おんな城主直虎 第5回「亀之丞帰る」

小野和泉守が不憫すぎるって感想しかない。井伊家が9年間亀をかくまい続けてることを、和泉守は知りつつも今川に密告してはいないんだよね。もちろん今川側だって、かくまってるかもしれないこととかは全部わかってて、それをどういうときにカードとして使うかって話だから、みんなわかった上での猿芝居ではあるものの、少なくとも和泉守は井伊にとっての敵対行動を積極的に取ろうとはして来なかったんだなぁって思うといろいろと胸に迫るものがある。第4回での直盛の「敵討ちに見せかけて殺す策を理性で退けつつ、心から信頼しているわけではないという手の内も見せる」という対応に、いろいろ思うところもあったのかもしれない。
 
直盛は全く「理想の上司」ではなかっただろうけど、ある程度までは和泉守の重要性を理解しており、それを一定までは受け入れざるを得ないという分別もあるということはわかっただろうし、でも「本心では信用してないんだからな!」って言っちゃうバカ正直さを愚かしいと思いつつも憎めない部分もあったりしたのかなぁって。新野さんから直盛が「鶴から父親を奪いたくなかった」って言ってた話をこっそり聞いて「甘っちょろい男だ」って思いながらも苦笑したりしたのかなぁって。
 
あるいは次郎に語って聞かせた佐和の話っぷりからは、もしかして和泉守は佐和のことが好きだったのかなぁって。鶴がおとわのことを密かに想っている姿を見て、自分と佐和の関係を重ねていたりしたのかなぁって。だからこそ、井伊家に対して複雑な気持ちを抱きつつ無情になれないのかもしれないと思うと滾るものがあるな…!そう思わせる吹越満のおさえた演技が冴え渡った回だった。