おんな城主直虎 第22回「虎と龍」

この副題は何から来てるんだろうなぁ…良くありがちなやつなので、コレといった元ネタというよりは、このタイプという感じのざっくりした感じなのかもしれん。

今回は乙女ゲー回に見せかけて、結構内容が社会派だった。いや、いつもそうか。これまでのムラ社会に突如入り込んできた異物としての元盗賊団。案の定ムラとの軋轢が生じて、異物は所詮異物と排除する流れはどんどん加速して、一見政次の意見は正しく見えるし実際にそうやってやって来たのが日本という国のシステムなんだけど、それに対して「異物に見えるのは距離があるからで、きちんと近くで向き合えば相互理解できるよ」っていう当たり前だけど難しい真理を提示された…気がする。直虎の掲げる理想は清々しいけど、眩しすぎて直視するのがちょっと辛い。そして現実はそうはならないという絶望感が大きくなるんだよな。現実がままならないからこそ、こうやってせめて虚構の物語の中では理想を追い求める姿勢を大事にしたいなーとは思う。ホント、スイーツの皮被って重いものを突きつけてくるドラマだよ…。

正直、リスクとか面倒とか考え始めると、政次路線を一直線に進むしか道がないんだよね。一旦受け入れてしまったからには最低限礼を尽くしてその間に必要な技術を自分側に取り込んで放り出すのが一番得策だし、それは相手もある程度わかっているわけで、それを「これからも協力し合う関係でいたい」という直虎の言葉は(本人の無意識な下心wもあって)空回りしているようにしか見えない。政次の「そう願っているのは殿だけなのでは?」という言葉は本当にその通り…と思いつつ、でもそうやって理屈で淡々とこなしていても先細りしかない世界を知っている自分が、直虎のパッションだけの理想論とムチャ振りに憎々しさと憧れという相反する感情を持ってしまうのもまた真実…これって絶対政次とシンクロしてるんだろうな。

そして、社会派の重いテーマを臭わせつつも、ものすごい乙女ゲー回だったのも確かなわけで。いやー、全力で作る乙女ゲー大河、思った通りめっちゃ面白いな!?乙女ゲー大河っていうより、乙女ゲーを楽しむ女性層に向けた乙女ゲーパロ大河?そのまま乙女ゲーやられたら「けっ」と思う程度には乙女ゲーがファンタジー過ぎることを知っていて、それでもなお乙女ゲー要素の楽しみ方を知っている層に向けたパロ感がたまらん。何度も言うけど乙女ゲー大河で何が悪い!?って開き直りたい。

直虎を後ろからギュッとして「入りましたか?」とか、エロゲーかよって感じだけどそれでもゲラゲラ笑えるのは、制作側の「こういうの好きでしょ?」って態度が押しつけでなくて捻りも加えた新たな提案であると感じるからかなぁと思ったり。後ろからギュってするの、いいよね。で、その後にキュンとするんじゃなくて直虎がパニクって変な声出して「煩悩が…」とか反省会入っちゃったりしたらもっとよくない?みたいな、パロの自己回収感がものすごく見ていて安心感ある。制作側も楽しんでパロしてるのがわかるというか、視聴者に求められたからやってるんじゃない、自分たちがこういう面白さを提案したいからやってるんだ感というか。個人的に後ろからギュってするのはそこまで萌えないんだけど、その後の直虎の反省会はめっちゃツボったし可愛かった。いやー、上手いなー。

南渓和尚の「目がいいよね、見た目もいいしね」っていう下世話な野次馬根性が的確すぎて笑うしかない。直虎が龍雲丸を気に入っているというのは誰の目からも明らかだけど、そこに男女の感情を察知しているのは南渓和尚と政次だけなのかもなぁ。あ、方久とかは地味に気付いている気もする。直之とかは考えてもいなそうなのが面白い。

今週の直之。ちっさいなぁ!盗賊団にすごまれた時に見上げながら全然動揺を見せずに「無垢な村人と怪しい輩がいたら、怪しい方から疑うに決まっている」って吠えられるのすごい。直之にとってはあの体格はこれまでもずっとハンデだったはずで、ずっとキャンキャン吠え続けてそれが自分の自信になってるんだろうなぁと思えるから、人物を作るってこういうことだよなーって思う。盗賊を井伊に囲い込むという直虎の案に心底呆れつつ、「屈強な家来が出来るかもしれんぞ」って言われてまんざらでもない直之が可愛い。戦力が喉から手が出るほど欲しいんだろうなぁ…そしてそうやって懐柔することを覚えている直虎にも笑いつつも感心したり。いやー、ほんと可愛い主従だよ。六左衛門が直虎に「ひー!」ってしがみつくのも可愛かった。ヒロインかよ。

今週の政次。嫉妬w嫉妬www「くだらんぞ、但馬」って…www 自戒しちゃうほどに心乱されている政次が不憫過ぎていいぞもっとやれ状態。直虎がいないところではとことん翻弄されて振り回されまくってるんだけど、直虎の前ではずっと取り繕ってるのが本当に可笑しいし可愛い。最初の方で井戸のところで直虎の話聞いてる顔が面白すぎて声出して笑った。あの言葉じゃなくて表情で語るの最高。脚本は高橋一生の演技を思い浮かべながら書いてるんだろうし、役者はそれを忠実に再現しつつさらに一歩踏み込んで演じてるんじゃないかなー。脚本と演技が噛み合うとすごい爆発が起こるっていうのを2年連続で見続けられるとか、どれだけ奇跡なんだよ…幸せすぎる。そして政次は不憫だけどかなり幸せだよなーとも思う。恋愛感情の相手として見られるよりも、今の「同士としての鶴」と思われている状態の方が、政次にとっては居心地いいんじゃないかな。私がそういう関係が好きなだけとも言う。

酔っ払って(酒癖の悪い大河主人公w)龍雲丸に「我のものになれ!」って言っちゃって、龍雲丸がドキッとしたりせずに「うっわめんどくせー」って顔なのも良かったなー。内心ドキッとしててもそういう態度には出さないと読んでもいいし、この時点では本心からバカバカしいと思っていてもいい。あのあたり「はいからさんが通る」的な印象だったな。

・室井さん@ごちそうさんの村人がハマりすぎてて怖い。
マキタスポーツさん裏ありそうで気になる。
・「わし?わし??」って濡れ衣着せられそうな南渓和尚可愛すぎ問題。
・タケさんに「とうがたっている」とバッサリ言われる直虎カワイソス。
・次回の副題のネタは郵便配達は二度ベルを鳴らす、かな?てことは色っぽいシーンあるのか!?

 

おんな城主直虎 第21回「ぬしの名は」

これまた攻めてる副題来たなー。最後に句点がないのはさすがにやり過ぎだと思ったのか、昔のラジオドラマの方からのパロディってことなのか。

「スリに財布を盗まれる→盗賊もびっくりするほどしぶとく追いかけて最終的に捕まる→身代金の要求のネタにされる」って正真正銘ダメ領主じゃないですかー!!自分という存在の意味を軽く見過ぎてる。でもまぁ直虎らしいっちゃーらしい行動ではある。そして後で高瀬ちゃんにすら説教されてシュンとしてるあたりも、直虎らしさでもあるんだろうな。

それにしても拐かされたのが紳士的な盗賊団(?)でよかったよねぇ。そのあたりのフィクション性は、キワドイ大きさのイモを口に突っ込まれたりしてる部分でセルフツッコミしてる感もあったかなー。あのあたり絶対わかっててやってる間違いない。誰かがこっそり助けに来るでもなく、身代金の交換場所でマヌケな顔で眠らされてるあたり、とことん直虎を美しくは撮らない演出なんだなって苦笑する。でも、だからこそ、男装して今川邸に乗り込んできた時のあの輝きや、夕焼けの画面で高瀬ちゃんとひっそりと語り合うシーンの美しさが映えるんだろうな。

設楽優弥のビジュアルの魅力ってこれまでピンと来なかったのだけど(魅力的な俳優なんだろうなとは思っていたけど、その魅力を実感できてなかった)、このドラマでの盗賊の頭は本当にピタリとハマったような色気と愛らしさに溢れていて、一気に魅力が(私の中で)開花した感じ。全体的に荒々しくて粗野な感じの中に、消せない品があるあの感じ。赤メッシュの入ったあの髪型といい、何風というのかわからない衣装といい、かなり気合い入れまくってデザインされてるよなーって思うし、設楽優弥という俳優のために作られている感すらある。

結構テンプレ題材でもある「支配者はなぜ支配を続けていけるのか?何の権利があって支配者として振る舞うのか?」という問題。武士というのは所詮盗人ではないか、という盗賊の頭(この時点ではまだ名前がわかってない)に対して、すぐに現在の自分の立場の危うさを理解するんじゃなく、心底「お前何言ってんだ?」って顔の直虎可愛かった。でも心の底から意外な指摘に対しても、きちんとすぐに考えて咀嚼して自分の中で判断しようとする直虎の実直さがなんとも上に立つものの資質って感じ。

・フランシスコザビエルみたいな襟飾り付けて嬉しそうな直虎かわいすぎかよ…
本田博太郎さんの中村屋が胡散臭すぎて笑うしかない。
傑山さんの筋肉美に磨きがかかってる。

おんな城主直虎 第20回「第三の女」

副題の元ネタはクリスティの「第三の女」だと思うけど、インスパイアされる内容ではなかったような…?私が第三の女の内容を良く覚えていないせいもあるけど。もしかして副題はなんとなくそれっぽければいいのか。今回で言えば、高瀬が第三の女であり、その母親であるゆきのことを言っているとも言える。直親をめぐる「第三の女」キター!

この時代、平均寿命も短いだろうし成人率だって低いだろうし、ある程度の身分のある人なら血筋を残すためにチャンスがあれば子供を作るというのは当たり前なんじゃないかなーとは思う。それはもちろん、なるべく家を存続させるためという政治的な思惑もあるだろうし、そういう雰囲気で許されるという大義名分を振りかざしていい思いする男性も多かったんじゃないかなーとか。でも、だからといって浮気を許せるかどうかというのはまた違う問題なわけで…それは戦国時代よりはるか前、平安時代の作である源氏物語でも浮気だーなんだーとすったもんだしてるんだから、もうこれは恋愛関係と切っても切れないお題なんでしょうなぁ。

直親に関して言えば、別に子供がいることを表向きは咎める必要はないわけで。ただ、今回の話でもうまく焦点をキレイにフォーカスしてたけど、直親はあの口調で散々直虎に「お前だけを思っていた(きらーん)」「お前がいなければオレの美しい思い出が…(きらーん)」て言ってきてたくせに、実はちゃっかり他にも心を通わせた女子がいて、子までなしていたという事実が判明したわけで、そりゃー「すけこましー!」って叫ばれるのも致し方なし。直虎の動揺は察するに余りある…でも笑っちゃう…ぷぷぷwww

そして隠し子騒動で直虎としのがこうやってお互いを認め合うっていう展開が、なんていうか「森下脚本だな~」って感じがした。これまでのわだかまりが、全く違う方向からの横やりでどうでも良くなってしまい、むしろこれまでの確執を共有出来る相手として親しくすら感じて仲良くなるっていうこの感じ、すごいわかりやすいし納得しやすい。和解の糸口が「相手の良いところに気付く」とかじゃなくて「共通の敵を見つけて共感し合う」っていうのが直虎としのらしくてすごく良かった。思いっきり笑った。

政次。何か今週の政次はすっごい幸せそうだった!人前では直虎と対立しているような硬めの対応を崩さないものの、その言葉が明らかに優しいし視線とかが柔らかいんだよねー。これまで「自分が井伊を守るためには直虎に嫌われるしかない」って思い詰めていたのが、第18回で直虎に本心を見抜かれてからは肩肘張った感じが取れて、根っこの部分で直虎と同じものを共有してるものの余裕みたいなのが感じられる。でももともとの性格が邪魔をしてついつい口調が皮肉っぽくなるし、優しい言葉はかけられないんだけどな!この!関係性が!めっちゃツボなんですけど!!

いやぁ、私的には政次は報われすぎていると言いたい。これは…これは幸せ絶頂だよ…絶頂でしょ…そもそも政次が直虎に抱いている想いは恋愛と言うよりは崇拝と献身みたいなもののような気がするので、その相手が自分を頼りにしてくれていて、なおかつ二人で同じ秘密(実は協力し合っている)を抱えているとか、もう完全に勝ち組だよ!ということは退場も間近なんだろうなぁ…夏くらいまで引き延ばしてくれると嬉しいな。

高瀬ちゃんが直親の笛の曲を鼻歌で歌ってホンモノ認定するっていうギミックはトリッキーで好きなのだけど、笛の音を鼻歌で歌うのってちょっと無理矢理感あるような…いや、インパクトあったし、そう来るか!って思ったし、いいんだけども。そしてあのシーンの見事さは、鼻歌を聴いた時の直虎と政次の表情の変化が全てを表していた…一瞬でおとわと鶴に戻るあの感じすごい。演技ってすごい。

そして最後に徳川の使者(僧)を見て、何やら不穏な表情になる高瀬ちゃん…ホンモノであることはおそらく間違いないと思うけど、何やら裏の面もありそうでなさそうな…どういう方向の驚きが待っているのか、楽しみ!

おんな城主直虎 第19回「罪と罰」

副題はそのままだなー。次回の副題も「第三の女」だったし、ここ二つそのまま引っ張ってくるのが続くらしい。
 
目付役の近藤康用(やすもち)に井伊の民が木材泥棒をしたと因縁を付けられて直虎が逆ギレして一触即発になり、山狩りをして捕まえてみると旅の男(柳楽優弥)だった。死罪にする気満々の家臣ズに対して「恩がある」と言って殺さずに済まそうとする直虎。今川が武田の脅威に戦々恐々としている中、井伊はショボい(とかいったらいけないんだろうけど)材木盗賊の件でちまちましている印象なんだけど、それがまた妙にコメディ回にうっすら不気味感をプラスして面白いんだよな。不思議。
 
直虎のウザさ大爆発の回。「恩を感じているから」罪人を殺したくない直虎っていうのが、もう本当に普段はぼんくらなダメ領主そのもので可笑しかった。政次が言うことが本当に全て正論で「知らない罪人なら死罪にするところを知り合いだから助命する」っていうのは公平性で言ったら言語道断なんだけど、でも実際の人間社会はそういう関係性の有る無しでいくらでも流動的に動いているわけで、直虎の感情論は別に完全に排斥されるべきものではないとも思うんだよな。直虎の場合はやり方が稚拙過ぎたりバカ正直すぎてアラしか見えないのが問題なわけで…。全部が全部、為政者の感情論で結論出されたらたまったもんじゃないけど、いざという時、ここぞという時の決断で間違えない限り、ある程度の融通は許されていいとは思う。まぁだからこそ、そういう感情論からの直虎の結論に対してきちんと対外的に納得いく体裁を整えられるかどうかがキモになると思うんだけど、直虎にはここを補佐してくれる人がいないんだよねぇ。今のまま穏やかで平和な時間が続けば政次がその役割を担うようになったんだろうけど、時代がそれを許してくれないわけで…ツラい。
 
それにしても直虎の「おなごだから血など見飽きておる」ってすごいパワーワードだなw「女だから戦はイヤだ」とか「女だから血など見たくない」をここまで真っ当にバッサリ切るセリフがあっただろうかw ものすごい皮肉がきいてる。あと直之に対しても政次に対しても、感情的にギャーギャー喚いてしまうのが直虎の直虎たるところで、とてもウザ可愛くて苦笑するしかなかった。去年のきりちゃんを思い出した。直虎の言ってることはただのワガママで、直情的にワガママをごねて終わりなので直虎の言動には本当にイライラする。イライラするんだけどそのイライラはドラマの中の直虎以外の人物も感じているもので、そこに彼らへの親近感が生まれる。そして直虎が最もらしく孫子などを持ちだして自分の正当性をガーガーがなり立てていい加減ウンザリしてきたところで政次に「言いたいことは言うたか」とバッサリと切らせて、その後正論で重ねて切りつけ、視聴者をスッとした気持ちにさせる。つまりヒロインがなんとなくいいこと言って周りが「さすがさすが」ともて囃すというテンプレ展開の全否定なんだよなー。この通常のテンプレートの全否定を何度も何度もやるのが面白い。何が面白いかって、本当に感動するシーンではこの脚本はきっちりとお約束やテンプレートを守ることを知っているからなんだよな。外す時はあえて外す、その緩急がすごく「面白い」。
 
この直虎と政次の対決の決着を最終的にジャッジしないのも上手かったと思う。最終的に直虎に「これでは我が阿呆ではないか」と言わせて小気味よく落として視聴者のイライラに対するケアを怠らない一方で、直虎の直虎らしい言動をここで殺してしまわないためのエピソードになっててすごい。確かにあそこで政次が直虎に絆されたら「えぇ~ご都合主義~」って思うだろうし、かといって政次の正論に直虎が負けてしまったら、それは直虎というキャラがぶれることにもなるわけで、そのあたりの落としどころが絶妙だな~って思った。
 
旅の男(柳楽優弥)に対して直虎が持ってる感情がただの「恩を感じている」だけではなさそうなのが気になった。基本的に余計な描写はしない脚本だと思うので、回想を入れてまで直虎が「夜中」に「布団」で旅の男(柳楽優弥)のことを考えている描写は、多分意味があるんだろう。私はそれがいずれ恋愛感情に成長する伏線なんじゃないかと思ったんだけど、違うのかなぁ?あるいは、そう見せかけるためのダミーフラグの可能性も。どちらにせよ、型破りな女主人公にオリキャラで相手を持ってくるとか炎上案件なんだけど大丈夫なのか!?(笑)恋愛展開だとしても多分成就はさせずにもどかしいまま終わるような気もするけど、その配役に柳楽優弥を持ってきた意図と合わせてじっくり見守りたい。
 
昨年の直虎番宣か何かで「直虎と四人の男達」みたいなアオリ文句見た記憶があるんだけど、それって多分「直親、政次、龍雲丸、直政」だよな?当時は「なんだそのイケメン大河みたいな頭悪そうなキャッチコピー…」って思って不安になったけど、今なら胸を張って言える。「イケメン大河で何が悪い!?」と。あと一昨年はなもゆ見ながら「乙女ゲー大河を目指すならきちっと目指せばそれはそれで面白そう」って皮肉も込めて書いた覚えがあるけど、今なら言える。「乙女ゲー大河めっちゃ面白いぞ!!」と。四人に加えて昊天傑山の坊主勢とか、直之六左の忠犬コンビとか、南渓和尚や方久に至る多彩な顔ぶれの脇役も取りそろえてのお祭り騒ぎっぷりが楽しい。乙女ゲーの大団円ハーレムルートを目指すのか個別エンドを目指すのかわからないけど、どちらにしても絶対面白い確信があるので心穏やかに先行きを見守りたい。
 
今週の直之。最初に近藤殿が押しかけてきて直虎がキレた時の「やれやれ、やっぱりこの展開か」的な苦笑がツボだった。山狩り(というか見張り)でゴザ被って慌ててる顔が可愛かった。あと弟に稽古付けてる時にダメ出しして即座に「いちいち気落ちするな、戯れ言だッ!」って逆ギレするのがいかにも直之っぽくて良かった。これだけで直之が人の表情を読むことができる人物だってわかるし、弟に対しても言いすぎたって思った時にそれをフォローする必要性を即座に判断出来る人物だということもわかる。まぁ性格が邪魔をして言い方がツンデレになっちゃうんだけどw 直之と政次の関係って、最初最悪から直虎が領主になるって言い出した時に「女が主人になるくらいなら後見を小野に」って言うくらい一度近寄って、その後直虎にすっ転んでからは種子島取り上げられて切りつけそうになるくらい険悪になって、今回再びタッグを組むってどんだけ上下の振り幅大きいんだよって感じで笑ってしまう。お互いにいけ好かないと思っていながら同じ上司の元での苦労は共有出来るっていうのは、オーベルシュタインとミッターマイヤーみたいな感じか。そう考えるとこの二人の関係性も萌えるな。
 
そして最後に直親の隠し子騒動w 今さら隠し子とかウケるw 隠し子がいたことそのものは別に(当時の事情的には)悪いとかそういうことではないと思うんだけど、帰ってきてから一切その話をしなかったことに対する不満はそりゃー出るよな。直虎に対しては「自分は純情一筋におとわを想っていた」オーラ全開だったからな。その裏で実は娘がいましたテヘペロってされたらそりゃー直虎はキレてよし。来週も楽しみ~
 
その他
近藤康用が去年の本多忠勝っぽくて可愛かった。もみあげ=可愛いになる不思議。
・六左の胃が心配…
・政次が六左の尋問するシーンの顔芸面白かった!
傑山さんの謎の筋肉祭り。
・しっかり者に見えた亥之助の考える刑罰が可愛すぎて草生えたwww「習字」w
 
どうでもいいんだけど、直虎が呼ぶ時坊主勢だけ「昊天さん」と「傑山さん」なのが気になる。寺は領地では無い=家臣ではないということでさん付けになるんだろうか?それとも兄弟子としての親しみを込めた呼称?直虎の立場だと「昊天」あるいは「昊天殿」とかの方がしっくりくるのに、あえてさん付けなのには裏設定とかありそう。直虎が「昊天さん、傑山さん」て呼ぶのなんかちょっと可愛くて好き。

おんな城主直虎 第18回「あるいは裏切りという名の鶴」

すげー厨二っぽい副題。ハードボイルドっぽいなーと思ったら案の定フランス映画でノワールものらしい…ノワール…苦手なやつだ…。
 
今回は何と言っても政次と直虎の対峙のシーンが秀逸だったし、そこに行きつくまでの流れもめちゃくちゃ良かった。それまで型を知らなかった直虎に南渓があえて孫子を勉強してみろと導き、そこから「敵を欺くにはまず味方から」という言葉に気付いて政次の思惑に初めて気がつくという流れもいいし、そこで直虎が己の正義感で暴走して政次のところに突撃せずにまず南渓に教えを請おうとするのもいいし、その後直虎と政次が明確に馴れ合わないのもいい。私が考えうる限りでの最上の「政次が報われる物語」過ぎて感動した。
 
直虎が政次に「話をしよう」って言った時にまず「今さら嫁にもらってくれと言われても願い下げだ」って言うあたりが「政次…オマエってやつは…オマエってやつはよう…;;」と涙なくしては見られなかった。その自分で傷に塩をすり込んでいくスタイルはもう癖か、癖なのか。心のどこかで望みつつもありえないと思うからこそ変に期待してしまわないように先に自分でへし折っておく、みたいな言動に心がザワザワする…痛い。痛いよ。そして完膚なきまでに「お前が我を守ろうとする気遣いは無用だ」って突きつけられてぐっさりしつつも嬉しいみたいな複雑な感情の揺らめきの演技がすごかった。「俺の苦労も知らずに…」っていう呆れと「それでこそ俺のおとわ…」みたいな歓喜が混ざったあの表情!そしてそれをギリギリ斜め後ろから撮るあの演出!!
 
お互いを理解し合っていることを決して表に出さない同士(それすらお互い確認しないでもわかってる)っていうのに萌えた。直虎の「お前は敵同士だと思わせたいのだろう、わかっておる」って副音声が聞こえそうなセリフと言い方が最高だし、それに対してもったい付けたしゃべり方で小芝居しながら受け答えする政次も小気味よかった。ふたり以外誰もいない場であっても、ふたりは本心を口にし合わない。それがふたりの当たり前だからというよりは、二人して試行錯誤してお互いの真意を探りながら、みたいなところが本当に素晴らしかった~めっちゃ萌える~。探り合いの共犯関係萌える。ヤバい。ツボ過ぎる。
 
個人的に政次が「大事なのはそこではございませぬ」って呆れ気味に直虎に説教するところに笑った。感動のシーンにこうやってちょっとした笑いを入れてくるのが小憎らしいほどに上手い。甘くしすぎないことでかすかな甘みを際立たせることに成功してると思うし、何より私がこういう緩急の付け方が多分好きなんだろうな。政次と直虎が久々に正面から素直に向き合ってる感じもあって、ささやかな幸せを感じた。そしてここまで政次が報われて輝いた回が来たから、そろそろ退場なんだろうなぁ…切ない。
 
直之がツボ(わんこ系)すぎて心臓に悪い。理想の京一がそこに居る…まさかどハマりして20年経ってようやく風化しそうな時期になってこんなどエラいど直球のキャラに転生して目の前に現われると思わないじゃないですかやだー!ゲンナリしながら孫子読んでる直虎に「気になる言葉だけ拾い読みすればいい」ってちょっと上から目線で助言するとことか転がりまくった。あの「仕方ないなぁ殿は」って副音声聞こえそうな言い方ね!ダメな主君ほど可愛いみたいなあの表情ね!お前自身がそう思われてることを棚に上げてあの態度ね!可愛い!!あと直之はちゃんと孫子読んでるんだなってわかるあたりが脚本の妙だなぁって思った。頭がいいっていう描き方じゃないけど、バカじゃないっていうあの絶妙なラインに案の定萌え殺されるわかりやすい視聴者…ちょろい。
 
ムロツヨシの顔面力の強さに平伏。
寿桂尼様不死身か。
・なつは政次と添わないのかなぁ…惜しい。
・久しぶりに瀬名ちゃんの名前聞いた。懐かしい。こっちもそろそろ悲劇か?
 

おんな城主直虎 第17回「消された種子島」

何かこんな題名のミステリありそうだなぁと思いながらも、ピンと来るものは思い浮かばなかった。ホームズとかに散々「消された~」とかありそうだなぁと思いつつ。
 
今回は小休止的というかいろいろ伏線仕込んでる回というか子役すげー回というか。虎松役の子(寺田心くん)すげーなおい…あんなに自然に鼻水って垂らせるもんなのか。泣く演技が演技ってレベルじゃなくて心底ゾッとした。「勝ちたいです」の言い方とかさぁ…そして虎松を見ていると亀を思い出すというこの絶妙な演出もいいよなー。幼い頃は弱くて優しかった亀が直親に成長したように、この虎松がどうやって直政になっていくのかも楽しみになるから多分今回は仕込み回なんだと思う。きっと今後、この回を思い出して「あの時の虎松が…」って思う日が来るんだろうな。
 
しのさん。前回の政次の言葉から成長ターン入ったみたいで、見てて変化が面白かった。とはいえ相変わらず気が強くて直虎に対して激高して「ならば自分で産めばいい」って言っちゃうの、さすがにダメだろって思ったけど正直気持ちはちょっとわかる。直虎がまた、子供みたいな理不尽さで「強うなれ!そんなんでどうする!」ってキーキーがなり立てるから、あの場面でしのさんに感情移入する人も多いんじゃないかな。こういう場面を見ると、直虎のキャスティングが柴咲コウである意味がすごくよく理解できる。確かにアレは柴咲コウでこそ映えるキャラだわ。それで直虎にちょっとウンザリしたところで、同じ回のうちにあやめさんの言葉で直虎の行動を「父親代わり」って気付かせるのが上手かった。あの時のしのさんのハッとした表情に、同じように「なるほど…アレは井伊の脳筋男子の思考であり血筋か…言われてみればその通りだし、父親としては当然の言い分だな」って思ったもんな。そしてその瞬間、直虎の行動に対するイライラが緩和されて、しのさんに対する更なる共感が生まれるのが面白かった。そう言われて思い返してみると、直虎としのの言い合いが、女同士のギスギスから一気に教育方針の違いからくる夫婦げんかに見えてくる不思議。「自分で産めばいい」は女同士だとキツいけど、夫婦間だと「無理に決まってるだろ!」っていうシャレになるもんなー。上手い…上手いよこの構成…いやー、手のひらで転がされる理想的な視聴者だなー。これからも直虎としのは領主とその妻みたいな関係で、反発し合いながら共闘していくのかもしれない。こういう女性同士の繋がりってなかなか他になくて面白いかも。個人的にはこの二人は親友になるよりは、今のままお互いウザいなって思いながら仕方なく共闘してくれるくらいが嬉しいかも。
 
直虎が夜中に虎松の部屋に忍び込むの笑った。あの梯子自分で持ってきたのかと思うと、あまりの直虎らしさに苦笑しか出ない。そして子供相手の特訓がひたすら指すだけっていうのどうなのよ…一手一手の意味とか戦略とか、そういうの一切無しなのか…と思ったけど、直虎にそういう理屈を説明させるのは無理だよな。そして必勝の策が「相手に勝つまで諦めずに挑む」ってあたりが…そうだよ、お前はそれでこそおとわだよ…って思わされたからやっぱり私は理想的な視聴者なんだろうなー。氏真との蹴鞠勝負での「お前それ勝ちじゃねーよ」っていうウンザリ感をここでこうやってひっくり返すとは…!ってちょっと感動した。
 
そして今回の副題に種子島入れたのは無理あったよなーって程度の種子島の扱い。之の字がドヤ顔で嬉しそうに実演して見せてる姿は可愛かったけども。そして弾を亥之助に見つかって政次に筒抜けなあたりの情報管理能力の無さも笑っちゃうけども。政次の心底心から呆れた顔に、ホント視聴者として心底心から同情したい。気苦労が絶えないねぇ…(涙)
 
 
その他
・金への嗅覚が鋭い方久が種子島量産に乗り気じゃないのが興味深い。危機察知能力ハンパないな。
・設楽君が現状ただの困った時の妖精さん扱いで、イマイチ魅力がわかんないなー。今のところベルばらで言ったらアニメ版アランみたいなポジション?
・亥之助の叔父上大好きオーラが可愛い…政次はなつと結婚しちゃえよー
 

おんな城主直虎 第16回「綿毛の案」

副題がパロディになってることは知ってたけど、綿毛の案…赤毛のアン…これって内容も微妙にリンクしてるんだろうか。赤毛のアンってちゃんと読んだことないからなぁ。本編はというと、またものごっつぅ地味~な内容をどえらい面白い話にしてきたなーという印象。開墾したら三年年貢免除の施策をいざ領主が行っても、なかなか働き手そのものがいないという現実。それもこれも先の今川の戦で人が取られたからという納得の理由。なんていうか、今まで社会科の教科書上だけの言葉というだけだったものが、自分の中に知識として取り込まれる過程を実感するようで面白い。いや、実際にはもちろんもっといろんな背景があるということはわかった上で、言葉の意味を自分の中で咀嚼するといろいろ理解も進むよな、知識ってこういうものだよな、という面白さ。
 
直之(之の字)のデレ。京一だ…京一がいる…表面上気にくわなくて反発してただけのキャラは、一度心を許すととんでもなく無条件に尽くしてくれるというテンプレの鑑みたいな直之像が、私の中の京一像とリンクしすぎててツラい。いやツラくない。可愛くて可愛くて見てるだけでニヤニヤしてしまう~!直虎の案を「珍妙な案」と切って捨てて、でもそれは前例が無いから杓子定規で反対してたわけじゃないんだよな。ちゃんと領主側のうまみについて理解してる。直虎が政次の意見を反発心から受け入れられない時に、直虎の過去の言葉で反論してみせたのがすごくグッときた。女だから領主はつとまらないとあんなに頭の固かった直之が、女だからこそ自分が守ってやらねばって前回でその前提を軽々と乗り越えてみせて、その後はその女である直虎自身のの言葉で直虎を諭そうとする。でも頭がいいって描き方じゃないのもすごくイイ!直之は本能で大事なことを選び取ることができる直情バカなところがいいんだよ!直虎と直之のやり取り全てがツボ過ぎた。森下さん最高だ!!
 
政次。六左衛門の言い訳聞いてる時の首が45度くらい傾いてる図が怖い!怖すぎる!!でもそこが可笑しい!笑っちゃう!!今回の六左衛門イジメのシーンが面白すぎて草生えるwww 私の中で政次がどんどんオーベルシュタイン的なネタ枠になっていくの面白いなー。そして不憫枠として見るより断然その方が楽しい。政次の言動は「おとわに本当は理解されたい」って思っての行動だと思うと心底不憫だけど、最近はむしろ政次は本心から対決姿勢を取っていて、実はおとわが政次への対抗心からドンドン成長してるのが嬉しくて仕方ないって風に見られなくもなくて、そうだと報われないのもむしろ政次としては本望なんじゃなかろうか。今回で言えば茶屋で「噂を流しては」って策だけ提案した後に即興の宣伝寸劇が始まって、その時の苦笑が嬉しそう~!不憫枠じゃなくても政次がマゾいことだけは確定的に明らか。
 
直虎。政次に対して極端なほどの反抗心は劣等感の現れでもあったんだなぁ。政次の策を見事だったと悔しそうに賞賛する姿が印象的だった。でもさー、政次的には「領主は大事なものを盗んでいきました。農民の心です」をやっちゃえる直虎の力の方が得がたいと思ってるんだよね。実際に直虎の方が上に立つものとしては優秀なんだろうなー。政次を利用しようっていう成長も垣間見えるし、このまま行けば王道のアルスラーン戦記的ヒロイックファンタジーになるのに、うまく行きそうなこういう時は今後ダメになるフラグだってわかるのも王道大河の宿命だから仕方ない。直虎が直虎らしい個性を失わずに、少しずつ領主として成長しているのがいいなと思う。今回面白かったのが、綿を作る人手が足りないという問題に対して「人が足りないなら買えばいい」という解法が提示され、主人公がそれに対して「それじゃ!」と力強く嬉しそうに断言したところ。ちょ、おまっ!この時代に人が売り買いされてたのは事実だろうから、そういう筋書きが出てくるのはまだわかる。でも、まさか主人公に肯定させるとは思わなかったよね。方久の金の匂いに関しても、自分まで嬉しそうにくんかくんかしてる姿もちょっと他の女大河では見られなそう。相変わらず攻めてるなぁ。
 
その他。
・しのちゃんと政次のやり取りと、そこからしのちゃんが学ぼうとしてる姿がいい。こういう描写があるからこそ、一見ウザく見えるキャラについつい目が行ってしまうんだよなぁ。上手い。
・なつさんの「私にはわかってます」的な態度に、いつ政次がなびくのかワクワクしてる。個人的にはなつさんは政次と結婚するのがいいと思うんだけどそうはならないんだろうなぁ。
・ふんどし姿が話題になってたけど、設楽優弥の出番もこれから楽しみ。最近ちゃんと普通(?)の俳優として目にするようになって嬉しい。