な反発心、井伊家への忠誠心、けれどそれを理解されない孤独感、直親への同情と嫉妬、そういうのが全部積もり積もって、その全ての頂点に多分次郎がいる。政次は次郎の心を自分のものにできたらいいと思っているかもしれないけど、次郎の心が政次のものになった瞬間に、その次郎は政次の求める次郎ではなくなってしまうということを、多分政次はわかっているんじゃないかなぁ。そういう絶望感と幸福感の混ざり合った役どころ、本当に本当に高橋一生に似合いすぎるし、わかってるとしか言いようのないキャラ設定に唸らされるのであった。
 
政次の弟の玄蕃がめでたく子を授かった時に、次郎に「何が違うのかのぉ」と問われて笑顔満面で「愛です」って答えたの笑った。壮絶に若殿夫婦ディスってるんだけどいいのか?w しかしこの弟の存在って政次にとっては(重盛にとっての基盛のような)心の支えの一つなんだろうなぁと思える細々とした描写がツラい…この先を思うとツラい…
 
そして相変わらずの癒しパートである今川サイドの元康(家康)&瀬名姫。瀬名ちゃんの不満たらったらの手紙の文面のわりに夫婦仲睦まじそうなのが微笑ましくも有り、将来のことを考えるとかなりエグいフラグでもあり…いやーそれにしても阿部サダヲの家康最高では?去年も内野聖陽の家康最高って思ったけど、今年の家康もいいなぁ…特にこの若い(?)頃の内面の見えなさ、得体の知れなさが、阿部サダヲのつかみ所のなさと壮絶にマッチしてる。あー面白い!